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マジカルD ~異世界でも横滑り~  作者: 咲舞佳
第一章 マジカルレーサー養成学校入試編
9/53

第九話 16年ぶりの横G


マコトの独り言に変更しました。


マコトの独り言に追記ました。


誤字、脱字修正しました。

 さて、次は俺の番だ。いっちょやってみっかー。気分はレーダーを片手に龍の玉を集める宇宙人だ。


なんでも入れれるカプセルとかないかな?魔導車入れて持ち歩くんだけれども。他の人が聞くと意味不明なことを考えながら試験車両の前に立つ。


 

 周囲を確認し、一つずつしっかり声に出し指を差しながらチェックしていく。抜け漏れのないように確認するためのちょっとしたコツだ。


さらに試験官にちゃんと抜け漏れなく確認してますよアピールも兼ねている。そして確認が終わったところで試験官に報告する。



「すべて確認、点検終わりました!異常ありません!」


「よし!では次に魔給を行いその後エンジンを始動する。準備にかかりなさい。」


「はい!」



仕事だろうが学校行事だろうが、複数人で何かを行う場合にはほうれんそうはとても大事なのだ。ほうれんそうとは報告・連絡・相談のことだ。仕事の基本となる。


しかし、いろんなシーンにおいてこれができていない人もよく見かける。先に報告しとけばこうはならなかったのに、先に相談しておけば、連絡しておけばなんて結果をよく見てきた。


基本でありとても重要なことである。



 予備の魔石による魔給も終わりロールバーをくぐりながら助手席に乗り込む。前の世界のラリーとかでもそうだがロールバーはボディの補強というよりは人命保護の役割のほうが強い。


クラッシュなどや横転した時に搭乗者を守ってくれるわけだ。そして整備士さんが外部バッテリーを接続し試験官が魔導エンジンを始動させる。


いつもの低音と外にいるときでは感じられない振動をシート越しに体で感じる。だんだん自分でも高揚してくるのが分かる。


そして俺を載せた試験車両が発進した。ピットから発進しゲートをくぐってそのままホームストレートに出る。


ちなみにマジカルレース場にはピットロードというものはない。ピットから発進ゲートへ向かいそこからすぐ大きな広場のようなレース場に出ていく感じだ。


他のモータースポーツと違いレース中に補給をすることもタイヤ交換をすることもないからね。



 そのままホームストレートへ入り全開で加速していく。ギヤチェンジもスムーズだ。さすが試験官。


ギヤチェンジの仕方や注意点を聞きながらブレーキングに入りそのままターンマークを廻る。


ブレーキングポイントの位置やブレーキの踏み方、シフトの落とすタイミング、ターン時の視点方向、ステアリングを切るタイミング、戻し方などの説明があった。



 最初の第一ターンマークはグリップしながら廻った。ドリフトはさせていない。初めて運転する受験者にいきなりドリフトの説明をしてもできるはずがないとの考えだろう。


そしてバックストレートを加速し第二ターンマークを廻る。ホームストレートから第一ターンマークと同じような説明を受けた。


一度説明しただけで分かるもんでもないというか、聞いてるだけでいきなり全部できるものでもないからね。


ヨーコはちょっと別格すぎただけだ。第二ターンマークを立ち上がり加速するときに試験官がこのように言ってきた。



「次は実践と同様に廻るから。真似しなくていいから参考にするように。」



はい、まってました!次は本気で廻ってくれるらしい。真似するなといってもやれるならやっちゃうでしょう。



 二週目ホームストレートから第一ターンマークまで一週目よりも()()()()()()()()()()()()。そのまま120Km/h付近の最高速まで加速し第一ターンマーク前でフルブレーキングに入る。



 ちなみにマジカルレースではスピードメーターはついていない。さらに一般魔導車にはついている燃料計ならぬ魔力計もついていない。


ついているのは回転計(タコメーター)と水温、油温、油圧計のみである。どんなレースでもそうだと思うが、余計なものは何一つついていないのがマジカルレース車両だ。



 ブレーキングポイントは一周目より当然深い位置からだ。しっかりブレーキングで速度を落としてからおもむろに試験官が()()()()()()()()()()()


リヤタイヤがロックされスキール音とともにターンマークをなでるように小さく廻る。しっかり車の向きを変えるとロスなく加速していく。


俺はくーっ!とこらえきれない衝動が沸き上がった。この横G!前の世界で死んでから数えて16年ぶりの横G!


