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マジカルD ~異世界でも横滑り~  作者: 咲舞佳
第一章 マジカルレーサー養成学校入試編
3/53

第三話 マジカルレースとは


マコトの独り言にまとめなおしました。


マコトの独り言に追記しました。

 マジカルレースとは文字だけ見るとファンタジーだが、実際は魔導車で行うレースの事だ。魔導車にしか興味がないといっていい俺が夢中になるのだから説明するまでもないかもしれない。



 マジカルレースというものを初めて知ったのは9歳のときになる。親に初めてマジカルレース場に連れていかれフェンス越しに目の前を駆け抜ける魔導車を見て衝撃を受けたものだ。


ヨーコもヨーコの父親に連れてこられていた。両家の親は隣どおしということもあり仲良しだ。



「すごーい!お父さんすごいねー!」



と、ヨーコもすごいを連呼していたのを覚えている。俺もすごくはしゃぎたい気持ちをぐっと抑えて見ていた。


まだ9歳だからはしゃいでも当然なのかもしれないが、前の世界の40年分の記憶からかヨーコの手前もあってはしゃぐのが気恥ずかしかったからだ。



 このマジカルレースだが魔力で動く車だからファンタジーと言えばファンタジーだけど、見た目も排気音も自動車と同じだからファンタジー感はないように思える。


しかしマフラーから残留魔力が光る粒子となって排出されており、この見た目は前の世界ではお目にかかれないかなりなファンタジー感がある。


だけどもこの音は前の世界と変わらないな。懐かしさすら感じる。


 このマジカルレースは国が認めているギャンブルだ。前の世界で言う競馬、競輪などの公営競技といわれるものになる。



数年ほど前までは競魔車、競車などと呼ばれていたみたいだけど、若いファン層を呼び込む狙いで横文字に変えたらしい。


マジカルレースは戦後から始まっておりファンの年齢層が上がっているから、将来を見据えた若い年齢層のファン獲得は当然のことかもしれない。



 この国の言葉では魔導車というが外来語ではマジカルカーゴカーというらしい。魔導車はカーゴ(貨物)を引くために開発された由来によるとのこと。


マジカルレースの呼び名も前の世界の公営競技であるオートバイレースをオートレースというような感じだと思う。競艇もボートレースと呼び名を変えたし。



 一部の人からはマジカルカーゴカーを略してマジカルゴなんて言われているが、決して大きなカタツムリの移動用魔法生物ではない。


結構若い子からそう呼ばれている。いやいや、若い子って俺も16歳で十分若いんですけど。40年分の記憶のせいで性格は変わらないがどうも気分が年寄り臭くなってきている気がする。


