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マジカルD ~異世界でも横滑り~  作者: 咲舞佳
第一章 マジカルレーサー養成学校入試編
6/53

第六話 実技試験


マコトの独り言に変更しました。


マコトの独り言に追記しました。


誤字脱字を修正、ルビを追加しました。

耳をダンボに~の後の部分が原文から消えていたので追記しました。

 魔導車に乗るのが初めてという受験者がほとんどであり、事故やケガのないよう試験官は厳しい表情と声で説明している。


ここでしっかり説明を聞かずに指示と違うことをすれば試験は落とされてしまうだろう。耳をダンボにして聞いておかなければ。というかこの言葉も前の世界ではすでに死語だったよね。


昭和か!と自身に突っ込みを入れてる場合でもないか。説明を聞き逃してしまう。そして試験官が実践しながら説明は続く。



魔導車のエネルギーとなる魔力(マナ)魔力(マナ)タンク内の魔石(マナストーン)にて貯蔵される。


人一人の魔力(マナ)では魔導車を何百キロと動かし続けるには足りないからだ。というか、車の中でステアリング握りながら魔力(マナ)を込めるということも不可能だが。


魔石(マナストーン)とは魔力(マナ)を吸収する石のことだ。魔鋼(マナスチール)魔力(マナ)を帯び続けることで長い年月を経て変質した金属のことだが、魔石(マナストーン)魔力(マナ)を吸収し、吸収後は放出し続ける。


その魔石(マナストーン)魔鋼(マナスチール)で覆ったものを魔力(マナ)タンクとして魔導車に搭載している。通常の魔動車なら魔力(マナ)ステーションにてノズルを魔給(マナチャージ)(インレット)にはめ込むことで魔力(マナ)タンクへ魔給(マナチャージ)する。


前の世界のガソリンスタンドと似たようなものだ。



 しかし、マジカルレースの魔動車は自分の魔力(マナ)を直接魔石(マナストーン)に込める。レースに不必要なものは一切外されており魔力(マナ)タンクも専用のものに交換されているからだ。


1周1200メートルを三周してピットに帰ってこれる分だけの大きさに小型化、軽量化されている。この魔石(マナストーン)の大きさであれば人一人の魔力(マナ)量でなんとか足りる量になっている。


この魔給(マナチャージ)に足りうる魔力(マナ)を持っていることももちろん合格するための条件だ。そして自分で魔力(マナ)を込めるがゆえに魔力(マナ)の質に個人差がでる。


要は熱エネルギーへの変換効率に差がでるのだ。魔力(マナ)量は魔給(マナチャージ)できるだけあれば問題ないのでマジカルレースにはほぼ関係ない。


質が良い魔力(マナ)を持っていれば単純に出力があがる、つまりマジカルレースにおいて速いということだ。これがマジカルレースで男女差が大きく生まれない理由になっている。


だが、大きな差はなくとも男女差は違うところで確実にできてしまうのだがそれはまた別の話だ。



 魔給(マナチャージ)までの説明が終わり今度は実際の魔動車運転操作説明が始まった。ステアリング、アクセル、ブレーキにクラッチと説明が続く。


試験官が半クラッチの説明をしている。そう、もちろん魔導車はMT車だ。そもそもAT車というものはまだこの世界にはない。


前の世界ではCVT(無段変速機)がすでに主流となっていたがMT車ではクラッチを踏みシフトレバーでギヤを変えるのが当たり前だ。



 ということを考えていたら隣にいたヨーコに肘でつつかれた。目が「ちゃんと聞いておきなさいよ!」と言っている。


うーん、操作自体は今更説明受けてもといった感じだ。前の世界の記憶でもそうだが父親の乗る魔導車の助手席に乗り一挙一動を瞬きせず見ていたからだ。


父親も「景色よりも操作のほうを見るのが好きとはお前もわかってるなー。」と言っていた。俺の父親の魔動車好きも相当だ。


そして操作の説明が終わり次は試験官のデモ走行が始まる。





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マコトの独り言



〇マジカルレースについて


 マジカルレースは三周で行われる。三周と聞くと短いと思うかもしれないがこれには訳がある。魔導車は魔力(マナ)で走るがゆえの問題があり、周回を重ねれば重ねるほど先行車との差が開きやすい傾向があるからだ。


これは排出される残留(アフター)魔力(マナ)が原因となる。変質した残留(アフター)魔力(マナ)はエネルギー変換効率を悪化させると前述したが、後から走る魔導車はこの前を走る車から排出される残留(アフター)魔力(マナ)を吸ってしまうのだ。


前の世界だとレースの世界ではスリップストリームにて空気抵抗を減らして相手より前に出るというのが当たり前の技術だったが、こちらの世界では前の車の残留(アフター)魔力(マナ)をもろに吸ってしまうために意味をなさない。


