小さな世界の小さな女神様
「こら、まだお祈りが終わっていませんよ。」
最近の若い者は食事前の祈りさえも疎かにする。
「そんなこといっていると天からの恵みがなくなっちゃうよ。」
若い者は我先にと天からの恵みに群がっていく。
昔話をしましょう。
祖先はこことは異なる世界で暮らしていた。
ところが突然と巨大な魔物が現れた。
抵抗すらできずに次々と仲間は死に祖先は滅びを覚悟した。
その時,天から青い壁が現れ、魔物と仲間を隔てた。
そして今の世界につれてこられたときに。
「もう大丈夫だよ。」
美しい声が天から響いた。
これが祖先から語り継がれている伝説
その時から我々は女神様に祈りをささげるようになった。
だが時が経つにつれて、伝説は風化していき、若い者は女神様への感謝を忘れつつある。
年寄りは心配でならない、女神様への感謝を忘れることで、女神様からのご加護も無くなってしまうのではないか。
「今日も女神様のご加護で世界が満たされますように。」
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今日はいつもの時間になっても天からの恵みはもたらされなかった。
年寄りは世界の終わりではないかと恐れたが、若い者はそんな日もあると気にしていない。
終わりは突然にやってくるものだ。
天を黒い影が覆いつくし、世界が大きく揺れた。
その後、空が落ちてきて世界が少しずつ小さくなっていく。
すべての者が恐怖に震えた。
そしてそれが現れた。
白い壁に仲間が次々と食べられていく。
小さくなってしまった世界に逃げる場所などない。
「女神様・・・」
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どうやら我々はまだ生きているようだ。
仲間たちは透明な壁にさえぎられた、いくつかの世界にいる。
これからどうなってしまうのか・・
そんななか、年寄りたちは一心に女神様への祈りをささげている。
それを見た若い者たちも今までの事を悔いて女神様に祈った。
その時、奇跡が起こる。
壁は消え新たな世界が眼前に広がっていた。
そして、いつものように天からの恵みがもたらされる。
若い者も年寄りも一緒に祈った。
「今日も女神様のご加護で世界が満たされますように。」
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「あなたメダカの引越しが終わったのなら、家の引越しの荷解きをしてくださらないかしら。」
「わかっているよ。美和、ママにしかられるから、餌もあげたことだしメダカを入れてきたペットボトルを持って家の中に戻ろうか。」
「はーい!」
1 友達の家の池に鯉(魔物)が放たれる。
2 遊びに来ていた幼女(女神)がバケツ(青い壁)でメダカをすくって自分の家の池に放す。
3 引越しするので父(天を覆う黒い影)が池の水を抜いて、白い網ですくってペットボトルに入れる。
4 引越し先の池に放流する。
ただこれだけの話です。思いつきで特に深い意味はありません。