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闇の行進

視点が「俺」では無くなります。

リーンリーン・・・



暗い街の中に、鈴の音が響いた。



リーンリーンリーン・・・



静かな、静かな町。

昼は、あんなに賑やかなのにな。

今はこんなにも静かだ。



リーンリーン



鈴の音が、止まる。

私の、目の前で。

ぼんやりと浮かんで見えるのは、鈴を持った狸。

彼は、笑っていた。



「百鬼夜行に、参加しますね?」



問われて私は頷いた。

固より、逃げる術など存在しない。それに・・・

逃げる必要など、無いのだから。

狸は私の答えに笑んで、列の一番後ろを示した。

其処に並べ、そう言われているのだ。

黙って其処に行く途中、先に並んでいた者達が私に視線を投げる。

「・・・お久しぶりですね。水瀬 風華様」

恭しく皆の先頭に立って声をかけてきたのは、犬神族の長。

ひっそりとした、優しそうな印象のおじいさんだ。

「色々と、忙しくて」

これ以上の詮索は無用、と暗に言う。

他の奴等も同じことを思っていたのか私に声をかけようとしていたが、今の一言で封じた。

「さぁ、参りましょう」

先頭に立つ狸がまた、笑った。


百鬼夜行。

月に何度かある、妖怪の行進。

この日に用も無いのに来なかった妖怪は、追放される。

つまり

人間でもなく、妖怪でもない中途半端な存在として、生き続けなければならないのだ。

人間には忌み嫌われ。

妖怪には冷たい目で見られ。

この世のすべてに拒絶されて生きる羽目になる。

だから、この夜行に沢山の妖怪たちは参加するのだ。

私はこの日が嫌いだ。

夜行など、来たくない。

でも、そろそろ来ないと怪しまれるから。

そうならないように来ただけ。

今まで出てい無かったのも、来たくなかったから。

唯、それだけ。



リーンリーン・・・



再び鈴の音が鳴り始める。



さぁ、長い夜の始まりだ・・・。




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