梅原 梨花
「ここが結城くんの部所だよ」
「えっ…」
誰も居ないどころか
机すら1つしかないんだが…?
「あ、あの…他の方達は…?」
「ん?君1人だよ?」
は?
「えっと… 確かさっき俺の事部長って言ってましたよね…?」
「そ!君はここ梅原 梨花サポート係、通常URの部所!で、結城くんはこの部所の部長であり梅原 梨花の担当もしてもらう」
「あの…梅原 梨花とは…?」
「ああ、丁度もうじき来る時間帯だから、話はそれからな! じゃ、結城部長よろしくっ!」
それだけ言うと俺を案内していた上司の男は部所を後にした。
いやいやいやいや…
マジで意味分かんねーんだけど?!
梅原 梨花さんって人が部所の職員とかか?
つーか、なにがURだよ!!
そんなリセマラしたくなるようなレア度本当にあんの!? この部所!!!
「はぁ…入社早々わけわかんねー… ちゃんと説明しろよな、あのハゲ上司め…」
バタンッ
ゲッ… もしかしてハゲ上司戻ってきた…? それで今の聞いてた…?
ちょっと、いや、だいぶやってしまった感を感じながらも、恐る恐る振り返る。
!?!?!?!?
そこにいたのは先程のハゲ上司ではなく
ピンクのフリフリした洋服を着た
可愛らしい女の子だった。
中学生?
中学生がなんでこんなとこに…
「君、どうやって入ってきたの。 ダメだよ?それに学校は?」
おれがそう尋ねると
女の子は眉間をピクッと動かしながら口を開く。
「は? あんたケンカ売ってんの?」
これだから最近の子は…
目上の人間になんて口の悪さだ…
「あのね、お兄さんは君と遊んでる暇はないの。 お仕事しなきゃだから。 学校教えて?電話してあげるからさ」
「は? ってか、さっきから失礼極まりないあなた誰なのよ! ここは、あたし専門の部署のはずだけど?」
「え?」
専門…???
俺がその言葉の意味を必死で考えていたら女の子が溜め息をついて口を開いた。
「あなた、ここの職員のくせに、この梅原 梨花様を知らないの? この部署のサポート係じゃくても知ってるわよ!」
梅原 梨花…!?!?!?
この子が!?!?!?!?
「え、君が梅原 梨花さんなの…?」
「だからそうよ!! それと、あたしはこれでも20歳よ」
まじかよ…
「あ、あの… なんかすいません…」
「で、あなたは誰なの?」
「俺は…今日からこの部署の部長になった結城 充です」
「は? あのハゲはどうしたのよ!! 」
「あのハ… 松崎さんですか?」
「そうよ! まさかあいつ私のサポート降りたわけ!?」
つまり俺がくる前はあのハ…
さっきの松崎さんがここの部署にいたのか…。
「あの… 梅原さんのサポートって一体なんなんです?」
「あなた、そんな事も知らないでここに来たわけ!?」
「あまり説明を受けていなかったので…」
彼女は深いため息を1つ吐くと同時に俺へ視線を戻して話し始める。
「あたしに見合う職業を紹介して、無事にあたしが就職できるようにサポートする部署よ。 基本的に職員は1人。 先週まではハゲが担当していたわ。」
なんだ、結構簡単な業務じゃないか!
たった1人を就職させるだけだろ!?
楽勝だな!
この時の俺は、数時間後にこの部署が設立された意味と、これから先の苦労を知らなかった…。