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マジカルD ~異世界でも横滑り~  作者: 咲舞佳
第二章 マジカルレーサー養成学校編
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第四十七話 卒業レースが始まる

 マジカルレーサー養成学校での2回目の冬が終わろうとしていた。もうすぐ卒業となる。長いようで短い2年だった。いろいろなことがあったが俺やヨーコたちグループメンバーのみんなも無事卒業できそうで良かった。


 しかし、卒業する前に大きなイベントがある。それが卒業レースだ。まさに卒業式の日に行われる。42期生の模擬レースで年間成績の上位6名による42期生No.1を決めるレースなのだ。


 先に話した模擬レースの年間チャンプを決めるレースというわけだ。この卒業レースでの優勝者はのちに大成すると言われている。俺ももちろん狙っている。卒業レースのメンバー、言い換えると年間成績のTOP6が次のようになる。



1号車 ツチヤ リョウ

2号車 ヒビノ マコト

3号車 アマノ ヨーコ

4号車 スズキ ダイスケ

5号車 ナカタ ユーコ

6号車 タドコロ ミドリ



 もちろん1号車から成績順だ。結局俺は年間成績でツチヤを抜くことができなかった。しかし、俺も年間勝率は8点を超えツチヤに迫ることはできた。そしてヨーコが俺をマークするかのごとくきっちり3位をキープしてみせた。


 マークと言えばマジカルレースにはマーク屋と呼ばれる選手がいる。自分でスタートタイミングを計らずに、スタートが早い選手にスタートタイミングを合わせてスタートを加速する選手の事だ。


 ヨーコはマーク屋ではないけどね。車の世界では開発の指標となる、基準となる車をベンチマークといったりする。あるメーカーの車の完成度がとても高く、その車より良い車を作ろう! となるとそのメーカーの車をベンチマークとするのだ。


 ヨーコにとっておれがベンチマークなのかもしれない。ちょっとうぬぼれだろうか?



 そしてダイスケとナカタさんが続いている。最後に追い上げを見せ順位を上げてきたのだ。初めからセンスのあった二人だからこの成績も納得だ。


 ヤマダとタカハシさんは8位、9位と卒業レースには出れなかったものの立派な成績となっている。周回タイムがクリアできず退学かも!? なんて言ってた時期が懐かしい。



 卒業レースでは1号車がツチヤで隣の2号車が俺となっている。この卒業レースで今度こそ本当のリベンジをしたいと考えていた。


 以前ヨーコと共にツチヤに勝ってから幾度かツチヤと同じレースを走ったが、1対1での競り合いにまでは至っていない。


 そもそもマジカルレースでは複数台の競り合いになることも多く、あれから幾度しかなかったツチヤとのレースで1対1のシーンになることのほうがレアケースと言えた。


 しかし卒業レースでは1,2号艇でそのまま1,2コースになればスタートから隣同士だ。1Mのターンでそのままツチヤとの競り合いになることも容易に予想できる。


 それこそ1Mでそのまま決着をつけたいくらいだ。スタートの早いツチヤを1Mでどうこうできるとは思っていないが。それでも何が何でも優勝したいものだ。


 ジンクスにあやかるというわけではないが、この辛くも厳しい2年の最後を優勝で飾りたいと卒業レースに乗ることができた6名は皆思っているはずだ。



 しかし、他の42期生たちの大方の予想は1号艇のツチヤがそのまま逃げて優勝するというものだった。それも仕方ないことで、この1年でのツチヤの1号艇1コースの勝率は95%ととてつもなく高い数字となっていたからだ。


 それこそ勝てなかったレースでさえ、捲られたことは一度もない。2,3コースが凹んでしまい、それでも捲らせずに1M先マイし内側を差されての2着が数本あるくらいだった。


