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15.領地経営

今回も商売のお話です。温かい目で見て下さい。

「ドレスは届いてるんだよね。」

「届いてます。」

「なら明日うちの実家に行こうか、母が連れてこいとうるさくて。」

「ご実家に行かれたんですか?」

「ほら、商売の話をしに。」

「ああ、なるほど。」

「あの件は父と母のふたりにいろいろ質問攻めにされてその後もふたりで話し合ったみたいだ。

 でもその話の前に君のドレス姿が見たいと母が言ってきてね。

 すまないが明日ドレス一式もって実家に行こう。」

「はい、わかりました。」



 翌日は朝から行くことになった。


「いらっしゃいエレーヌちゃん、待ってたわ。」

「おはようございます。今日もよろしくお願いします。」

「そんなにかしこまらなくていいのよ、ささ中へどうぞ。」

 中へ入るとメイドが待っていた。

「前のようにお願い。」

「はい、奥様。」


 また前回のようにメイドに全身を洗われ脱毛をし髪をセットし化粧までやってくれた。

 そして今回はドレスの着つけをしてもらった。


「あらー素晴らしいわ似合うわねー。」

「どうお兄ちゃんとしては。」

「綺麗です。」

「そっけないわね。」

「やっぱり平民は地味ね。」

「もーこの子は、説明したでしょお兄ちゃんは仕事で連れて来てるのよ、対抗しないで。」

「これも似合ってるけど次はもう少し華やかなドレスを選んだほうがいいわね。

 そうすれば状況によって選べるからね。

 アレンもう一着買ってあげなさい、つぎは少し華やかなものを。

 測ってあるなら直ぐ注文できるでしょ。」

「わかったよ。」

「お茶にしましょう。」


「あなたのお話は凄く参考になったわ。」

「いえ、あれで上手くいくとは保証しませんよ。」

「そういう事じゃないのよ。今現在進めている事業についても言える事なのよ。

 ただ漫然と売り上げとか決算書だけ見て上手くいってるとか良くないとかじゃダメだということなの。

 まずは今の事業について詳細に資料を作って見なおす事から始めるつもりよ。

 そうして改善すれば向上が見込めるとかまるでダメで撤退するべきか決断する。

 そうしないとジリ貧なのよね、今なら余裕で間に合うのよ。

 その後で新規の事業をどうするか考えて調べて資料を作ってうまくいくか検討する。

 道が見えてきたと言うべきかしら。

 資料の上でもうまくいきそうもない事業はがんばってもうまくいくわけがない。

 そう思えるのよね。」

「そうですね、そんな感じですね。」

「撤退と言っても領地内ではしがらみもあるから簡単にはいかないのよね。

 でも協力してもらって向上を見込めるようなら続ける。

 だめならすっぱり撤退ね。

 一部の人たちの為に赤字を抱え続けたら領地にも迷惑をかけてしまうわ。」


「先ほどのは経営についてのお話だけどあなたの考えるまーけてぃんぐ?

について教えて下さるかしら。」


「そうですねまずは売りたい相手がそこにどれだけいるかを調べます。

 男性相手なのか女性相手なのか若者なのか年寄りなのか分けて調べます。

 そして値段や質によってそのうちの何割が買ってくれるかですね。

 利益のでる金額で売ったとしてどれだけの人が買ってくれるかどうかが重要ですね。

 それは前もって調査しないといけません。

 実際に聞いてみるとかですね、10人に現物を見せてこの値段で買うか聞く。

 そうすれば何割が買ってくれるか予想できます。

 あとは既存の商品なら別の場所で売ってる値段と販売量を調査するとかですね。」


「なるほどね。」


「アレン様に提示した商売ですと女性相手なので髪を整えるのにいくら払えるかですね。

 そして全身脱毛にいくら払えるか、お化粧にいくら払えるかそれを個別に調べる。

 そしてその値段でやったとして利益がでるかどうかです。利益の出ないのは外します。

 爪の手入れ、肌の手入れなど女性相手はやることいっぱいあるので色々調べた方がいいですね。」


「言われてみれば女性の体は商売の種がいっぱいあるわね。」


「平民相手に商売を始めて技術が上がればいずれは貴族も利用するようになると思います。

 そこまで技術を高めていけば貴族相手に高級な商売を始められます。

 気を付けるのは健康に害のある事はしないように良く調べることです。

 それと体質ですか、人によって合わない製品もあるので注意が必要です。

 私の考えはそんなところですね。」


「はー凄いわね。」


「いえここのメイドさんが凄いですホントお金をもらえるくらい。

 ただ悲しいかな平民は財布が厳しいから商売になるかどうか。

 でも平民だって結婚式とかには綺麗になりたいですから。

 その時にドレスとか着て絵を描いてもらうとか。

 一生に一度ですから。」


「私も憧れます綺麗なドレスを着て絵を描いてもらう。

 宝物になります。」メイドが言った。

「そうなの? でも問題は値段なのよね。払える値段で提供できるかどうか。

 絵師には安くても金貨5枚くらいかかるのよね。

 ドレスは借り物として全て原価で15枚くらいかしら、調査が必要ね。」

「値段は置いといたとしてもやっぱり憧れるよね。」

「はーそういうものなのか。」

「アレン様いいひとが見つかったらドレスの絵を贈らないといけないですね。」


「お昼にしましょ、エレーヌちゃんドレスは着替えてらっしゃい。

 ここで預かるわ着付けはここでするんだから。」

「はい。」

 ドレスは着替えて預けた。

 そして食事これがマナーとかあって大丈夫か心配だ。

「緊張しないで私たちのを見て真似ていけばいいわ。」

「はい。」

 そうはいっても緊張で味がわからなかった。

「庭でお茶にしましょ。」


「ケイトあなたもお嫁にいったら私と同じように領地経営に関わるかもしれないのよ。

 今のうちに勉強しておかないと没落して貧乏暮らしなんて可能性もあるんだからね。」

「お金持ちを見つけるわ。」

「そんな簡単にはいかないわよ。金持ちに見えても内情は火の車なんて貴族もいるのよー。

 それに金持ちの家は維持するためにそういう知識と知恵を欲しがるものなの。

 エレーヌちゃんは有望ねお嫁さんにほしいわ。」


「何か好きな物とかある?」

「温泉が好きですね、今度連れて行ってもらうんです。」

「エレーヌ。」

「あ、アレン様、秘密でした?」

「そうだ。」

「ごめんなさい。」

「みんなも口外しないで。」

「うふふ、もしかしてふたりで?」

「秘密だ。」

「もう、それくらいならいいじゃない。」

「えーお兄ちゃんずるい、私も一緒にいく。」

「ケイトお邪魔虫はダメよ。」

「だめ。」



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