17 お風呂
「ふう、風呂はいい。どれ、この壁の向こうは女性浴場か。穴とか無いものか、覗く用の。」
私達と別れた後、公衆浴場でお風呂を満喫していたアルティさんは女性浴場の覗きが出来ないものかを模索していた。
「旅の方、もう少し右側の方にちーーーーーーーーーーーさい穴があいておりますよ。」
同じく風呂に入っていた村の人らしき鳥の獣人、いや鳥人が覗き穴の場所を教えた。
「おお、これか。なんだ、まだ誰も入っておらんな、つまらん。」
アルティさんの期待は脆くも崩れ去った。
この時間にマツバを風呂に向かわせなくて正解だった。
「この覗き穴の事を知っているあんたは、この村の者か。」
「ええ、私は羽田と申します。このリコッホ村の村長をさせて頂いております。」
覗き穴の事を知っているこの鳥人はなんと村長であった。
何だかこの村にいるのはマツバにとって良くない気がしてきた。
「旅の方、間違えていたら申し訳ありませんが、もしやあなたはアルティ殿ではございませんか。」
「いかにも、私はアルティだ。」
「おお、大鎌の魔法使い様。お会い出来て光栄です。」
羽田村長は深々と頭を下げる。
「大鎌の魔法使い様のお力を見込んで、1つお願いがございます。」
「何だ。」
「実はこの村の近くの山に、ある強力なモンスターが現れたのです。」
「ほう、モンスターねぇ。」
「そのモンスターは、とても強く、他の冒険者の方々にも討伐に向かってもらったのですが、皆ボロボロになって逃げ帰って来ました。」
「帰って来なかった奴はいないのか。」
「それは幸いな事におりませんでした。」
「それで、並の冒険者では埒があかないと言うことで私に頼んで来たと。」
「お願い出来ますか。」
「報酬は。」
「山を越えた先にある街に私の友人が営んでいるゴニョゴニョ。」
「ほうほう、ふむふむ、なるほどなるほど。よし、良いだろう。その依頼、引き受けよう。」
「あなた様ならそう言って頂けると思っておりました。よろしくお願いいたします。」
「と、言う訳で明日は山のモンスター討伐に向かう。」
私達が村を散策し、アルティさんと入れ替わりでお風呂に入り、宿に帰って来た所にアルティさんが私達の部屋に訪れた。
「めんどくさいですねぇ。」
「旅費も稼がさないと行かんしな。」
「たんまり持ってるじゃないですか。」
「お前の修行にもなるだろう。」
「めんどくさいですねぇ。」
こちらにとっては命懸けの修行だ。
これが本当に修行といえるかもわからんが勘弁してほしいものだ。
「私はお留守番?」
「そうだな、今回は留守番していて貰おう。」
「留守番なら慣れてるよ。」
威張って言うことでは無いぞ、マツバ。
「留守の間、木の枝に魔力を込めるアレをやっているといい。今よりも大きく出来るように挑戦するんだ。」
「うん、わかった。頑張って大きくしてみるよ。」
「よし、では明日そう言うことで私は寝る。」
「お休みなさーい。」
アルティさんは自分の部屋に戻って行った。
「お兄ちゃん。」
「なんだい。」
「覗いてないよね。」
「覗いてないよ。」
サービスシーン期待した?




