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マジカルD ~異世界でも横滑り~  作者: 咲舞佳
第二章 マジカルレーサー養成学校編
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第二十六話 ある日の実技課業で①


誤字脱字を修正しました。

 周回タイムを練習するようになってしばらくたったときのことだった。ヨーコはいつものように練習車両をチェックし予備の魔石(マナストーン)にて魔給(マナチャージ)を行っていた。


 マコトはすでに準備を終え練習走行に入っていた。ヨーコは走り出したマコトの車両を気にしながら作業をしていた。そのマコトだがヨーコを含めグループのみんなに妙なことを言っていたのだ。



「今日の練習でちょっと試したいことがあるから、もし俺の後ろを走ることがあれば距離をとって決して近づかないようにしてほしいんだ。もちろん俺もクリアラップをとるつもりだけど」



 クリアラップとは前後に他車がいない状態でベストラインで一周を走ることだ。



「別にいいけど、何をやるんだ? 」



 とダイスケは聞き返した。



「今までやってなかったことをやりたいんだけど失敗するかもしれなくて」


「あー、失敗してスピンすると危ないもんね」



 マコトが返事した内容にヨーコが相槌をうつ。



「まー、そう、かな」


「何か歯切れ悪いね? 」


「え? いや、そう? そうでもないよ? 」


「何キョドってるの? 」


「キョドってないし! 別に悪いことしようとしてるんじゃないから別にいいだろ」


「まあ、そうだけど」



 マコトの様子にいぶかしげな顔のヨーコだったが、横からヤマダとタカハシのフォローが入る。



「ヒビノがそうしたいんだったら協力するよ」


「あのあの、私も協力します。ヒビノ君にクリアラップとれるようにすればいいんですよね?」


「ありがとう。二人とも」


「まー、ヒビノのことだから大丈夫だって! あたいが保証してやんぜ」



 と、ナカタも後押しするのでヨーコはしぶしぶ引き下がったのだった。



 他のグループメンバーも準備が終わり走り出したものもいればまだ準備中の者もいる。そんな中マコトはホームストレートを全開で加速していった。


 すでにコースインしたナカタとダイスケは、マコトに言われた通り車間を空けクリアラップをとれるようにしている。



 それでも第一ターンマークは普通にターンしていて、そのまま第二ターンでも同様に普通に廻りそのままホームストレートを加速して行った。


 なんだいつも通りの練習してるじゃん、とヨーコは思い目を離したときだった。いきなりけたたましいスキール音がしたのだ。誰かが叫び声を上げた。



「危ない! 」



 ヨーコがすぐにマコトの車のほうに振り返ると、マコトがホームストレート半ばでタイヤバリヤに向けてスリップを起こしているところだった。



「マコトっ! 」



 マコトがタイヤバリヤに突っ込む! ヨーコはあまりの衝撃的なシーンに手にあったものを落とし口を抑えながら言葉を失った。最高速120Km/hで突っ込めばタイヤバリヤとガードレールとは言えタダではすまない。


 そして誰もがそのままマコトの車がコントロールを失いタイヤバリヤに激突する! と思った。しかし信じられない光景がそこにはあった。


 マコトの車両がそのままタイヤバリヤを向いたまま横に滑りつづけたのだ! そしてまた誰かが叫んだ。



「すごい! こらえたぞ! 」



 ヨーコもそれを見て安堵した。しかしそれもつかの間のことでさらに驚愕の光景を目の当たりにした。マコトの車は今度は反対を向いて滑り出したのだ!



「なんだあれ!?」


「そのままドリフトしてる! ?」



 誰もが驚き手を止めてそのシーンに目を見開いた。教官や整備士も例外ではなかった。



 マコトの車両はそのまま第一ターンマークへ向けスキール音を響かせ、削れたタイヤで煙幕をはるようにリヤを滑らせながら突っ込んでいった。そしてそのままターンマークを立ち上がって加速して行ったのだ。


 悲鳴のような歓声が沸き上がった。



「すげー! 」


「あれドリフトか!?」


「直線でスリップしたのってわざとだったのか!?」


「あんなの狙ってできるか!? 」


「狙ってなくたってあんなのできねーよ!」


「すごすぎる! 」


「魔導車ってあんな動き出来るの!? 」



 皆興奮して自分の作業どころではなくなっていた。



 ヨーコは安堵と驚愕とで頭が混乱する思いだった。何? あれが試したかったこと? それとも失敗してああなったの? どっちかわかんないけどマコトが無事で良かった!


