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36 無数の氷の塊

「なあ、迷宮ってのはどんな所なんだ?」


迷宮へ向かって灰と雪で覆われた山道を進むアルティ、レム、リーナの三人。

その道中、レムが質問してきた。


「迷宮ごとに雰囲気は違うけれが、共通してるのは迷路みたいになっている事だ。」


アルティさんがその問いかけに答える。


「そりゃあ、迷宮って言うのだから迷路みたいなんだろ。そうじゃなくてさ、何て言うかね、迷宮の中の雰囲気とかさ、そこんところどんな感じなんだ?」

「以前私が弟子と行った迷宮はケーキとかお菓子だらけだった。」

「・・・どゆこと?」

「言葉通りだよ、周りが巨大なケーキやお菓子やらで迷路が作られていた。」

「なにそこ、天国じゃん。」

「迷宮って言うのはね、魔神の欲望が反映した異空間の様な所よね。」


リーナさんが口を挟む。


「私が最近潜った迷宮は森の様な構造だったわ。」

「へー、そりゃどういう欲なんだろう。俺たちが潜る迷宮はどんなんだろうな。」

「それは入ってからのお楽しみね。」

「もうすぐ迷宮だ。」


迷宮に近づいた所でアルティさんが言う。


「あら、何かしらアレ。」


リーナさんの目線の先、迷宮の入口付近に氷の塊がいくつもあった。


「この氷、中に誰かいるぞ。」


レムが言いながら氷に近寄ってさする。


「これ、全部お城の兵士さん達ね」


リーナさんが言う。

彼らは迷宮の魔物が外に出ないように、許可の無い者達が勝手に迷宮に入らないよう見張るための兵士達であった。

そんな城の兵士であるか等に興味がないアルティさんは


「女はいるか?」


といの一番に氷の中に女性がいないか確認し始める。

リーナさんはそれを無視して


「まだ生きているみたいね。この氷、溶かしちゃいましょ。」


と氷を魔法で溶かし始める。


「女は・・・」

「いねーよ。」


アルティさんの言葉をレムが遮る。


「つまらぬ。」

「お顔が出てきたわ。兵士さん大丈夫?」


アルティさんを無視してリーナさんは兵士に話しかける。


「ぶるる、ああ、死ぬかと思いました。それとも、もう死んでいるのでしょうか。こんなに美しい天使さんが迎えに。」

「その人、吸血鬼だぞ。」


レムが突っ込む。


「お礼は貴方の血でいいわよ。」


美しい笑みを浮かべてリーナさんは言う。

それに対して兵士は。


「貴女のような美しい方ならばいつでもこの血を捧げます。」


と吸われる気マンマンで答えた。


「いったい何があった。」

「ああ、アルティさん、また会いましたね。」

「貴様など知らん。」

「一緒にこの山を登ったじゃないですか。私が道案内として。」

「男の顔なんていちいち・・・、それはいい、何があった。」

「襲われたんですよ。」

「魔物にか?」

「違います、人間です。」

「人間だと?」

「ええ、二人いました。二人ともフードを被っていたので顔は見えませんでしたがあの出で立ちは恐らく魔神教団の者かと。」

「魔神教団、また面倒なもんが来たな。それと王のバカ弟か。」

「魔神教団って何だ?」

「レム、お前は今まで何をしていたんだ?常識が無さすぎるぞ。」

「一生懸命遊んでました!」


レムは胸を張って言った。



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