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28 鬼ヶ島にいく際にはキビダンゴを持っていこう

私達はリコッホ村を後にしてマンロック城へと向かった。

マンロック城は岩壁にそって作られた要塞のような国であり、角を生やし、青色だったり赤色だったり様々な色をした種族であるオーガ族が国を治めている。


私達が夜に城下町に入った直後、アルティさんは私達と別行動をとり、娼館に直行した。


「あらあら、アルティちゃん。うふふ、待ってたわよ。」


館を訪れた直後、アルティさんを迎えたのは魔法少女の格好をしたオーガのオッサンである。

オカマである。

名前はミスト。

このインパクトに負けて帰る男に幸福は訪れないとアルティさんは語る。

お股につけたキビダンゴを引っ提げ、意気揚々と鬼ヶ島のお宝を求めて門を潜ったアルティさん。


ちなみに私はマツバいるだけで十分幸福だ。


「リコッホ村の村長から話は聞いているだろう。」


アルティさんが尋ねる。


「ええ、聞いているわ。貴方の為にいい子を揃えているわよ。この子にする?あの子にする?それともア・タ・シ?」


ミストは写真を見せながら聞いてくる。


「しばらく見ない内に顔ぶれが変わったな。」

「そうね、独立したり、新入りを拾ったりしているからねぇ。貴方がここに来るのは何年ぶりだったかしら。すっかりダンディになっちゃって。あん、食べちゃいたい。」

「さて、覚えていないな。よしこの犬耳の子にしよう。」

「OK。分かっているわね、この写真に載っている子は皆初めてなんだから乱暴にしちゃ駄目よ。」

「心配ない。私は紳士だ。紳士たるもの、乱暴などせん。リコッホ村の村長のナニ懸けて。」

「ここに来る紳士は変態さんだけなのよ。ちょっと待っててね。」


しばらくして、アルティさんの元に一人の少女が現れる。

犬耳と尻尾を生やした犬の亜人だ。


「部屋にご案内致します。」


犬耳の子は緊張しながらアルティさんの手を取り、部屋へと導く。




アルティさんは今頃楽しんでいるだろうと思いながら私達は宿の食事を味わっていた。

「ワインが美味しいわね。」


吸血鬼のリーナさんがワインの感想を言う。


「うめーな、この料理。」


妖精のレムが料理の感想を言う。


この二人はリコッホ村から付いてきた。

リーナさんはアルティさんとマツバに興味を持って。

たまにマツバを見つめている時がある。

妹を見守るお姉さんと言ったところか、はたまた吸血鬼としてマツバが美味しそうに見えるのか。

当のマツバはリーナさんを慕っており、魔法のレクチャーを受けている。

私もリーナさんのような親切な師匠が欲しかった。


レムの方はアルティさんの強さに感化されたのか、


「このオッサンについて行って最強を目指す。」


と息巻いている。

アルティさんを色々と参考したりするらしい。

ただのエロガキにならなければいいが。


「このサラダ、美味しいよ。お兄ちゃん。」


マツバはメンバーが増えた事に喜んでいる。

私はマツバが薦めたサラダに口を付けた。




娼館にて、事を終えたアルティさんは犬耳の少女が入れたコーヒーを飲んでいた。

アルティさんはブラック、少女のには砂糖とミルクが入っている。


「あの、ブラックって上手いですか。」

「どっちかと言うと苦い。」

「やっぱり苦いんですか。ミルク入れます?」

「いや、コーヒーってのはこの苦さが良いのさ。それに色も好きだし。」

「そう言うもの何ですか。」

「そう言うものさ。ただの先人の洗脳かもしれんがね。」

「洗脳、ですか?」

「まぁ洗脳云々はどうでも良いとして、体の具合はどうかね。」

「え、あ、大丈夫です。」

「これで君も俗に言う大人の仲間入りかな。」

「大人、ですか。」


少女は声と顔を落とす。


「どうした。」

「いえ、その、何でもないです。」

「大人にはなりたくないかね。」


少女はどうして分かったんだと言う驚きの顔をした。


「私も昔は大人になどなりたくないと思ったクチでね。どうしようもないはた迷惑な父親がいてな。」

「そうなんですか。」


しばし沈黙が続いた後、アルティさんは少女の体に再び手を触れる。


「ま、今では素敵極まりない格好いい大人になったがね。私みたいな大人も嫌かな。」

「ふふ、アルティさんは何だか嫌じゃないです。酷いところもあるかもしれませんけど、それ以上に何だか一緒にいると、その、安心します。ミストさんみたい。」

「あんなゲテモノと一緒にされるのは心外だな。」


少女は笑い、アルティさんは微笑む。

長い夜に備え、二人は再び口づけをする。


「そう言えば、まだ君の名前を聞いてなかったな。」

「あ、ごめんなさい。あの、ラストって言います。」

「ラストか。ふむ。」

「あの、よろしくお願いします。」


頬を染めるラストの頭を撫でながら、アルティさんは再び口づけをした。



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