いあー、やっぱりやめられませんね。早く自分でもやりたい! と思う一方ひとつ不満があった。



 マジカルレースではドリフトしながらターンすると前に話したが詳しく言うとサイドブレーキを使ったターン、要はJターンやサイドターンと呼ばれるやり方が主流なのだ。


これが理由でパイロンはターンマークと呼ばれる。なるべく内側を走りパイロンを小さく廻ってそのまま立ち上がることで一周走行距離が短くできるからだ。


なので試験官は第一ターンマークへ向かう際内側に寄って走ったわけだ。さらにレースの世界ではライバル車と並走した時内側が有利なのは言うまでもないと思う。


先にコーナーに飛び込めるしブロックもできるからだ。外側の相手からすると邪魔でしょうがないわけだ。マジカルレースもパイロンを廻るだけとは言え同様なのだ。


そしてこのJターン、まさにジムカーナで言うパイロンターンのテクニックだ。俺もジムカーナをやってたときはよくやっていたし。


これはこれでいいのだけれども。とてもいいものなのだけれども。もっと、もっとだ。もっと横Gが欲しいのだ。脳内のアドレナリンが漏れ出るくらいの興奮が欲しいのだ。


そんな感じで頭をいっぱいにしていたらあっという間に三周が終わってしまった。え?試験官の話は耳をダンボにして聞いておかないといけないと言っていたって?


うん、確かに言っていた気がする。ドンマイ。要は実際にできれば大丈夫!俺の自問自答をよそに自分の運転の番に心が高鳴る気持ちでいっぱいになっていた。



 ピットに戻り助手席から降りてはやる気持ちを抑えながら魔給(マナチャージ)にとりかかった。


落ち着けー。落ち着け俺ー。呪文のように頭で繰り返す。早く運転席に飛び乗りたい衝動を必死に押さえつける。


気分は前の世界のアニメでやっていた三代目大泥棒だ。美女にパンイチで飛び込むわけでもないけど。



 魔給(マナチャージ)についてだが前の世界に魔力や魔法なんてものはもちろんない。もし俺が生まれたときから前の世界の知識があったとしたら戸惑ったと思う。


魔力って何?魔法ってどうやって使うの?って。まあ魔法を誰しもが使えるわけではないのだけれども。


しかし生まれてから前の世界の記憶が蘇るまでこの世界で普通に育った俺にとっては魔力とは空気のように自然なものであり、当然のように感じることができる。


学校の授業でも体力測定、身体測定のほかに魔力測定だってあるぐらいだ。この魔力測定の値が高い人は魔導士の適性があるということになる。


将来の道を決める一つの指針になるわけだ。俺は他には目もくれずマジカルレーサー一択だったが。



 そして魔給(マナチャージ)だが魔石(マナストーン)に手をかざすことで魔力(マナ)を吸収させる。この手をかざした時に熱を感じ魔石(マナストーン)と手の間が熱気のようにぼやけて見える。


そして体の中から魔力(マナ)魔石(マナストーン)に移っていくのを感じることができるのだ。魔力(マナ)の質が良いと透明色の色がついて見えるらしい。


ちなみに俺の魔力(マナ)には残念ながら色が見えない。ヨーコの魔力(マナ)はうっすらピンクがかっていた。質がいいみたいだ。この天才め。


幼馴染とはいえ最近では体力測定や魔力測定は男女別だったので、どれほどのものになっているかは知らなかったのだ。昔は色がついてるかどうかぐらいだったと思う。



 次はとうとう俺が運転する番だ。緊張してきたけどそれ以上にわくわくしてきた。




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マコトの独り言



〇最高速について


 最高時速120Km/hと前より話しているが回転計(タコメーター)では正確な速度は分からない。


車両の調子の良し悪しによってもしかしたら119km/hしか出ないかもしれないし121km/h出るかもしれないしもう少し差が出るかもしれない。


大差ないだろうと思われるかもしれないがこの1、2km/hの差がレースでは重要になったりする。



〇車に飛び込みたい気持ちについて


 三代目大泥棒は車にも飛び込むが飛び込んだとたんにタイヤが外れて転がっていってたけど、そもそも試験車両はオープンカーじゃないんだから飛び乗るのは無理なんだけどね。気持ち的にね。


そういえば前の世界で走行会に行ったときドリフト中にタイヤが転がっていく車見たなー。自分の車のタイヤが本体おいて先に行くってシュールだなーって思ったことを思い出した。どうでもいい話か。






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