表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マジカルD ~異世界でも横滑り~  作者: 咲舞佳
第一章 マジカルレーサー養成学校入試編
8/53

第八話 ヨーコの才能


マコトの独り言の前にヨーコの独り言があります。

よろしければご覧ください。


マコトの独り言に追記しました。

 試験官のデモ走行での詳細説明は事前には聞くことができない。デモ走行中しか聞けず説明を聞いたあとすぐに実践する一発試験なのだ。


そうでないと自分の番が後の受験者ほど説明を聞いた後何度も走行を見れるため考える時間ができてしまい有利になってしまう。


それでも走行を見れるだけ試験順番が後の受験者のほうが有利なのだ。逆に言うと他の受験者の走行試験をただぼーっと見ているだけではいけない。



 他の受験者やデモ走行を見てイメージトレーニングすることが重要だ。前の世界でもイメージトレーニングの重要性はよく知っていた。


サーキットで走行練習するにはお金がかかる。いつでもどれだけでも練習できるわけではないのだ。


その限られた機会の中でどれだけ濃い練習できるかが重要であり、そのためのイメージトレーニングなのだ。


頭の中でイメージしてああしようこうしようといったことをサーキットに行ったときに実践して試し、上手くいったところ駄目だったところを持ち帰りまたイメージトレーニングで考えたことを次回実践する。


