かくして世界は改編される
私は死ぬ。
何度でも、何度でも。
彼女がその望みを達するまで。
永遠に。
そう永遠に。
仕方ない。
それが世界に悪と定められた人間の運命
『あら、面白そうな話をしてるじゃない?』
「誰…………?」
『ふふふ………。誰だっていいじゃない。だって私は貴方達の物語には存在しないものなんだから。……強いていうなら異物かしら』
「世界の異物?」
『そうよ。私にはこの世界に存在する意味も、理由も存在しない』
女ーーーーいや、これは果たして女なのか。
それとももう私が狂っているだけなのか。
楽しそうに嗤モノは、何よりも自由だといとも容易く嘯く。
私には、どんなに望んでも手に入らないものを。
「貴方が羨ましいわ」
私はもう、この世界から解き放たれたい。
『それなら一つ、私から貴方に提案があるの』
「提案……?」
『わたしにはこの世界に欲しいものがあるの』
思っても見ない言葉だ。
「私の持ち物なら何でも好きなものを持っていけばいいわ」
どうせいずれ全て消え去るものだ。
惜しいと思うものなど何一つ存在しない。
『そんなことを言ってしまって本当にいいの?私が何者かも知らない癖に』
「世界の異物。そう言ったのは貴方でしょ」
私にはそれで十分だ。
「この世界なんて大嫌い。だから………貴方になら何をあげても構わないわ」
『なら、貴方を頂戴と言ったらどうかしら?』
あぁ。それこそ、私の望むところだ。
「あげるわ。全て。貴方に私をあげる」
迷いなど、一欠片もなかった。
今の私はきっと、満面の笑み浮かべていることだろう。
『そう……。なら契約は締結ね。
私は貴方を貰う。
代わりに貴方にはーーーーーこの世界の全てをあげるわ』
「え?」
それは一体どういう………………。
『楽しみだわ。とても楽しみ。
早く一緒にこの世界のすべてをーーーーーーーましょうね』
楽しみでたまらないと声の主はいう。
そうか。貴方の望みがソレならば、私になんの異論があろうか。
「私も、とても楽しみだわ」
この世界という盤上で、貴方と二人愉しくあそぼう。
「ねぇ。もう名前くらい教えてくれてもいいんじゃない?」
『ふふっ。可笑しな事を言うのね?今からワタシは貴方。貴方は私』
確かにその通り。
「ならば答えは一つだけね。
ルナマリア・ベリス。今日からソレは貴方の名前よ」
そして世界の悪役も、みんなみんな二人のもの。
「物語の始まりをこんなに待ち遠しく思ったことはないわ」
『二人で沢山遊びましょうね?』
さぁ、準備は終わった。
いつでもまた、始めるといいわ。
あなたが望む新しい世界を。
「でも気をつけて」
世界は既に改編された。
主人公さん。
「『私の世界にようこそ』」
そしてさようなら。
見切り発車全開!!
世紀末に向けてぶっちぎります!!