16 リコッホ村に着きました
ついに私達はリコッホ村に到着した。
私達は馬車を預け、宿屋に向かう。
「ごめんなさいねぇ、今部屋が2つしか空いてないのよ。」
宿屋のおばちゃんが謝ってきた。
ならば、私とアルティさんが同部屋、マツバが一人でいいであろう。
「じゃあ、私が一人、これら二人が同部屋で。」
「え、」
ああ、アルティさん。
なんとなくそう来るだろうと思った。
なんとなくと言うか絶対そう来ると思った。
「お兄ちゃんと一緒に寝るのって久しぶりだね。」
部屋の窓を開けたマツバ、相変わらず楽しそうだ。
小さい頃よくサルビアも含めて三人で遊び、三人で昼寝したものだ。
そんな事を思っているとアルティさんが部屋にやって来た。
「よーし、今日はこれから自由時間としよう。各自適当に過ごせ。」
そう告げてアルティさんはどっか行った。
自由か、いつもこういう時どう過ごせばいいのか分からないし出歩くのも面倒くさいから大抵部屋で寝ているが、今回はマツバと一緒だ。
「自由時間だとさ、どうするマツバ。」
「お散歩しようよ、せっかくだからこの村を探索し尽くすよ。」
「うん、じゃあちょっと歩こうか。」
私達は村を散策することにした。
「あ、アルティさんだ。」
マツバがアルティさんを発見した。
「ナンパ中か。」
私達は近くの木に身を隠した。
「口説いてる。女巡りの旅は本気だったんだね。」
「あの人はそう言うくだらん事を本気でやる人だからね。」
「あわわ、人気の無い方へ。」
「あぁ、また一人オッサンに騙されて。」
「わわわ、キスしてる。」
「マツバ、これ以上見るは止めておこう。」
「う、うん。うわ、揉んでる。」
私達はその場を離れようとした。
その時私は誰かに蹴られた。
私はアルティさんの前に現れる事になってしまった。
「きゃあ。」
ナンパされた人が悲鳴をあげた。
「おお、お前が覗きとは珍しいじゃないか。」
「ご・・・ごめんなさい。覗くつもりでは。」
誰だ、私を蹴ったのは。
そう思って元いた場所を見てみると、驚いているマツバと、私を蹴ったであろう少年がいた。
「あーはっはっはっはー、覗き見スケベ野郎に制裁してやったぞー。」
私を蹴り飛ばした少年は高らかに笑い去って行った。
何だアイツは。
「あーあ、おかげで女に逃げられてしまった。」
「お邪魔するつもりは無かったのですが。」
「あのガキンチョの羽、妖精か。」
「妖精はイタズラ好きですからね。」
「まあ、今回は覗いてたお前らが悪いんじゃないか。おかげで女に逃げられた。」
「うぐ、に、二回も言わないでください。悪かったですよ。」
「私は風呂に入ってくる。この村には共同浴場があるようだからな。」
そう言ってアルティさんは浴場の方へ向かって行った。