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23 吸血鬼のリーナさん

「私はリーナ。さっきの人達が言った通り、吸血鬼よ。」

「わ、私の血はマズイですよ。」

「あら、ふふふ、安心して。手当たり次第に血を吸ったりはしないわ。とりあえずお店に入らないかしら。」

「え?」

「先ほど言った通り私は吸血鬼だから、日の光に弱いのよ。今のように傘をさしてれば大丈夫なんだけど。」

「あ、そうですね。さしっぱなしで座っているのは疲れますもんね。」


二人は店内に移動した。


「お嬢ちゃん、大丈夫かい。ナンパされてたろ。」


店のおばちゃんが話しかけて来た。


「良かったねぇ、助けてもらって。あ、リーナさんは紅茶でいいかい?」

「ええ、それでお願いするわ。」

「あいよ。ちょっと待っててね。」


奥へ引っ込むおばちゃん。

マツバは助けてくれたお礼を言った後、リーナさんと話をする。


「吸血鬼の方は私のお店にも時々来ましたけど、紅茶が好きですよね。」

「あら、そうかしら。」

「え、違うんですか。」

「まあ確かに紅茶は嫌いじゃないし、私は特に意識したことはないけれど、そう言えば私を吸血鬼だと知っている人は紅茶を奨めるわね。私、緑茶とかも好きなのに。」

「あら、緑茶の方が良かったかい?」


おばちゃんが紅茶を持って戻って来た。


「いいえ、そんな事ありませんわ、いただきます。」


リーナさんは紅茶を上品に飲む。

その姿にマツバは見とれた。

優雅で綺麗とはこの事かーと後に私に感想を言った。


「アルティさんがね。」

「え?」


突拍子もなく出てくるアルティさんの名に驚くマツバ。


「貴女に悪い虫が付かないように様子を見ていてくれって頼まれたのよ。」

「アルティさんが?」

「ええ、今日1日、貴女が宿を出てからずっと付いてきていたのよ。」

「気づきませんでした。」

「いろいろと物珍しそうに見ていたわね。」

「旅自体が初めて何です。いつも家の宿屋で姉と一緒に仕事していましたから。」

「そう。」


お店は大丈夫なの?

そう聞かれるかと思ったマツバだがその質問はなかった。

その質問をされると姉に対して少し罪悪感を感じていたかも知れない。

自分だけこんな自由にして良いのかと。


「力まずに流れるように魔力を送るといいわ。」

「え?」

「その枝、魔力の基礎訓練でしょ。」

「あ、はい。」

「力むとね、逆に出にくいのよ、魔力って。リラックスして、肩の力を抜いて。」

「リラックスして、肩の力を抜いて。」

「綺麗な水が流れるようにイメージして魔力を枝に送る。」

「綺麗な水が流れるように。」

「物にはだいたい精霊が宿っているわ、その精霊を気持ち良くさせるように。」


アルティさんは昔、私に言った。

精霊に媚びろと。

それに比べたらリーナさんの説明はとても丁寧だ。

私もオッサンではなくこんな美人な人に教わりたかった。


マツバは目をつむり、言われた通りのイメージで魔力を送る。

そして、目を開ければ。

今までよりも大きくなった葉っぱが枝に生えていた。



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