このトライ&エラーこそが上達するための近道なのだ。



 最初の受験者が試験車両を走らせようとする。するっとがくがくっと停止した。エンストしたみたいだ。


まー、そうだよねー。半クラ難しいよねー。MT車を運転するためには必ず必要な操作だ。失敗するとこのようにエンストする。


動き出さないからとどんどんクラッチペダルを緩めていくからエンストしてしまうわけだ。これは最初っからできる人も少ないだろうなーというのが正直なところだ。



 それでもがくがくしながら最初の受験者の試験車両が発進していった。すぐに発進できただけでも上出来だと思う。


そして加速していくが、ギヤチェンジもスムーズとは言い難くホームストレートから最初のターンマーク=第一ターンマークへと向かう。


ターンマークとは要はパイロンのことだ。コーナーがあるわけではなく大きなパイロンだけなのでコーナーリングではなくターンと表現する。


ちなみに最初に廻るのが第一ターンマーク、反対側のもう一つが第二ターンマークだ。



 そして第一ターンマークのかなり手前でゆっくり減速しターンマークをそろそろ廻りバックストレートに出て加速する。


そんな調子で3周して戻ってきた。まあ、こればかりはしょうがないかなーと思う。初めての運転で完璧にできたらそれこそ天才だ。


しかしそれでも加速は可能な限り思い切りよくするべきだったと思う。おそらく試験官のデモ走行でブレーキポイントの説明もあったと思うから。


その手前まででいいから全開加速するべきだと思うんだよね。レースではチャンスに飛び込むくらいの思い切りが必要だから。


危険を顧みず飛び込むというわけではなく、失敗を恐れてしり込みするようではだめだという話だよね。


試験官が安全なポイントを教えてくれているのだからせめてその手前までは全開で行っても問題ないということなのだから。


そういう姿勢を見せることができないとこの実技試験で初めての運転でもやれますというPRにはならないだろうと思う。



 次の受験者の試験が始まったところでふと隣の班に目をやる。あのいやーな感じのやつがヘルメットをかぶっているのが見えた。


あ、いやーな感じのやつの試験が始まるんだ。自分の番まではどうせ待機だから見てみようと思った。

どれ、実力拝見。


試験官によるデモ走行も終わりいやーな感じのやつが運転席に座った。いやーな感じのやつというのも長くて呼びづらいな、じゃあ「ヤな感じ」で。



 ヤな感じが試験車両を発進させた。おー、一発で発進させた。そしてホームストレートに入り加速する。


ギヤチェンジも意外にスムーズ。やるなヤな感じ。お、なんか語呂がいい。いやそれはどうでもよくて。


さてはどこかで練習してきたな。でも全開加速ではないっぽい。ちょっとびびってるんじゃないかな。

マジカルレース車両はそれでも最高時速120Km/hは出る。


誰でも高速道路などで初めて100Km/h出すときは躊躇するだろう。


確か前の世界で俺が免許を取ったときの高速道路演習は80Km/hまでしか出さなかったと思う。おっかなびっくり合流したなーっと懐かしく思う。


この合流が怖くてできず止まってしまう人もいるそうだ。後ろから100Km/hごえの車がびゅんびゅんくるからね。



 そして第一ターンマークのだいぶ手前からブレーキングを始める。あー、やっぱりびびりだな。発進やギヤチェンジを見るに魔導車の運転は初めてではなかろうに。


まあどこでどのようにして練習したかはわからないが。無免許で公道で練習したわけではないだろうけれども。



 中には裕福な家の御曹司的な受験者もいてそういった人は私有地にて魔導車の運転経験があったりする。


これだから金持ちは、とひがんでしまう。俺もお金があれば前の世界でもっとチャレンジできたものをと思ってしまうわけだ。


まー、だからこそのマジカルレーサーだもんな。前の世界ではお金が続かずにレースをやめてしまったがお金のかからないマジカルレーサーで、しかもマジカルレーサーになる前に負けるわけにはいかない。




 ヤな感じが3周終えて戻ってきた。運転席から降りてヘルメットを外した顔はこれでもかというぐらいのドヤ顔だった。


あー、まー確かに初めての運転する受験者の中ではそうなのかなーって思った。しかし試験官からの説明通りかというとたぶんそうではないはずだ。


全開加速でもないしブレーキ早すぎだし。そもそも仕事でもなんでも相手から言われたことだけをやるだけでは及第点だ。


相手から言われたことプラスαできることが仕事のできる人とそうでない人の違いなのだ。まあ俺がそうだったとは胸を張って言えないが周りの仕事ができる人を見ていると皆そうなのだ。



 そうこうしていると俺の班の試験車両が戻ってきてヨーコの番になった。ヘルメットをかぶるヨーコに試験官に聞こえない程度の大きさで声をかける。



「ミスしてもいいから思いっきりいけよ。」


「大丈夫。まかしといてよ。」



意気揚々とヨーコは試験車両へと向かった。



 ヨーコの試験が始まった。的確に点検と確認を行っていく。さすがヨーコ、試験官の説明を全部覚えてたな。


まあ、3番手ともなると前の受験者のやっているのを見て覚えれるとは思うのだけれども。このあたりも試験官は判断基準に加味しているのだろう。


これで全然できてなかったら前の受験者がやっているところを見てないってことになるからね。



 試験官のデモ走行が始まりヨーコは助手席に乗り込み発進していった。3周して戻ってきてから試験車両を降りて魔給後試験官と席を入れ替える。


ちらっとヨーコのヘルメットから少しだけ表情が見えた。何かを考えているようだった。


このときは考えることは大事だからなー程度しか思ってなかったんだけど。ヨーコが乗り込み魔導エンジンが始動され試験車両が発進するかに思われた。



 あれ?発進しない。運転席のヨーコを見ると下を見てるようだ。足元を見てる?


