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33 王のお願い

「よう、アルティ。久しぶりだな。」

「相変わらず偉そうだな、マンロック。」

「偉そうなんじゃなくて本当に偉いんだよ。俺は今この国の王様なんだからな。」

「ふーん。」

「貴様も相変わらず偉そうだな、冒険者のくせに。」


我らがアルティさんは多くの冒険者、城の兵士達を返り討ちにした魔物をいとも簡単に倒したものの、調子に乗ってやり過ぎた結果火山噴火と言う事態を引き起こした。

これはきっと不味いと感じたアルティさん。

きっとではなく完璧に不味い事である。

咄嗟に溶岩を凍らせたものの、第二、第三と次々に噴火が起こり、アルティさんを困らせた。

アルティさんの奮闘をよそに火山灰は国を容赦なく襲った。

国は瞬く間に火山灰だらけになり、私は私達は国に帰還後、他の冒険者、国民と共にお掃除に繰り出されることになった。

アルティさんは魔物を倒した翌日から掃除に駆り出される予定だったが朝起きて部屋に行った時には「探さないでください」と言う置き手紙を残していた。


「んで、いったい私に何の用かね。私は火山灰で汚れた国の掃除で忙しいんだがね。」

「嘘こけ、弟子に押し付けてお前は逃げ回ってたろうが。」

「雑魚のくせにしつこかったなぁ。お前のところの兵士。鎧着こんで屋根から屋根へ。」

「雑魚って言うな。まぁ、最近たるんでるかもしれんがな。ってか逃げんな、さっさと捕まれ。」

「お前自身が出てきたのには笑ったな。」

「王に手間取らせやがって、大臣に小言を言われてしまったじゃねぇか。」

「愉快愉快。」

「てめえ。」

「んで、何のようかね。」


王は不満ながらも真面目な顔になる。


「お前に同行させた奴から聞いた。シヴァの名前をな。」

「あぁ、その事か。」

「魔界にいる神の一人、シヴァ。今回現れた亀は奴の手下って事か。」

「そんな風な事を言ってたからそうなんだろう。」

「草原の方にも雪国にいるはずの狼が増えているが。」

「リコッホ山にいた奴も含めてそうかもな。」

「目的はまた人間界の侵出か。」


シヴァは以前にも人間界に侵出してきた事がある。

邪神教信者によって召喚されたシヴァによって1つの国が壊滅の危機にさらされたが、アルティさんや、後に王になるマンロック等によって撃退する事に成功した。


「魔界の奴等は人間界侵出が好きだからな。」

「はた迷惑な話しだ。そこでな、お前が噴火を止めている最中に見つけた迷宮、お前にそこの調査を頼みたい。」


アルティさんは鎮火作業に勤しんでいる最中に魔力を発した迷宮を発見していた。

たまにこう言う迷宮が現れる。

見つけた場合はすぐにギルドに報告、鎮圧すべきである。


「お前のところの兵士は。」

「返り討ちにあって戻ってきた。」


王は苦い顔をして言った。


「だろうな。」

「恐らくあそこは魔界に繋がっているはずだ、あの迷宮を残していたらまたあの亀みたいな奴が出てくるだろう。その前に潰してほしい。」

「まぁ、いいだろう。」

「それからな。」

「何だ、まだ何かあるのか。」

「俺の弟が何人かの兵士を連れて迷宮に潜ってから帰って来ない。探してきてくれねぇか。」

「可愛い妹とかじゃないのか。」

「可愛い妹とかなら絶対にてめぇには頼まねぇ。」

「気が乗らないが、探してやろう。」

「話しはそれだけだ、明日から迷宮に潜れ。」

「へいへい。」


「とまぁ、そう言う訳でちょっと迷宮に潜ってくる。」


城から戻ってきたアルティさんは私達に報告した。


「私とリーナの二人で迷宮に潜る。」

「あら、素敵なデートになりそうね。」


美しい笑顔を浮かべるリーナさん。


「俺も連れてってくれよ。」


レムが言う。


「お前では歯がたたないだろうが、まぁいいだろう。」


アルティさんは承諾した。


「よっしゃ。」


ガッツポーズをするレム。


「珍しいですね。アルティさんが私をつれ回さないなんて。」


私は言った。


「連れてって欲しいのか?」

「まさか。」

「お前は掃除していればいい。」

「どっちにしても面倒ですね。」


今回、私は留守番となった。



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