35 変態の弟子
「お兄ちゃんお兄ちゃん、お顔だけじゃなく背中の方も拭いてくれんかね。」
女性の背中。
マツバの背中。
マツバがまたどっこいしょと上体を起こす。
肩ひもをずらし、するすると下がって素肌が現れていく。
「ま、待たれよ。」
私は一旦マツバを止めた。
私はドアの鍵を閉める、窓も閉めて、カーテンも閉めた。
「さぁ、どうぞ。」
さあ、どんとこい。
めくられていく。
マツバの身体が見える。
そしてとうとう胸がみ、見え・・・。
くっ、その胸部にはブラジャー。
さすがにそれは着けているか。
誰だ、ブラジャーなんて開発したのは。
きっと作った人の母親が巨乳だったに違いない。
母親の胸がブルンブルンしているところなんて見たくなかったに違いない。
「ふっふっふ、おっぱいが見れると思って期待した?」
こやつ、私の心が読めるのか。
人の心を玩ぶとは、いつからこんな小悪魔になってしまったのだ。
「えっへっへ、さすがにそれは見せられませんよー。」
「・・・・・。」
せっかく鍵とか閉めたのに。
「ん、それじゃあお兄ちゃん、お願い。」
「ああ。」
私は彼女の背中を拭いてあげる。
「あー、気持ちいいねぇ。お上手お上手。」
「お婆ちゃんみたいな声をあげおって。」
「えへ。」
しまった、背中を拭いてたから笑顔を見逃した。
「ありがとう、前は自分でやるよ。」
前・・・。
マツバが手を差しのべる。
「遠慮する事は無い。前も拭いてあげるさ。」
「むう、さてはいかがわしい事を考えているな。」
するどい娘だ。
だがもう私は止められない、行くなら今だ。
「そんな事は無い、私はマツバの事を思って言っている。」
「とか言いながら手が私の胸の方に近づいてるじゃん。きゃー。」
私の手が、胸に触れ・・・。
「あれ、鍵かかってる。どしたーマツバ姉ちゃん!?」
なにぃ!?
ドアの外からレムの声が。
タイミングが悪い時に。
だが私はもう止まれない!今この手に天国を掴む!
男になれ!俺!
大きな音が鳴った。
何だと思った時にはドアが私の方に勢いよく飛んできて私は壁とドアに挟まれた。
「私のセンサーが、不埒なものを関知した。大丈夫かね?マツバちゃん。」
アルティさんの声が聞こえる。
師よ、あなたはこう言う事には協力的だと思ったのに。
「わあああっ。お、お兄ちゃんっ!」
素早く毛布で前を隠したマツバが私を心配して声をあげる。
アルティさんがドアを退けて私の姿を確認した。
「何だ、お前だったのか。邪魔したな。」
アルティさんが状況を理解したようだ。
まぁ、この人の場合わざとやった可能性もあるが。
「おいおい、兄ちゃんよ。やっぱり兄ちゃんは変態だったんだな。」
うるさい小僧だ。
「ふむ、マツバちゃん。だいぶ具合が良くなったようだな。」
アルティさんがマツバに話しかける。
「うん。だいぶ楽になったよ。」
「これなら、明日からもう動けるだろう。この変態な弟子を手伝ってやってくれ。」
「お掃除ならお任せあれ。」
おかしいな、変態に対してのフォローが無い。
マツバの中で私は変態となってしまったのか?




