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マジカルD ~異世界でも横滑り~  作者: 咲舞佳
第二章 マジカルレーサー養成学校編
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第十八話 整備とマジカルレーサーの年収

 それからさらにひと月ほどが過ぎた。朝6:00に起床しいつもの白い作業服に着替える。養成学校内での全ての課業はこの白い作業服を着用する。


前の世界の有名な自動車メーカーの社長が作業着は技術者の正装だといって勲章授賞式に出席しようとしたという話があった。周囲の反対にあい礼服に着替えたそうだが。


白い作業にこだわった理由はこうだった。白い作業着は汚れが目立つ。だからこそ車や機械に触るときに汚れないように気を付ける。そうすることで機械本体もきれいに使うようになるからと言っていたそうだ。


白い作業着は車や機械を扱う上での気持ちの表れなのだ。



 座学や整備技術の課業などを今までこなしてきたがまだ実技の課業はない。そもそもレース中は車一台を整備士さんがつくとはいえ自分で整備するのだ。


前の世界の自動車整備士専門学校でも2年間みっちり習う内容を運転実技も踏まえながら心身ともに鍛えていこうというのだから時間が足りないほどなのだ。


車の各部位の仕組みから実際の整備作業を課業で学んでいる。車を整備するにはいろいろな工具があり使い方を知らないとどう使えばよいか、どのように部品をはずしてよいかわからないものも多々ある。



 レンチ一つとってもかけた方や力の入れ方を間違うとボルトの頭をなめたり折ったりするのだ。ちなみに俺も前の世界で初心者のころはやっすい工具でボルトの頭をなめまくっていたものだ。


工具にも精度があり、値段の高い精度の良い工具はボルトの頭に隙間なくピタッとはまるのだが、やっすい工具だと隙間がありガタガタする。


このガタガタの状態で変に力を入れるとすぐにボルトをなめるのだ。ボルトの頭をなめすぎて外せなくなり整備工場へ駆け込んだものだ。



 整備の課業で俺がレンチでテキパキさくさく部品をばらしていると教官に言われたことがある。



「ヒビノ、お前どこかで整備の経験でもあるのか? 」


「いえ、経験はないのですが昔からこの手の組み立てたりばらしたりするのが好きでした。」



俺は若干言い訳している気分になった。前の世界のことも昔と言えば昔だけれどもDIYで車いじってましたなんて言えないし。それこそエンジンばらしてたまである。



「そうか。大丈夫そうだが気を抜くなよ? 整備でもなんでも一瞬の気のゆるみが怪我の元だからな。」


「はい! 」



俺は敬礼をしそうな勢いで答える。もちろん敬礼は必要ない。軍隊並みに厳しいとはいっても軍隊じゃないからね。



 俺のほかにも同様にテキパキさくさく部品をばらす奴が二人ほどいた。一人はヤマダナオキという。


ヤマダはメガネの理論派と言った感じで魔導車オタクだった。ちなみにマジカルレース中の運転の際にはメガネは着用してはいけないことになっている。


この世界にはまだエアバックがないのでヘルメットをかぶっているとはいえ事故時に顔面を強打するということも在りうるので危険ということだろう。


試験要項に両眼で0.7以上という項目があり、ヤマダはぎりぎりだったそうだ。この視力もマジカルレースにはとても重要でフライングスタート方式にとても関わってくるのだ。


なので座学の課業や整備などの細かい字や作業のときのみメガネを着用している。



 ヤマダは魔導車整備工場の息子なのだそうだ。小さいころからおもちゃのように工具で遊んでいたらしい。小さな子供が工具なんか持ってたら怪我しそうで危ない気もするがそれが普通だったそうだ。


そのヤマダだが俺と魔導車についての話がはずむことはずむこと。


今の魔導車の馬力を上げるにはもっと高回転までまわすようにすべきだとか、そのためにはカムの位置を変えなくてはだめだとか、魔気の流速を考えると抵抗が少ないほうが良いから魔気流路内部の表面粗さ精度をあげるべきだとか、かなりマニアックな内容を語り合った。


