第三十四話 それぞれの模擬レース
タイトルを修正しました。
スタート隊形 → スリット隊形に修正しました。
スタート隊形はスロー123コース、ダッシュ456コースの形のことで123/456といった表現をします。模擬レースは枠なり進入ですのですべてのレースがスタート隊形123/456になります。
マコトの独り言を追加しました。
「おりゃー! 行くぜー!」
ナカタユーコが5号車5コースからスタートを決めて気を吐いた。ナカタは模擬レース5号車で走っていた。
スタートしたスリットでの各コースの並びの事をスリット隊形という。3,4コースがスタートで遅れているので中凹みと表現したりする。
1~3コースが編込んだりすると内凹み、4~6コースが凹むと外凹みという。1台だけ凹むこともあれば3台凹むこともある。もちろん凸凹になるときもあれば段々になるときもある。
組み合わせはそれこそ無数にあるがそれでもスタート隊形の基本隊形は内凹み、中凹み、外凹みそして横並びの四つに分けられる。
ナカタのレースは3,4コースが凹む中凹みであり、5コースのナカタ5号車にとって絶好の捲り隊形だった。
「どけどけー!」
ナカタが3,4号車をその残留魔力に沈めながら捲りに行く。
「捲らせない! 」
2コース2号車の女子の研修生がブロックに行った。
「ちっ! 」
ナカタが舌打ちをし、2号車と接触しながら重なり合うように1Mをターンする。接触でプロトテクトフィルムの魔力の残滓が光る。その隙に1コース1号車は逃げ体勢だ。
「くそー! さすがに届かねー!」
2号車とナカタ5号車が1Mのターンで膨らんで外に流れるようにターンしているうちに6号車もターンマーク際を差して立ち上がってくる。
「負けるかコンチクショー!」
そのまま2号車とナカタの5号車がバックストレートを並走、内から6号車が並びかけてくる。
1号車は悠々の逃げ独走、あとは2,5,6号車の混走、競り合いとなった。
そして3台の競り合いを中田が制して2着でゴールしたのであった。
アマノヨーコは2号車で模擬レースに出ていた。
「こんなもんかなっと! 」
ヨーコは2コースからトップスタートを決める。内1コース1号車とは1/3車身差だ。
「どうしよっかなー。」
1号車がヨーコに捲らせまいとブレーキを遅らせてターンに入る。
「それなら、こうだ! 」
1号車がブレーキを遅らせてターンしたせいで1Mでターンが膨らむ。そこをヨーコはきっちり差して1Mを廻ってみせる。
1号車のターン軌跡にきっちり直角に突き抜けるようにターンした。残留魔力を一番吸い込まないで済む角度だ。
そのまま1Mを立ち上がり1号車の内側に並び立てる。バックストレートを加速しながら2Mへのターンへと移る。
1号車が2号車ヨーコを内側に押しのけようとステアリングを切り込んでくる。
「だめだめ。行かせないよ 」
ヨーコは1号車をしっかり受け止めながらそれでもアクセルを緩めたりはしない。車両同士の接触でプロテクトフィルムの魔力の残滓が煌めく。そのまま2Mのターンへ入る。
「じゃあ、お先に! 」
内側有利に2Mを先マイでターンして1番手に上がり、そのままゴールまで駆け抜け1着でゴールした。
スズキダイスケは6号車で模擬レースに出ていた。
「むっ! 横一線か。」
スタート隊形が横並びになり6台並走状態で1Mに向かう。
「5号車の動きをよく見て、よし4号車の頭を越えていったな。」
5号車が1Mのターンで4号車の外側をターンしに行くのを見て1Mの最内差しを狙う。
3,5号車がターンで外に膨れていくのを横目に1Mすれすれをターンしてバックストレートを加速して行く。
前を行く1,2,4号車を追いかけるように2Mをターンし、あきらめずに追走するがそのまま4着でゴールした。
また別の日。タカハシメグミは1号車だった。
「しっかりスタート行かなくちゃ。」
各車コースインし加速を始める。
「4号車がスタート行ってる!? 」
スリットで4コース4号車が飛び出すように前に出た。各車より2/3車身は前にいる。
1Mで4号車が仕掛けてくる。ターンマークを大きく外すラインだが強引に捲ろうとしたのだ。
「それでも先にターンしなきゃ! 」
タカハシは捲ってくる4号車に張り合うように1Mをサイドブレーキを引いてターンをする。
「あっ! ターンマークを外しちゃった!? 」
4号車に気を取られターンのタイミングを外しターンマークから離れた位置をターンしてしまう。
