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マジカルD ~異世界でも横滑り~  作者: 咲舞佳
第二章 マジカルレーサー養成学校編
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第四十四話 リベンジ③


誤字脱字を修正しました。

 外側からマコト4号車、ツチヤ1号車、ヨーコ5号車の順で段々になりながら2周目ホームストレートを走り抜ける。


 甲高い排気音と共に残留魔力アフターマナを舞わせながらながら3台は疾走する。



 ツチヤがホームストレート直線で伸びてマコトに追いついてきた。ツチヤが内側でマコトが外側、前に競り負けたときと同じ状況になろうとしていた。



 2周目1Mが迫ってきており、またもやツチヤがマコトのブレーキングドリフトをブロックしに行くのかと思われた。


 しかし、急にツチヤ1号車がターンマークに向けてステアリングを切ったのだ。まだブレーキングに入っていない。



「よし! 予想通り!」



 マコトは思わず声を上げた。マコトはツチヤが早めにターンマークに車を向けるのが分かっていたのだ。なぜなら前に競り負けたときと決定的に違う要因があったからだ。


 それはヨーコだった。ヨーコが二人が並走しているのを見て1Mを先マイするため早めにターンマークに向けてステアリングを切っていたのだ。



「二人が競り合ってる間にあたしが先に廻っちゃうよー!」



 ヨーコが車の中で一人気を吐く。



「そうはさせない!」



 ヨーコがステアリングを切るのを見たツチヤは、ヨーコ5号車の頭を抑えるため同様にステアリングをターンマークに向けて切ったのだ。


 ヒビノとの競り合いを邪魔されてなるものかと、ヨーコを先に競り落としてマコトとの勝負はそのあとだと考えたのだ。



 ヨーコがついてきている時点でマコトはこの展開を予想していた。勝気なヨーコなら必ず先マイを仕掛けるだろうと。


 ヨーコはツチヤ1号車がヨーコ5号車の頭を抑えに来たのを見て言った。



「ツチヤ君が抑えに来たね? それでもいっくよー!」



 ツチヤがヨーコを先に廻らせまいと、1Mを締めて廻ろうとするがヨーコがブレーキングドリフトでねじ込むようにターンする。


 2台が重なり合うように1Mの立ち上がりで外に膨らんでいくのを見てマコトはほくそ笑んだ。



「はい、空いた内側をいただきっと!」



 マコトはヨーコ5号車とツチヤ1号車が外に膨らんでいくのを横目に、その内側を速度を乗せたブレーキングドリフトで思い切りよく差したのだ。


 2台分の残留魔力アフターマナを吸ってしまうとはいえ、きっちり2台の軌跡と90度になるように差し切りロスを最小で抑えたのだ。


 そのままマコト4号車はヨーコ5号車とツチヤ1号車より1車身先行する。



「くそ! アマノさんに手間取ってヒビノに差されてしまった!」



 ツチヤが舌打ちをする。



「おー、さすがマコト。じゃあ、あたしは今度こそツチヤ君をかわして前に出ますか。」



 ヨーコは全く慌てるそぶりを見せなかった。


 

 マコト4号車に1車身遅れてヨーコ5号車とツチヤ1号車がバックストレートを疾走する。ヨーコが内側で外側のツチヤより1/3車身遅れている。


 マコトのとき同様ツチヤが伸びてヨーコを引きはがすかと思われてたが、1/2車身も差がつかないまま2Mへのターンへ突入する。ヨーコの魔力もツチヤほどではないといえ質が良いのだ。



 マコトはそのまま先行して2周2Mを速度を乗せてターンする。続いてヨーコとツチヤがターンに入る。


 ヨーコがブレーキを遅らせた。



「ツチヤ君、悪いけど抑えさせてもらうね」


「くっ! ステアリングが入れられない!」



 これはツチヤをブロックしながらマコトのターン軌跡に対して差しの構えをとるためだ。


 マコトはブレーキングターンで大きいターン半径で廻っているので、残留魔力アフターマナを吸わないようその外を廻るにはさらにターン半径を大きくしなければならない。



 ターン半径をより大きくしてしまうと、相手がツチヤならその内側を差されて並ばれてしまうのが容易に予想できた。


 よってヨーコはマコトのターン軌跡の内を差そうとしたのだ。それによってツチヤはブロックされてしまう形になる。


 この例をとってみてもマジカルレースが内側有利なのは言うまでもない。



「お先に!」



 ヨーコが得意げに口を開いた。


 ツチヤはヨーコが先マイしたさらにその内側を差しでターンした。



「やられた!」



 ツチヤは苦虫をかみつぶしたような表情だ。



 マコトはバックミラーで二人の決着を確認した。



「おー、ヨーコが競り勝った。すごいなー。やはりブレーキングドリフトが効いてるよな」



 ブレーキングドリフトはそのターンスピードこそがメリットだ。しかし、ターンする前のブレーキングでサイドターンする魔導車より前に詰めれることが、レースにおいてとてもアドバンテージになっている。


 直線で負けてもブレーキングで取り戻せるのが大きい。さきほどの2周2Mでのヨーコのターンもブレーキングを遅らせていつもより奥からターンインし、角度をつけてドリフトさせたのだ。


 これにより直線でついたツチヤとの差をなくし、先マイしたのだ。その分速度は落ちるがそれでもヨーコの内をサイドターンで差すツチヤより速度が速いターンだった。



 マコト4号車が完全に先行し、2車身後にヨーコ5号車が続きさらに1車身後にツチヤ1号車が続く。



「このままでは終わらせない!」



 ツチヤが気迫を込めた。そのまま3周目1Mに向けて早めにステアリングを切り込む。2周目のヨーコと同じ様に先マイを狙ったのだ。



「させないよー」



 ヨーコもすぐさま反応しツチヤを抑えに行く。しかしツチヤのノーズがヨーコのテールの内側に届いた。


 ツチヤがそのままノーズをねじ込もうとブレーキングに入る。だが、ヨーコはツチヤよりもワンテンポ遅くブレーキングに入りそのままブレーキングドリフトに入る。



「く! やはり速い!」



 ノーズをねじ込もうとしたものの、ヨーコのブレーキングドリフトの速さに逆に頭を抑えられてしまい、ヨーコのターン軌跡を完全にまたぐようなターンになってしまう。


 完全にヨーコの残留魔力アフターマナを吸い込む形になったツチヤは1M立ち上がりで完全に失速してしまった。


 3周目1M立ち上がってバックストレートで完全にマコトとヨーコのワンツーが確定したのだった。



 ヨーコがやった、と心の中で小さなガッツポーズをした。ステアリングを握った手ではできないからだ。


 3周目バックストレートを加速しながら事の始終をバックミラーで確認していたマコトはつぶやいた。



「これで少しは借りを返せたかな」



 マコトはこのレースでの勝利でツチヤにリベンジできたとは思っていなかった。言ってみればヨーコの力を借りての勝利だったからだ。


 次は俺自身でツチヤに競り勝って見せる、そうマコトは固く心に誓った。そのままマコト4号車、ヨーコ5号車、ツチヤ1号車の順でゴールしたのだった。







 


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