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19 首の包帯

「やあ、諸君。おはよう。」

「お、おはようございます。」


何故か首に包帯を巻いて現れたアルティさん。

ちょっとダルそうだ。

一体あの夜に何が起こったのか。


「ふ、ふふっ。気になるか、この首の包帯が。」

「うん。怪我でもしたの?」


マツバが聞いた。


「昨日、お前たちに今日の予定を伝えた後、私は何となく月を見ながら一人でワインを飲んでいたらな。ある女性が声をかけてきたのだよ。」


・・・・・


「こんばんは、いい夜ですね。」

「こんばんは、月が綺麗ないい夜だ。だがあなたもあの月に負けないくらい美しい。」

「あら、お上手ですね。」

「何となく一人で月見酒をしていましたが、あなたもどうです。」

「そうね、お言葉に甘えましょうかしら。」


私はコップをもう1つ店から借りてきて彼女に渡し、ワインを注いだ。


「ほう、ではあなたも旅をしておいでで。」

「ええ、なかなか一所には居れない性分でしてね。こうして旅を続けていれば、貴方みたいな素敵な人とも会えますし。」


とまぁ、こんな感じに仲良くなって、細かいところは省くが私の部屋に一緒に、夜に一緒の部屋にいるのだからやることは解るだろ。

んで、しばらく二人で愛し合っていたらな。


「あぁ、もう、もう我慢できないわ。」


って囁いた後にガブってな。

もう気づいているだろうが、彼女は吸血鬼だったんだ。

私が女をあさりに旅をしているように、彼女も獲物をあさりに旅をしているようだな。

んで、血をチューチュー吸われているのだがそれにも関わらず私は彼女を突き上げ続けたものだからその度に歯が食い込んでな。

おかげで枕が血まみれになってしまった。

とりあえず、傷は魔法で塞いだが跡が結構酷くてな。


・・・・・


跡が酷くなるほどの噛み付きって何だよ。

何で血を吸われているのに平然と事を続けてるんだよ。

しかも店に多大な迷惑をかけてるじゃないか。


「とまぁ、この包帯はそういう訳だ。」

「あわわわ。」


マツバの顔は青いんだか赤いんだかよくわからん事になっている。

私もこれを聞いてどういう顔をすればいいのだろう。

誰か教えてください。


「その吸血鬼の方は今どうしているので。」

「自分の部屋に戻ったよ、ちなみに彼女の部屋はお前たちの隣だ。私とは反対側のな。」


その情報、怖すぎます。

私は血を吸われたくなんかありませんよ、マジで。


「傷は塞がったが、ふふふ、結構吸われたなぁ。さすがに私でも血を作るのは無理だ。だから今すっごい貧血。すっごくダルい。でも、とっても気持ち良かった。危うくソッチに目覚めそうだったよ。ふ、ふふふ。」


この人、本当にもう、馬鹿野郎。



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