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15 みなぎるパワー

朝になった。

馬車の中にいるマツバの様子を伺ってみる。

気持ちよさそうに寝てた。


「うおー、何だか力が沸いてくる感じがするぞー。」


起きて馬車から出てきたマツバが元気よく叫んだ。

無事に精霊の魔力が定着したようだ。


「うーん、そうか。じゃあ昨日みたいに木の枝、念じてみようか。」


寝転がり、目を開けていないアルティさんが言った。

起きろよ。

マツバは言われた通り、木の枝に魔力を込めてみる。


「おお、私の体から何かが流れていくような感じがするよ。むむむ、これを木の枝ににに。」


お、いいぞ。

そのまま枝に魔力を込めていけば。

おし、生えた、生えたぞ。

葉っぱが。


「ぷは、葉っぱが、生えた。」

「おー、生えたかー。おめでとー。」


まだ寝転がっているアルティさんが言った。


「アルティさん、いい加減起きてくださいよ。マツバ、おめでとう。」

「ありがとう、お花じゃなくて葉っぱが生えた。お兄ちゃんのお花よりも小さい。」

「もっと上達すればお花も咲かせられるさ。」

「本当に、よーし頑張るぞー。」

「よーし、いきこんだところでもう一度、くぁー、寝るか。」


くぁーっと欠伸しながらアルティさんが言った。

いや、寝るなって。

私は布団を剥ぎ取った。


「ぐおー、まぶしいー。」

「いい加減起きてください。」

「うーん、朝はどうも苦手だ。」


アルティさんがやっと起きた。

やれやれ、女性と寝てる時は早く起きるのに。


私達は移動を再開した。

アルティさんは馬車に乗り、私とマツバは歩いていく。


「お兄ちゃん達は、いつもあんな事にあってるの?」

「あんな事って。」

「昨日の盗賊さん達のようなのとあったりしてるの?」

「あんな事はまだ軽いもんだよ、でっかいドラゴンとかに比べればね。」

「私はあれでもじゅーーーーぶん怖かったのに、やっぱりお兄ちゃん達って凄いんだね。」

「まあ、でっかいドラゴンに対抗できるのはアルティさんだけだけどね。」

「でも格好よかったよお兄ちゃん。ばばばって鞘で次々に敵を倒して行くし、ピョンピョンあっちこっちに跳び跳ねるんだもん。」

「そ、そうかな。」

「うん。私もあんなふうにやってみたい。」


マツバにそう言われると嬉しいな。

筋肉痛になった甲斐がある。

いててて。


やがて、森を抜けた。

後は道沿いに歩けばリコッホ村に着く筈だ。

マツバが森の方へ振り返る。


「精霊のお爺さん、ありがとうー。またねー。」


マツバが森の方へ向かって叫んだ。

お礼と別れの挨拶を。

心なしか、風で揺れる木々達が手を振っているように見えた。

別れを済ませたマツバは再び私達と共に歩き出した。



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