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マジカルD ~異世界でも横滑り~  作者: 咲舞佳
第二章 マジカルレーサー養成学校編
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第四十一話 模擬レースの成績


誤字脱字を修正しました。


 俺は6コースからスタートしていた。これは行った! 俺の感覚からしてコンマ15には入ったはずだ。このスタートの感覚のことをスタート勘という。


 スタートの早い選手のことをスタート勘が良いと言ったりするのだ。俺のスタート勘はいいほうだ。以前話したと思うが俺以上にツチヤやヨーコのほうがスタート勘がいい。


 俺のこれまでの平均スタートは0.18まで上がっていた。かなり自分でも頑張っていると思う。俺たち42期生の平均スタートが0.23だから十分な数字だろう。


 ちなみにヨーコが0.16、ツチヤが0.15となっている。この数字はすでにA1級クラスだ。この二人にはちょっとスタートで敵う気がしない。


 もちろん、レースによっては俺のほうが早い時もあるが、この二人がスタートで凹んで捲られているのを見たことがない。隣のコースが凹んで捲りに来た車と張り合ってターンするくらいは見るのだけれども。



 スリットで内側を見ると俺が覗く形になっていた。スリット隊形は3、4、5コースが段々で凹む中へこみだ。俺はトップスタートを切っていた。5コースの5号車とは半車身は差がある。よし! と俺は心の中でガッツポーズをし、そのまま1Mを得意のブレーキングドリフトで5号車の頭を抑えるように捲りに行く。


 タイヤが白煙を上げ、そのまま4コース4号車、3コース3号車を捲りながら1Mに突っ込む。しかし、1,2コースの1,2号車は俺よりはスタートが遅かったものの1/4車身も差がついておらず、ブレーキングで差をつけた分を合わせても捲り切れるタイミングではなかった。


 6コースからはターンマークが遠く、スタートで多少の差があろうと1,2コースの車を捲りに行く頃には1,2コースの車がターンで追いついているのだ。

 

 捲りに行く分ターンマークに向けて斜行するのでその分距離があるのだ。このまま強引に捲りに行っても、2号車か1号車に抵抗されるようにアクセルを早めに踏んで大きくターンすることで、ブロックしながらターンしてくるだろう。



 そこで俺は捲りに行くそぶり(ライン)を見せながら1、2号車の動きに集中していた。1号車が1Mを廻るためサイドターンに入り、それを見た2号車がすぐさま差しに行くためサイドターンに入った。俺が捲り切れないと見ての先マイだ。



「ここだ!」



 その1,2号車を見た瞬間、掛け声とともに俺は()()()()()()()()()()()。そう、左足ブレーキを使ったのだ。ドリフト中で右足はアクセルを踏みっぱなしだからだ。


1号車の外側を廻ろうとしていたラインだったのが、ブレーキを踏んで前荷重になり車がさらに内側に向く。そしてそのまま1,2号車の間を突き刺すように差し抜けた。



「よし、行ったー!」



 俺は6コースから捲り差しを決めたのだ。




 俺たちが魔導車養成学校に入学してすで1年半ほど経ち、落ち葉舞い落ちる季節となっている。


 卒業までの模擬レースも中盤に差し掛かり、成績上位グループが固まりつつあった。レースの成績は勝率で表されており、レースごとの得点の平均点となっている。


 レースでの得点は1位10点、2位8点、3位6点、4位4点、5位2点、6位1点となっている。例えば勝率6.45という成績であれば平均で3位以上の成績を取っていることになるのだ。


 これはマジカルレースでも全くの同様だ。模擬レースだからね。



 これまでの成績1位がツチヤで勝率8.21となっている。これは平均順位が2位を超えており、ほぼすべてのレースを3位以内でゴールしているという驚異的な計算になる。


 模擬レースでは全員に均等に枠番が振り分けられるようになっており、1号艇1コースの時もあれば6号艇6コースもあるのだ。


 マジカルレース24場でのデータでも6コースであれば勝率は3%程度、3着までの入着率でも20%程度しかないのだ。



 これをすべてのコースで3着入着しているというのはそれほど脅威なことなのだ。そして俺も勝率7.98とツチヤに次ぐ2番手の成績となっている。


 自分で言うのもなんだが頑張りました。冒頭のレースのように6コースからでも得意のブレーキングドリフトで突っ込んで捲ったり、捲り差したりしました。ブイ。Vサインって昭和か。


