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SLUGGERS!!  作者: ヒラコー
第1章
2/25

2:『1人の被害者、そして協力者』

 グレンたちが隠れ家で夕食を摂ってる頃、ギャング『マグナム・クラックス』にて────

「おい、お前もやらねぇ?」

 ギャングの幹部らしき男が隣の男にタバコのような何かを差し出す。

「嫌だ」

 しかし差し出された側はきっぱりと拒否した。

「連れねぇなぁ、おい。いいじゃねぇかよぉ新入り、上物のハッパだぜぇ?」

「何が新入りだ。俺は仲間になった覚えはない」

「おいおい、そんなこと言っていいのかよぉ?テメェの親父さん、どうなってもいいってんなら構わねぇぜぇ?」

 それを聞いて拒否した男は顔をしかめる。

「……くっ……」

 面白がるように幹部は続ける。

「……まぁいい。とりあえず、縄張り広げるのが先だ。テメェにはしっかり仕事してもらうからよ、っと」

 じゃあな、と手をひらひら振りながら幹部は立ち去った。

「……ちくしょう……」

 残った男は独り、唇を噛み締めた。


 幹部は仲間たちと話していた。

「あいつに働いてもらった後どうする?あいつらは解放してやんのか?」

「解放したら後々めんどくさそうだぜ?今回の件が終わったら殺しちまおう」

「それもそうだな。んで、いつ動く?」

「そうだな…………明日でどうだ?早い方がいい」

「あいよ。明日が楽しみだぜぇ。2人しか居ないちっせぇギャングなんぞ俺らの敵じゃねぇぜ」

 幹部と仲間たちは大きな声で笑った。


 一方、グレンとデイブは、AK47の弾倉に弾を込めていた。

「なぁ、いつ頃向こうは攻めてくると思う?」

「明日あたり来たりしてな。可能性は十分ある」

「火炎瓶とか投げ込まれないといいな」

「外で待ってるに決まってんだろ?向こうが銃を出したらボコるぞ」

「いつものスタイルだな。了解」

 いつものスタイル、とは、要するに「正当防衛っぽくする」ということ。向こうが銃を出したり攻撃したらこっちも応戦するというスタイルだ。

「……よし、弾込め終わり、っと」

「んじゃ、寝るか。おやすみ」

「おやすみ」

 俺たちは明日に備えて早く眠りについた。


 翌日、朝。

「おはよう」

「うぃ、おはよ」

 いつも通りコーンフレークを食べ、今日はいつもと違うことを始める。そそくさと外に出て、近所の路駐車両の下にアサルトライフルとショットガンを隠しておく。

「よし、これでいいな。拳銃は持ったか?」

「もちろん。バットもバッチリだぜ」

シャツをめくって腰に差した拳銃を見せる。バットは手に持っている。

「OK。じゃ、待つぞ」

「おう。返り討ちにしてやるぜ」

「なんなら全滅させるくらいやるぞ。じゃねぇと後々が面倒」

「んー、ま、頑張ろうぜ」


 3時間ほど経って、マグナム・クラックスの連中が来た。俺たちの隠れ家の前に車を停めて連中が車を降りると、手には拳銃を持っている。1人が俺たちの隠れ家に向かって叫ぶ。

「おーい!クソ野郎共!テメェらがいるの分かってんだぜ!今すぐ出てきて命乞いしやがれ!」

 しかし隠れ家には誰一人いない。当然返事も返ってこない。コイツ……分かってるといいつつ分かってねぇじゃん。

 返事も何も無いのにムカついたのか、隠れ家に向かって拳銃をぶっぱなした。放たれた弾丸は柱にめり込む。それを確認して戦闘開始。俺は建物の塀に隠れて回り込み、少しずつ接近する。俺が移動を終えるくらいの頃に、デイブが動いた。車の陰からAK47をマグナム・クラックスの連中目がけて撃ちまくる。5人いたうちの2人がその餌食になった。

「んな……っ!?せけぇぞ!」

 生き残った連中の1人がそう言う。

「セコいのはどっちだ!」

 すかさずデイブも言い返しながら撃つ。

 そろそろ俺も動かなくちゃな。俺はバットを握り締めると、隠れていた塀を飛び出した。こちらに気付いた奴が銃を出そうとするが、それよりも早く1人の懐に潜り込むと、思いっきりそいつの顎をかち上げる。

 めきっ、という音とともに、殴られた奴が倒れる。

「この野郎っ!」

 その隣にいた奴が拳銃を取り出して立ち上がって構えた。しかし引き金を引く前に、デイブのライフルの餌食になり、そいつの頭に穴が空く。

「……さて、あと1人」

 地面にへたり込んで俺の方を見ている連中の残りを見る。

「……ま、待ってくれ!」

「あぁ?俺らのシマを荒らしに来といて何言ってやがんだ?えぇ?」

 残った男の襟首を掴んで持ち上げる。

「ひ、ひぃぃ……」

 そこにデイブが割り込んできた。

「まぁまぁ、待て。コイツ、マグナム・クラックスの普通の格好と違うじゃねぇか。とりあえず話を聞こう」

「……んー……」

 男の格好をよく見てみると、たしかにマグナム・クラックスの連中が着てる緑基調の服装とは違って、ジーパンに赤いTシャツだ。とりあえず襟首を掴んだ手を離してやった。

 