というか、そこまで考えられるなら技術者になればいいじゃん、って思った俺は聞いてみた。



「なんで技術者じゃなくてマジカルレーサーなの? 」



って。そうしたらヤマダがこう答えたんだ。



「だって、マジカルレース見ちゃったから。あの熱いレースを見たらやりたくなるでしょ? 」



くー! 分かる! 分かるよその気持ち!! ってな感じで背中ばんばんたたきそうな勢いで意気投合したというわけ。



 ちなみにテキパキさくさくばらす(←実は言いたいだけだ)もう一人はあの二世レーサーのツチヤだ。


たぶんすごい邸宅に専用のガレージとかあるんだろうなーって、うらやましくなんかないやい! と思ったのは内緒だ。


ちなみにマジカルレーサーの年収はこちらの世界の中でもかなり高い。マジカルレーサー平均年収が2000万Gゴールドだ。



 そう、こちらの世界におけるこの国のお金の単位はゴールドなのだ。ゴールドて! これだけ昭和な世界でゴールドて! 前の世界の記憶が蘇った後、俺のセルフツッコミ機能がフル回転した。


前の世界の1円=1ゴールドだ。ゴールドて! 俺のセルフツッコミ機能が暴走気味だ。ちなみに貨幣もあれば紙幣もある。


1G、5G、10G,50G、100G、500Gまで硬貨がああり、1000G、2000G、5000G、10000Gが紙幣だ。


この2000Gの紙幣は南の島にある世界遺産の門が描かれており今では発行されておらず、その南の島でしか今は使われていないとか。


どっかで聞いた話だ。これだけかぶっててゴールドて! 俺のセルフツッコミが暴れて抑えられそうにない! といいつつ右手を抑えてうずくまると中二の人みたいだろうか?



 そうそうマジカルレーサーの年収の話だったっけ。こちらの世界のサラリーマンの平均年収が300万~400万Gぐらいだからマジカルレーサーの平均年収2000万Gがどれほど高いか分かることだろう。


国内で一番人気の競技は伊達ではないのだ。マジカルレーサーの給料はレースでの賞金になる。1レースごとに賞金がでるし優勝すればさらに多額の賞金がもらえる。


マジカルレーサーは賞金稼(バウンティハンター)ぎなのだ。子供のころ言葉の響きにあこがれるだろう俺の脳内ランキング10位に入るだろう賞金稼ぎ(バウンティハンター)! すいません、ゴミ情報でした。



 そしてマジカルレースにはグレードがある。前の世界の競馬などでG1とか聞いたことがある人もいると思うがそれのことだ。GはグレードのGだ。


下から一般戦、G3、G2、G1、SGとあり上に行くほどレースの賞金も優勝賞金も大きくなる。


前の世界の競馬ではG1が最上位グレードだったがオートレースやボートレースにはその上のSGスペシャルグレードがあり、マジカルレースもこれと同じの様だ。


もちろん上のレースに出場するためにはそれだけの実績がいる。マジカルレーサーもオートレースやボートレースのように成績によって級がある。


下からB2級、B1級、A2級、A1級となっており、俺たちがデビューしたら一番下のB2級からスタートすることになる。


そしてSGに出場するためにはもちろん一番上のA1級にならなければ出場できない。


俺たちまだデビューもしていない研修生にとってははるかな頂きなわけだ。どんだけ高いんだろうなー。


そのSGの賞金は4000万Gになっている。しかも! 年末のSGに賞金王というレースがありこの賞金王の賞金金額が1億Gとという大変夢のある金額になっているのだ!



 そしてやっとツチヤの話に戻るが魔導王であるツチヤの父親、ツチヤ選手だが(ツチヤの親はツチヤ、当たり前だが紛らわしい)SG10勝、そのうち賞金王2勝という絶対王者なのだ。


その生涯獲得賞金額が30億Gともいわれており、魔導王の息子であるツチヤもお金持ちの家の子というわけだ。


なんだろう、金持ちに負けてたまるか! と俺の庶民根性が騒ぎ出してる気分だ。セルフツッコミといい庶民根性といい暴走するものが多いことだ、と他人事のように思った。



 そうそう、整備の課業での話なんだけどあのヤなケンが手を滑らせて工具をカラーン! と落としてるところを教官に見つかり鉄拳制裁くらってた。



「ばかやろう! 工具の精度が狂うだろうが! 工具やマシンは丁寧に扱え! 」



だそうだ。まあ、どうでもいい話か。


 




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