 誰に向けたVサインかわからないけど。俺も捲り差しを決めれるようになっている。この左足ブレーキを使ったやり方も俺しかやっていないと思う。



 ブレーキングドリフトは俺のグループメンバーであるヨーコ、ダイスケ、ヤマダ、ナカタさん、タカハシさんが使えるようになっていた。


 俺のようにどんなシチュエーションでも出来るというわけでなかったが。他車が絡むレースの中でいつでもどこでも好きな時に、というわけにはいかないからだ。


 しかしそれでもブレーキングドリフトで捲りを決めたり、道中で競り勝ったりで皆の成績は目に見えて上がっていた。


 だいたい勝率1~2点ぐらいは上がったと思う。一時期退学すら危ぶまれたヤマダとタカハシさんでさえ、6点台の勝率をたたき出し10位以内に入っている。


 6点台ともなればマジカルレースではほぼA1級レーサーの勝率である。ダイスケとナカタさんに至っては7.56と7.42で5位、6位となっていた。



 それよりもすごいのがヨーコだ。勝率7.86でツチヤと俺に次ぐ堂々の3位となっていた。その天性の才能で見たものすべてを吸収する勢いで、レースにおいてあらゆるシーンに対応して見せているのだ。


 ブレーキングターンはもちろん、捲り差しも当たり前のように決めている。前からそうだったが周りの動きを見て状況判断が的確にできているのだ。


 ヨーコはマジカルレーサー養成学校に入るまではチアリーディングをやっていたと話したと思う。中等部時代は主将として全国大会まで行ったほどだ。


 このチアリーディングは団体競技だ。ヨーコはチームメンバーの動きをすべて把握していたらしい。これはスタート練習のときに分かった空間認識能力が高いことを意味している。


 レース中でもその能力をいかんなく発揮し、周りの車の動きを認識して自分の車の行き先を決めているのだ。これはとてもすごい能力だ。


 この他車との競り合い、駆け引きをさばきというのだがヨーコはこの能力でさばきが抜群に巧いのだ。それこそツチヤに次ぐ巧さと言っていい。


 ヨーコに足りないのは経験だけと言った感じだ。このまま経験を積めばツチヤ同等のさばきが出来るのではないかと俺は踏んでいる。



 俺の話に戻るがあのツチヤに競り負けたレース以降、何度かツチヤと同じレースを走ったがお互いが1,2着とかで続くことはあっても直接競り合うほどのレースにはなっていない。


 もちろんこのまま負けたまま終わる気はさらさらなく、虎視眈々とそのチャンスを待っている状況だ。さらなる技術の向上を目指し練習に励んでいる。



 直ドリの練習もよくしているが、他の同期はもう見慣れたとばかりにまたやってるよ、と言うものもいれば、すげー、といまだに言って見ているものもいる。



  実はワタナベ教官に意見を言ったものがいたそうだ。



「ヒビノの直線からのドリフトは、レースに必要なものではないので練習は必要ないのではありませんか? 失敗すればミヤモトのときのような大参事になると思うのですが?」



 と。それを聞いたワタナベ教官は次のように言ったそうだ。



「そのミヤモトの事故のときまさしくあのドリフトで危機回避して見せたのだ。あの技術はレースで決してヒビノを裏切らないだろう。ヒビノにとってあの技術は必要なものなのだ。」



 それを人づてに聞いた俺はずいぶんとワタナベ教官に買ってもらっているんだなと嬉しい反面なんだか気恥ずかしくなった。



 そして、ツチヤとの直接対決でのリベンジに燃える俺にチャンスがやってくる。


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