14.煩瑣
次の朝は、まるでいつものように訪れた。彼はいつもよりは遠くには行かせてもらえなかったが、それでもいつものように外へ出て、トキーアサンの授業を受ける許しを父から得た。
「坊ちゃんは多く魔法を知った気になっていますが、それでも全体から見れば、まだいくらも十分ではないのですよ」
「分かってるよ、だからこうして毎日毎日教えてもらってるんだろ。全部覚えてみせる」彼は今、とにかく力をつけたいという思いにとらわれていた。昨夜の出来事が大いに影響している。
「魔法のことについてもそうですが、全体というのはそのような意味ではありません。心です。坊ちゃんはまだ年齢的にもまだ十分成熟しきってはいない。精神的にも幼いために、誤った判断をしてしまうことが数えて止みません」
「そんなの仕方ないじゃんか。老いを得る魔法は知らないし」
「すぐそうやって魔法に甘えるところも、未熟なところですよ。良いですか、せっかく父上から力を授かっているのですから、正しいように使っていかなければなりません。幼さ故の過ちなど、決して悪いことではない。大切なのは、そこからどう自分にとって良い方向に導いていけるかなのです。ですからこうして私が付いているのですよ」事実トキーアサンはいちいち説教臭いところがある。キツォーは今までたくさんの教訓めいたことを彼から教わってきたが、今回の言葉は彼の心に響いた。今までも、もっと真面目に聞いていたら、他にも良いことを言っていたのを聞けていたのかもしれない。話がひと段落着いたところで、トキーアサンが切り出した。
「ところで坊ちゃん、ここから少し、遠いところに行ってみませんか?」