 これが模擬レースではなく、本当のプロデビュー後のレースだったらツチヤに圧倒的な人気がかぶっているということだろう。


 だけど、だからこそ逆に燃えるよね。圧倒的人気の1号艇ツチヤを下して勝ってやる! と、俺は打倒ツチヤに燃えていた。




 卒業レース当日になった。卒業レースの準備をしていると、ツチヤがまたも珍しく話しかけてきた。



「ヒビノ、とうとう最後のレースだな。」


「最後? いや違うな。」



 俺はツチヤの言葉を否定した。ツチヤが聞き返してくる。



「何が違うんだ? 」


「最後ではなくて始まりだ。これからプロとして幾度となく勝負していんだからな」



 俺はすでに卒業後のプロとなった後も見据えてそうツチヤに告げたんだ。



「なるほど。じゃあ、手始めの1勝をもらうとしよう」


「させない。俺が勝って優勝するさ」


「そうか。できるものなら見せてもらおう」


「おう。見てろ、今度こそ本当の決着をつけてやる」


「ふん、いいだろう」



 そうツチヤは言うと、くるりと踵を返しすたすた自分の魔導車のほうへ戻って行った。



 ふう。ちょっと気負ってしまった。今度こそリベンジしてやる! という気持ちを前面に出してツチヤにぶつけてしまった感じだ。いかんいかん、冷静にならねば。


 すると、近くでヨーコがやり取りを聞いていたらしく話しかけてきた。



「マコト、珍しく火花ちらしながらツチヤ君とやりあってたね」


「ああ、ちょっと感情的になってしまったかも」


「いいんじゃない? いつもぼーっとしてるように見えるけど、本当はそうじゃないもんね? 」


「え? そうか? というかそうじゃないって何?」


「んー? 内緒!」



 ヨーコが腕を後ろに組んで上目遣いでからかうように言ってきた。ぐっ! 可愛い。口が裂けてもヨーコにそんなことを言う気はないがぐっと来てしまった。俺はごまかすようにヨーコに言った。



「ヨーコにだって負けないからな」


「うん! どーんとこい!」



 そういってヨーコはまぶしく笑ったんだ。すると、横から茶化すように声をかけてきた。



「はいはい、ごちそーさん」


「ヨーコちゃんとヒビノ君、相変わらず仲いいねー」



 ナカタさんとタカハシさんだ。



「ふふふ。そーお?」


「あ、いや、そういうんじゃなくて、別に何でもないよ? 」



 俺が慌てているのに対してヨーコは嬉しそうに言った。何この公認カップルみたいなやりとり?



「うぉっほん! タカハシさんはともかくナカタさんもレースの準備あるだろう? こんなところで油打ってていいの?」



 俺はわざとらしく咳払いし、強引に話を変えようとした。



「あー、それな。準備してたんだが、ヒビノとツチヤがあちー会話してっからよ。おもしれーから見てたんだ。」



 おっと、堂々と野次馬してたと公言されてしまった。



「あのあの、ごめんなさい。聞くつもりはなかったんだけど、とても目立ってましたよ?」


「あ、そうなの?」


 

 俺は思わず聞き返した。ツチヤとのやりとりに少し熱くなって周りが見えてなかったかも。すると、ナカタさんとタカハシさんの後ろからダイスケとヤマダがやってきて話を続けてきた。



「そうだぞ、かなり目立つやりとりだった」


「そうだよ。何せ模擬レース年間成績NO.1とNO.2がやりあってるんだから、みんな注目してたよ?」


「あー、ごめん。ちょっと熱くなってたかも」



 2人に言われちょっと反省した。やはりレーサーたるもの冷静でいないとね。



「いや、気持ちは分かる。俺だって負けないからな。お前に勝って模擬レースを締めくくってやるぞ」


「あたいもだぜ!」


「おう。望むところだ」



 ダイスケとナカタさんの意気込みに呼応するように俺は返事をした。 


 2年間艱難辛苦をともにした仲間と言えど魔導車に乗ってしまえばライバル同士だ。手加減などするはずもない。堂々とぶつかって勝負を決めようと思う。


 まあ、コース的に俺がドーンとくるヨーコ、ダイスケ、ナカタさんを受けとめる位置だとは思うんだけどね。捲られたらどうしよー。ヨーコスタート早いからなー。ヨーコの捲りに乗ってダイスケとナカタさんも来たら受けとめられるなかなー?


 おっと、望むところと言ってる傍から弱気になってはいかんな。強気、強気、というか冷静さはどこ行った? そう思ってるとぺーん! と背中を叩かれた。



「マーコト! 肩に力入ってるよ!? リラックスして行こう!」


「お、おう!」



 そんな俺とヨーコを見てみんなも笑ったんだ。


 

 さー、泣いても笑っても模擬レースを締めくくる卒業レースが始まる。優勝してプロデビューの始まりとしましょうか!




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