「……んで、話を聞こうか」

「まず質問。お前、マグナム・クラックスのメンバーか?」

「ちっ、違う!」

「じゃあなんでこんな所にいるんだ?」

「……それは…………」

 男は事の経緯を話し始めた。

「俺の叔父は薬物をやっていて、マグナム・クラックスから薬物を買っていたらしい。叔父はその代金を踏み倒そうとして奴らに捕まった時に、俺の親父の名前を出したらしいんだ……。その結果マグナム・クラックスの奴らは俺の親父を拉致して、『親父を無事に返して欲しかったら、俺らのために働け』と俺に言ってきた……」

「…………」

 デイブは静かに話を聞いている。

「……それで、仕方なく奴らに付いてきたら、この状況だよ……。……はぁ、戻っても親父共々殺されるんだろうなぁ……」

 ちょっと気の毒だなぁ……。と思っていると、デイブが口を開いた。

「……お前、その話本当か?」

 男としっかり目を合わせる。

「う、嘘なわけないだろ」

 男の方もたじろぎつつも目を逸らさない。

「……手伝ってやろうか?」

「……は?」

 男の方は理解出来てないようだ。

「だから、親父を連れ戻すのを手伝ってやろうか?ってことだよ」

「なんで……?」

「いや、俺らもマグナム・クラックスを潰しに行くつもりだったしな。ついでだ、ついで。な、いいよな?グレン」

 デイブは俺の方を見て聞く。

「俺は別に構わねぇけど」

 まぁ、無関係だったのにこれはちょっと可哀想だし、助けてやろう。

「そういやお前、名前は?俺はデイブ。こっちのがグレン」

「ショーンだ。ショーン・リスナー。よろしく」

 俺たちは、車に乗り込み出発した。

 

「……本当にいいのか?」

「いいっつってんだろ?何回聞くんだよ」

「でも……」

 車は見慣れた道を進む。デイブが運転しながら口を開いた。

「とにかく、いいって言ってるだろ?それより、お前今、金いくら持ってる?」

「えっ……?」

 デイブの言葉にショーンは一瞬目を丸くする。金をゆすりでもするのか、とでも思ったのだろうか。それには気付いてないのか、デイブは続ける。

「殺るんなら武器が要るだろ?生憎武器は俺らの分しかない。お前の分の武器を準備しなきゃならねぇ」

 すると、一瞬安心したような溜息をつき、ショーンは思いついたようにこう返す。

「一応ナイフは持たされたんだけどもな……じゃあ、道教えるから俺の家に行ってくれ」

 それに俺が聞き返す。

「はぁ?お前の家?」

「俺の父さんの趣味はハンティングなんだ。銃と弾なら沢山あるはず。拉致されたのは外出してる時だから、奴ら(マグナム・クラックス)も家の場所は知らないはず」

 デイブは運転しながら応える。

「行ってみる価値は有りそうだな。グレン、どうする?」

「いい銃と弾が手に入るなら行くべきなんじゃないか?」

「よし、行こう。ショーン、道案内頼むぜ。さっさと行かないと、あのヤク中共(マグナム・クラックス)が異変に気付くぞ」

「分かった。次の交差点右」

「あいよ。ちょっと飛ばすぜ」

 ショーンの道案内に従って車を飛ばす。走ること3分、住宅街を進んでいると

「ここだ。止めてくれ」

とショーンが言った。デイブは車を道の脇に止め、車を降りる。俺も車から降りた。一応警戒して拳銃に弾を込めておく。

「ついてきてくれ」

 ショーンはポケットから鍵を取り出し、扉の鍵を開けて中に入る。俺とデイブも後ろについて中に入った。

 リビングには大きな鹿の頭の剥製がかかっていた。ショーンは倉庫を開ける。そこには1丁のレトロな見た目のライフルと防火防水ケースで保管されたそこそこ多い量の弾薬、ライフルに付ける物と思われるスコープが取り外された状態で置いてあった。俺はそれを見て口を開く。

「狩猟用のライフルかぁ。結構古そうな見た目してるけど、大丈夫なのか?」

 それにショーンが答える。

「大丈夫だよ。これは『Kar98k』って言って、戦争の時のドイツのボルトアクションライフルなんだ。もう100年以上前に設計された物みたいけど、今でもどっかの軍で現役だったりするらしい。これは比較的新しく生産された物みたいだし、今どきの軍用のライフルと同じくらい良く当たるよ」

「詳しいな」

「ほとんど父さんの受け売りだけどね」

 ショーンは照れくさそうに笑う。

「へぇー……使えるのか?」

「俺もよく父さんにハンティングに連れ出されてたから、使い方も分かるし、実際使って動物を狩ったこともある」

「なら心配要らなさそうだな。準備はそれでいいか?」

「あぁ、問題な……あっ、ちょっと待っててくれ」

 そう言うとショーンは父親のものと思われる部屋に入って行った。2分ほどして戻ってくると、ショーンは俺とデイブに片耳イヤホンとちっこいラジオのような機械を差し出してきた。デイブはそれを見て、

「インカム無線機か」

と呟く。

「親父がサバイバルゲーム用に使ってた無線機だ。これで連絡を取り合おう」

「サンキュー、有難く使わせてもらうぜ。んじゃ、準備はいいか?」

「あぁ。いつでも」

「よし、じゃあ行くぞ」

「おうよ」

 俺たちは、車に乗り込んで、マグナム・クラックスの縄張りへと向けて出発した。

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