 そんなヨーコの思いとは裏腹に、マコトの車はバックストレートでも同じようにタイヤバリヤに向けて横に滑って行き反動で内側を向いて滑り続け、第二ターンマークをドリフトしながらターンしていく。またもや怒声のような歓声が上がる。



「やっぱりわざとだ! 」


「あれ狙ってやってやがる! 」


「すげー! すごすぎる! 」



 語彙力が欠落したかのように皆がすごい! を連呼していた。



 そんな熱狂に包まれたピットとは打って変わり建屋の最上階の静かな部屋から見下ろす人影があった。



「あの生徒は何者だい?」


「ヒビノマコトですね。実技試験成績トップだったと思いますが、それにしてもすごいですね」


「過去に何かやっていたとか?」


「いえ、特にレースどころか魔導車の運転経験もないそうです。ただマジカルレース場によく父親と見に来ていたとか」


「見ていただけ、ねえ」



 質問を投げかけた人物は興味深そうにマコトの走る車を見ているのだった。




 話は少し遡りマコトの話に戻る。



 最近実技の課業で名目上サイドターンも使った練習となっているが、俺は全くサイドブレーキを使っていなかったりする。ちなみに何をやってるかというとフェイントからのブレーキングドリフトだ。


 リヤタイヤがスライドしにくい時などに有効なのと、一度逆に振ることでターン半径を変えたりいろんなラインをとれるようにできたりする。



 そこで今日は違う練習をしようと思っている。何かというと直ドリの練習だ。直ドリは直線で速度が乗った状態から滑らせ失敗すると大変危険なので、走る前にグループのみんなに車間を取るように頼んでいる。


 ヨーコに何をやるのか勘繰られたが、正直に失敗するとタイヤバリヤとガードレールに突っ込みます、なんて言うと止められそうだったのでごまかすような感じになってしまったが。



 実技の課業になり準備が整い次第俺は走行練習に入った。一週目はコンディション確認とタイヤを暖めるために使った。さー、本番はこれからだ。


 第二ターンマークを立ち上がって全開で立ち上がり最高速120Km/hまで加速する。そしてストレートを半分過ぎたあたりから内側にステアリングを切る。まだ第一ターンマークブレーキポイントからは程遠い場所だ。


 試験の時は外側に振ったが今回は内側だ。そしてすぐさま外側にステアリングを切りクラッチを蹴る。全開120Km/hからアクセルべた踏みでだ。いきなりクラッチを切られてすぐさま繋がれたリヤタイヤは空転を始める。


 けたたましいスキール音をたてながら車がタイヤバリヤを向きながら横に滑る。そう、タイヤバリヤに向けて滑らせているのだ。そしてそのまま車がまっすぐ元に戻ろうとする反動を利用して逆に振る。もちろんアクセルは踏みっぱだ。


 ステアリング操作を間違うとタイヤバリヤに120Km/hの速度でつっこむことになる。すばやく的確なカウンターが必要となる。

 まだ直ドリをやり始めたころは失敗して良く突っ込んだものだ。


 そのままターンマークへ向けて滑らせ続ける。ブレーキで角度と速度を調整しながらターンマークそばを突き抜けるように滑り抜け、バックストレートへ立ち上がって加速した。



 これは何をしたかと言うと振り返して直ドリしたわけだ。外に振って内に滑って行ったので2発の直ドリなんて言いかたもしてたっけ。


 ちなみにもっとハイパワー車であればこのくらいのコースならターンマーク立ち上がりから滑らせ続けて内→外→内に振り返す3発の直ドリも可能だ。


 はっきりいってハイパワー車ならこれくらいのコースだと、ずっとドリフトしたまま走ることができるくらいだ。マジカルレースの魔導車だとアンダーパワー過ぎて不可能だが。



 そのまま第二ターンマークと三周目も振り返しながら直ドリで廻り、その後クーリングを行いながらピットに戻ったら大変な騒ぎになっていた。




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