傷痕を舐める
君が消えるまでは泣かないようにしよう。
いいところも悪いところもぜんぶ君には見せてきたけど。
せめて、この時間くらいは意地を張らせてほしい。
幸せだったよ、と君は笑ったね。
僕に背中を向けた君は、あの日の笑顔さえも過去として清算してしまったというの?
僕はただ立ち止まり、愛が終わる瞬間を直視できずに立ち尽くす。
行ってしまうなら、せめて、嫌いだって言って?
あの頃の君の笑顔が痛すぎるんだ。
君が消えるまでは泣かないようにしよう。
どこまで行っても君の面影が疼くから。
せめて、その傷をなかったことにしないで。
穏やかに、優しく、抱き締めさせて。
君のだいすき、もだいきらい、も、どこまで信じたらいいか、もうわからない。
僕はただ立ち止まり、愛が終わる瞬間を直視できずに立ち尽くす。
いつかは去りゆくものだと気づいてはいたけど。
それがこんなに早いなんて聞いてなかったよ。
君が消えるまでは泣かないようにしよう。
どこまで行っても君の声が響くから。
せめて、その傷痕を隠すことをしないで。
穏やかに、優しく、抱き締めさせて。
過去は変えられず。
未来は未だ見えず。
見えないから未来って言うのかな。
でも、じゃあ、君がいない未来は………?
君が消えるまでは泣かないようにしよう。
どこまで行っても君の面影が疼くから。
せめて、その傷をなかったことにしないで。
穏やかに、優しく、抱き締めさせて。
君が消えるまでは泣かないようにしよう。
どこまで行っても君の声が響くから。
せめて、その傷痕を隠すことをしないで。
穏やかに、優しく、抱き締めさせて。
君が消えるまでは泣かないようにしよう。
すきだよ、と囁く声はもう聞こえないけど。
少しでも前に進むために、君を風化させたくないから。
せめてこの時間くらいは意地を張らせてほしい。