あ、クラッチの踏み加減を確認してるなこれ。しばらくしてスーッと魔導車が発進し始めた。おー、エンストせずに一発でクラッチミートを決めた。さすがだな。


他の受験者も小さくおー、と感心する声が聞こえた。そのままホームストレートに入り全開で加速していく。


そう全開で。これまでの受験者が誰一人全開まで踏めていなかったのに。思い切りいいなー。この思い切りのよいのがやっぱヨーコだ。


さらにギヤチェンジも意外にスムーズだ。さすがに声を抑えられなかったのか、周りの受験者の「おーー!」という声が思いっきり聞こえる。


おいおい君たち受験中だよ?まあ、他の受験生ががっくんがっくんシフトチェンジしてたからね。



 そして第一ターンマーク前でブレーキングを行う。これまた今までの受験者よりきっちり奥まで行って踏めてるし。


おそらく試験官の指示通りの位置でブレーキを踏んでるのだろう。すごいな、言われてすぐにできるのか。天才か。


しっかりターンマークそばを廻って立ち上がって見せそのまましっかり3週廻って戻ってきた。



 ヨーコは運転席降りてからヘルメットを外して頭を振った。髪をふぁっさーってやりながらその顔はやり遂げたあとの満面の笑みだ。


やだ、後光が見える。この笑顔はやばいんじゃない?誰か惚れちゃうんじゃない?案の定周りの受験者がポーっと見ている。


俺?見慣れてるし本性知ってるし。今更感がなー。だが口に出すと絶対に叩かれるから口が裂けても言わないが。



 俺に向けて「どう?」とヘルメットを抱えたまま腰に手を当てドヤ顔をして見せる。ヤな感じと違ってとても様になってる。俺は親指を立てて突き出した。


ヨーコは小さなガッツポーズで返してきた。そのポーズがなんかかわいく見える。かっこかわいいだ。やっぱりヨーコはかっこいんだよなー。


男の俺から見ても。そういえば学校でも女子からももててたなー。



 俺の幼馴染はやっぱりすごいやつだった。


後で聞いたらデモ走行から戻って運転席に乗るまでイメージトレーニングを行っていたそうだ。考えていそうな顔はそれでだったようだ。


イメージトレーニングは重要だと前に話したがヨーコも誰に言われるでもなくしっかりやっていたようだ。イメージで試験官のデモ走行における操作を自分に置き換えてトレースしていたとのこと。


ヨーコは前にも話したがチアリーディングをやっていた。しかも全国レベルで。


チアリーディングはアクロバティックな演技もあり、ヨーコは自分の動きを客観的にイメージして修正できるそうだ。


自分の体を自由自在に動かせるといってよい。いきなり練習もなしにできてしまうのはすごすぎるが。さすが全国レベル。



 ふと見ると隣の班のヤな感じが目をまるくして見てる。ただ普通に走らせただけでドヤ顔してたからな。驚いただろうに。俺も驚いたが。


反対側の班ではヤンキーの娘が驚愕に目を見開き、みつあみの娘が手で口を抑えて驚いている。いやいや君たちもちらっと見てたけど十分立派に動かせてましたよ?


ヨーコが異常なだけですよ?自信持って。ファイト。心の中で無責任な応援をしておいた。


さて次は俺の番だ。負けてらんないな

 




--------------------------------


ヨーコの独り言



 デモ走行ではしっかり試験官の操作を目に焼き付けるように見ておいた。自分の運転の番まで何度も頭の中で操作を繰り返してみた。


自分の体を、手足をどう動かすかを考えるのは今までチアリーディングでさんざんやってたから。


自分の運転の番になって、運転席に座ったときハンドルやクラッチなどいろいろ確認してみる。初めて運転席に座り初めて触ったけど行けそう!と思った。


発進のときはそれでも慎重にクラッチを操作したけど、全体的に上手にできたと思う。アクセル全開はちょっと怖かったけど気持ちよかった!


マコトが夢中になる気持ちが少しわかっちゃった。

車から降りてヘルメットを脱いだ。風が気持ちいー! 髪を振りほどきながらそう思った。


マコトが驚いた顔でこっち見てたので「どう? 」って態度で示してみた。マコトが親指を突き出していたのを見て、やった! って思わず小さくだけどガッツポーズしちゃった。


いろんな意味で満足のいく結果だったよ。




--------------------------------


マコトの独り言



〇クラッチについて


 クラッチはエンジンの回転軸とミッションのギヤからタイヤに繋がる回転軸をつなぐ部品だ。


クラッチの回転軸接触面はブレーキパッドと同様に石のような素材でできており、これを押し付けることで回転軸同士をつないでいる。


半分クラッチを踏んで石の接触面を滑らせながらお互いを回転させることでいきなり動力をつないでエンジンが停止しないようにする。


これが最初は難しい。踏み加減を間違えるといつまでたっても進まないし、逆にエンスト(エンジンストップ)してしまう。


コツとしては数mmずつクラッチを踏む力を緩めて車が進もうとする力を感じることだ。


動き出そうとしたとこでクラッチペダルの踏みこみ量をそのまましアクセルを徐々に踏んでいけばすればするすると動き出すだろう。


勾配がある場合は少しずつアクセルを踏み足していく感じだ。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