どうでもいいか、いやよくないな、よくない。



 しかし、このマジカルレースという呼び方は若いファン層にはそれなりに受け入れられているみたいだけどベテランファンにはえらく不評のようだ。


確かにギャンブル感はなくなってるしなんか軽い感じがする。ステッキで空を飛んでレースしそうだし。



 だが俺にとっては呼び方はどうでもいい。大事なのはその内容だ。魔導車と魔導車がせめぎあい、抜きつ抜かれつ熱いレースをする。


ただでさえ魔導車に惹きつけられ、前の世界でレーサーになれなかった俺にとっては垂涎の競技なわけだ。


しかもそれが国営のギャンブルときている。俺どころか国で一番人気のある、熱狂されている競技がマジカルレースなわけだ。


そう、何度も言うがこのマジカルレースは国営なのだ。転生前の記憶で話したがレースはお金がかかる。しかしそれが国営のレースなら多くの費用は国が負担するのだ。


お金の問題でレースを続けられなかった俺にとって、これなら一般庶民の俺でもレーサーになれる!と興奮するのも無理のない話だと思う。


実際に前の世界でも公営競技のオートレースやボートレース(競艇)でも同じ考えで選手になった人も多いという。



 父親にことあるごとにせがんでマジカルレース場に連れて行ってもらった。父親も相当な魔導車、ひいてはマジカルレース好きだ。


そんな父親もマジカルレースにお小遣いをつぎこみ母親に怒られていたのは内緒だ。家のお金に手を出すほど中毒になる人もいる。


俺の父親は常識的な範囲だったといえるだろう。国で一番人気の競技だ。多くの家のお父さんが多かれ少なかれ似たようなものだろう。



 そのマジカルレースだが同じ車両によるワンメイクレースだ。チューニングの類は禁止されており、そもそも車両は各レース場にあるものをレースのたびに抽選にて決める。



車両によってエンジンの調子の良し悪しがあり、要は当たり外れがある。全く同じ車両だからこそ調子の良し悪しで差ができてしまうのだ。


このくじ運もレースにとても影響する。しかし、トップレーサーともなれば調子の悪い車両でも整備して直してしまう。



 マジカルレースは1レースを6台で争う。それが1日10レース行われる。たった6台?と思われるかもしれない。


これは通常のF1などで見るサーキットを想像するとそう思うのも無理はないと思う。しかしマジカルレースのコースは大枠ではオーバルコースにあたる。


だが、オーバルコースと言っても大きな広場に大きなパイロンが二つしかない。どちらかというと大きなジムカーナ場といった感じだ。


これだけ聞くとつまらないと思う人もいるだろう。しかし想像してみてほしい。6台の魔導車が一斉に一つのパイロンめがけて突っ込んでいくのだ。



 通常の車のレースだと1コーナーにせいぜい同時に進入できるのは3台程度だ。他に例を見ない迫力があるのは想像に難くないと思う。


しかもこの世界のタイヤは性能が低く舗装技術も前の世界ほど高くないので路面μも低い。なので基本テールスライドさせて曲がる。


要はドリフトだ。6台の魔導車が一斉にパイロンめがけて突っ込みそれをドリフトしながら走り抜けるわけだ。


前の世界でドリフトにのめり込み、レーサーになれなかった俺がのめり込むのもわかってもらえるだろう。



 そんなマジカルレースの選手になるにはマジカルレーサー養成学校に入らなければならない。もちろん試験があり応募資格年齢は16歳となっている。



18歳で魔導車免許が取れる年齢なのでマジカルレーサー養成学校も二年制となっており、18歳でプロのマジカルレーサーとしてデビューすることになっている。


魔導車免許は2か月もあればとれるものになっているの対し、マジカルレーサー養成学校は2年かけて座学、整備技術、実技等みっちり学ぶことになっている。


国で1番の人気を誇る競技だけあって養成学校の倍率も50倍を超える狭き門だ。


そして俺、ヒビノマコトは16歳。試験が受けれる年齢となりその狭き門に挑む。





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マコトの独り言



〇マジカルレースの起源について


 マジカルレースの起源は戦後すぐのころにさかのぼる。戦争で焼け野原となり空き地となった広いスペースを使って魔導車で競争をしていたそうだ。


それを見ていたギャラリーたちで賭け事が行われるようになったことからだそうだ。戦後混乱のさなかのアンダーグラウンドな興行だったらしい。


それを国が国営としたのは全国各地で行われるほど大規模になっていたことと、逆に管理することでマジカルレースを裏世界とのかかわりを絶ちその利益を国の復興に当てるためだったといわれている。



〇マジカルレースがギャンブルであることについて


 レースをギャンブルにするなんてと前の世界なら思う人もいることだろう。特にモータースポーツファンの人とか。


確かにギャンブルであるだけにお金がかかっているので時には汚いヤジも飛ぶ。純粋にレースを楽しんでいる人は少数だろう。


しかしお金がかかっているからこそ真剣に選手を応援する。それこそ人生賭けちゃっている人もいるくらいだ。


これ以上真剣な応援はない。そこに負けても仕方ないという考えは存在しない。負けたら命の次に大事という人もいるお金がなくなってしまうのだから。


ファンも選手も真剣勝負!それがマジカルレースの世界なのだ。そんなマジカルレースに俺は夢中になった。



〇マジカルレースの整備について


 整備は選手自身も行うがレース場専属のメカニックが基本的な整備や管理を行っており、抽選後は選手の考えに沿って一緒に整備をしてくれる。



〇マジカルレース車両の駆動方式について 


 マジカルレースは広いクローズドコースにでかいパイロンが置いただけのジムカーナと言った感じだがそれよりもラリーのターマック(舗装路)に近い。


だが魔導車はFR(フロントエンジン後輪駆動)だ。ここがラリーとは大きく違う点だと思う。ラリーはFF(フロントエンジン前輪駆動)か4WD(四輪駆動)で行われるからだ。


前の世界でも昔はFRでもラリーをやっていたそうだが4WDが主流となっていったようだ。アクセル踏めばリヤが滑るような車は速いわけがないからだ。


 しかしこの世界ではFR車が主流になっている。前の世界の古い自動車もそうだったが、FFが主流になる前は多くの車がFRだった。


これはFFとするには操舵輪と駆動輪を同じにしなくてはならず、曲がるためにタイヤを傾けた状態でドライブシャフトを回転させるためのジョイント技術がそこまで発達してなかったためのようだ。


この転生後の世界も同様で魔導車の主流はFRとなっている。もちろん、MR(ミッドシップエンジン後輪駆動)、RR(リヤエンジン後輪駆動)なんてのもあるがマジカルレースでは使われない。


前述したが戦後の空き地で行われ始めた競技なので一般的な魔導車がベースとなっている。



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