 そもそもこのマジカルレースの魔動車では最高時速が120Km/h程度なのでスリップストリームが可能だったとしてもそれほど効果があるかどうか。


意外に遅いと思われるかもしれないが前の世界のエンジン技術ほどの魔導エンジン技術はすすんでいないということだ。昭和レベルの技術力だし。


それどころか安全装置など全くついていない。衝突安全ボディはもちろん、ABSもエアバックもそれどころかパワステ、パワーウィンドウすらついていない。


といっても、俺も前の世界では30年以上前の車に乗っていたので大して変わりはしない。車が止まっている状態では片手でステアリングを廻すことすらできない。


ハンドル回して窓を開閉する手動ウィンドウも慣れたものである。


 この単純なように見えるレースがとても奥深いのだ。いかに前の車の残留(アフター)魔力(マナ)を吸わずに相手をかわしていくのか、また残留(アフター)魔力(マナ)を使って相手をブロックすることだってできる。


単純なコースだからこそ複雑な駆け引きがある、それこそがマジカルレースの魅力なのだ。昔はもっと周回数があったらしいが三周に落ち着いたらしい。



〇MT車について


 この世界の車は全てMT車だ。AT車を作るだけの技術がまだないらしい。前の世界でもだいぶ数は減ったもののまだMT車はあったがAT車よりもMT車のほうが値段が高かったことと思う。


しかし、前の世界の俺がまだ若かったころはAT車よりもMT車のほうが値段が安かったのだ。


なぜAT車とMT車の値段が逆転してしまったかというと、本来であれば部品点数や構造の複雑さからAT車のほうがコストがかかるのだが、MT車が全然売れなくなってしまい台数が作れなくなったからだ。


 部品を量産するときのコストは簡単に言うと生産台数で決まる。部品を製作するときにかかった費用に利益分を載せた金額を生産台数で割るからだ。


圧倒的に数の少なくなったMT車は生産台数が少なく圧倒的多数のAT車よりも値段が高くなってしまったというわけだ。



〇シフトレバー操作について


 シフトレバー操作は子供が見ていても面白いと思う。前の世界では俺の両親は自動車をもっていなかった。


家族で旅行になるとよくタクシーに乗っていたが、タクシーの運転手がシフトレバーを操作しているのを見るのが楽しかった。


幼稚園の頃の将来の夢はタクシー運転手だったぐらいだ。大人になってから実家で幼稚園の頃の将来の夢と自分が書いたであろう紙が出てきて懐かしく思ったものだ。


 大人になってからだがゲーセンで中学生くらいの子がこっちを見ながらレースゲームのシフトレバーを意味もなくガチャガチャやっていた。


おそらく漫画の影響で「高速シフトチェンジ!」とか思っているのだろう。いや、そんな早いタイミングで5速から2速まで落とさないから。


どんだけクロスミッションだよ。と内心突っ込んだものだ。おそらく同じようなことをやっている子が多かったのだろう。


そのうち故障の元となるから禁止という注意書きが貼られるようになり、ゲームのシステム的にも数秒の間に一定回数以上のシフト操作をするとニュートラルに強制的にもどされるようになった。


 このようにシフトレバー操作も含めて車の運転、操作というのは子供も興味を示す楽しいと思えるものなのだ。


そのMT車だが前の世界で死ぬ前はタクシーだってAT車になっていた。俺もAT車しかなかったらこれほど車に興味をもっていたかどうか。

 

 子供向けのDVDに「働く車」というのがあったと思うがあれだってクレーン車や消防車などのいろんな車が出てきてそれをレバーなどで操作するところなどが子供に受けていたはずだ。


だいたい前の世界で俺が子供のころビデオテープですら売られていたロングセラーシリーズなのだ。


 若い人の車離れが前の世界で言われていたが、たぶん父親がMT車を運転するのを見てこなかったのもあるんじゃないかと思う。


スポーツカーが売れないからとメーカーが作らなくなりどんどんスポーツカーがなくなっていくという悪循環だったのが問題だったのだろう。


メーカーがスポーツカーが売れなくてもそれでも売れる車を作るんだ!といった気概があればここまで若い人の車離れも進まずに済んだんじゃないかと思うんだがどうだろうか?


 だが、おそらくメーカーも気づいていたんだろう。それが証拠に俺が前の世界で死ぬ前には世界でもトップの自動車メーカーがスポーツカーの販売に力を入れていてスポーツカーの数も増えていっていた。


何せあの漫画でも有名な名前の車を復刻させるぐらいの意気込みだった。しかし、前のモデルを実際に乗ったことある人達からは散々「違う」と叩かれていたけれども。


俺もその前のモデルの車に乗っていたので全くの同感だったが。なので全く乗り替える気にならなかった。そもそも新車を買うお金を用意するぐらいなら走りに行く方にお金をかけていたし。


 それでも、スポーツカーがほとんど売れていないそんな状況でスポーツカーを開発しようとしたことが凄いし、40代以上の世代の人がまたスポーツカーに乗りたいと販売台数も好調だったそうだ。


まあ、メイン購入層は若者ではなかったもののそんなスポーツカーを乗る父親の背を見てきっとスポーツカーに乗りたいという子供も増えることだろう。


世界トップだったメーカーがこれだけスポーツカーにこだわってくれるのを見て俺は自動車業界もまだまだ安泰だなと思ったものだ。


 しかし、何目線なんだろねこれ。評論家か!と自分に突っ込んでおこう。このあたりの操作の面白さをもっとPRすれば興味を持ってもらえるようになるのにと個人的に思う。








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