10 女巡りの旅
「たまには他の場所に行って他の女を抱きたいな。」
いつものマツバ姉妹の店、珍しくここで昼食をとっていたアルティさんが呟いた。
「何ですか、また藪から棒に。年頃の女の子がいるんですよ。」
「何事にも新鮮さが大事だと思うだろ。彼女達の体は抱いた、抱きつくした。」
「つまり、飽きたっ言うんですか?ここの女に。」
「有り体に言えばそうだ。と言うわけでちょっくら別の国やら村とかをしばらく回ろうかと思います。」
なにが と言うわけで だ。
「そうですか。お土産お待ちしております。」
「お前も行くんだよ。修行も兼ねて。」
「やっぱり。」
「近いうちに出発しようと思う、いつでも行けるよう準備しとけ。」
「はいはい。」
そんな話に聞き耳をたてていたマツバがこちらにやってきた。
「お兄ちゃん達、しばらく留守にするの?」
「そう言う事になるな、期間不明の女巡りだ。」
マツバの問いにアルティさんが答える。
ん、期間不明?
飽きるまで女を求めてさ迷うつもりですかあなたは。
そう聞いてみると。
「そのつもりだ。そうだ、マツバちゃんも来るかね。」
「何誘っているんですか。マツバをそんなふしだらな旅に付き合わせたく無いんですけど。」
「別にいいじゃないか、ふしだらな事をするのは私だけなのだから。それにマツバちゃんに手を出したりはせんよ。」
アルティさんがぷりぷり怒る、うざい。
手を出さないだと?どうだか。
だが、確かに今まで二人に手を出したりはしていないな。
「んで、どうするマツバちゃん。一緒に来るかね。」
「いろんなところに行くの?」
「そうだとも、森をさ迷ったり、海で波にさらわれてみたり、砂漠で日に炙られたり、雪山で雪崩にあったりとにかくいろいろな場所に行くぞ。」
「私、行きたい!お姉ちゃんに話してみる。」
そう言ったマツバはキラキラした瞳でサルビアのもとに駆け寄る
今の説明のどこに魅力を感じたんだマツバ。
考え直して、お願い。
しばらくするとマツバが戻ってきた。
「お姉ちゃん、行ってもいいって。」
マツバが嬉しそうに報告する。
いいのか、サルビア。いつ帰るかわからないんだよ。
私がそう聞けば。
「いいんじゃないですか。マツバには私と違っていろんなところを見てほしいですし。マツバにまでこの店に縛られる必要は無いでしょうし。」
「アルティさんが言ったような事があるかもしれないぞ。」
「お兄さんとアルティさんがいれば大丈夫でしょ。」
まあ、私はともかくアルティさんがいれば大抵の事は何とかなるか。
「わかった、責任もってマツバを預かるよ。」
「お願いしますお兄さん。」
笑顔で頼まれてしまった。
まったく、この姉妹の笑顔はずるいぜ。