タカハシの1号車と4号車が外に膨れるようにターンマークを廻ってる隙に5コース5号車が空いた隙間を差して1Mを立ち上がってきた。
1号車タカハシは内に5号車、外に4号車と挟まれてしまう。文字通りガシガシ挟まれプロテクトフィルムが悲鳴を上げるようにキラキラ光る。
そのまま2Mに3台なだれ込むようにターンインする。タカハシはなすすべなく内側5号車にひっかかるようにターンしてしまい、残留魔力を吸いこみ後退していった。
さらにそのあとから追いついて来た6号車にも競り負け4着にてゴールした。
ヤマダナオキは3号車だった。3コースからスタートする。
「僕だってスタート決めれるんだ! 」
気を吐きながらスリットを通過する。2,5コースが凹む中凹みで凸凹隊形だ。2コース2号車と3コース3号車ヤマダとの差は1/2車身だ。
「捲ることはできなくてもノーズは入れやすい! 」
2コースと1/2車身差があるのでステアリング切り始めのターンインで2号車にかぶせるようにターンできるのだ。
3号車に頭を抑えられるようになった2号車は、窮屈そうにベストなラインを取れずにターンをする。
1コースの1号車はそのままターンマークをなめるようにターンし、バックストレートを立ち上がって行く。
「少し外に膨らんだ!? 」
1号車の外側をターンしていた3号車ヤマダが声を上げた。1号車の隣に車を並べるようにターンをしたかったのだが、想像以上に車が外に膨らんでしまったのだ。
バックストレートの立ち上がりで懐をがばっと空けた感じになった3号車ヤマダの内側に4,5号車が割り込むように差しあがってくる。
内側から5,4,3号車と並走しながら第二ターンマークへ向かう。
「くそ! もっと中に寄せてくれ! 」
ヤマダは願望を口にしながら4号車ごと内側に押し込めようとするが、ガッガッ!と接触音をさせながらプロテクターフィルムがキラキラ光るだけで4号車にブロックされてしまう。
そのまま外に追いやられるように第二ターンマークを廻り4番手に後退した。そして追いつてきた2号車にも競り負け5着に終わる。
それらのレースをもちろん俺も見ていた。俺も含めてだがどんなコースでも連勝できるということはないのだ。
外のコースほど不利なのがマジカルレースであり、その不利なコースでどれだけ着が残せるかが重要となる。
さらに上を目指すならその不利なコースでどうやったら勝てるかを突き詰めていかなくてはならない。
ヨーコがいい例だろう。1Mでしっかり内側の車の動きを見てターンする、これができるかできないかで成績が全く違ってくるのだ。
といっても、やっぱりこれができるヨーコが規格外だと思う。俺もマジカルレース自体は初めてだし、やってみないと分からないことだらけだ。
しかしそれでも前の世界でのドリフト技術やレース経験があるし、それらを踏まえたうえで4000レース以上マジカルレースを見て来た。
こちらの世界で伊達に父親に毎週マジカルレース場に連れて行ってもらっていない。そこでいろんなパターンのレースを見ているのだ。
ただぼーっと見てるだけではなく一つ一つのレースを俺だったらどうすか、あのシーンではどうするべきだったかを考えながら見ていたのだ。
1M展開は頭に叩き込んである。どのコースでどこが凹むとどうすればいいかというのが頭に入っているのだ。
あとは実際に魔導車に乗ってそれができるようにひたすら練習あるのみだ。頭で分かっていても体が動かないことが多々ある。
それこそ何回も何回も体に染みつくように練習してこそ、自然に出来るようになるものなのだ。
前の世界で何百回とスピンしてドリフト技術を磨いていたので身に染みて分かっている。
マコトは頭の中でそんなことを考えていたが、次のマコトが出る模擬レースが始まろうとしていた。同じレースメンバーにツチヤの名前が入っているのであった。
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マコトの独り言
プロテクトフィルムについてなんだけど、接触で光るのはプロテクトフィルムでなくてフィルムに残った魔力なんだ。
魔法は魔力を使って行うもので、プロテクトフィルムは魔力でコーティングしているものではないんだね。
そして魔力に干渉できるのは魔力のみ。魔気吸入装置のときに話したと思う。
魔力同士が干渉することで光っているんだ。ちなみに魔鋼は逆に魔力を干渉させない物質と言えるね。




