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始まり
「なぁ」
「何だ?」
「お前さぁ、知ってるか?」
「何を?」
「この町さぁ・・・
人が消えるんだ」
引っ越してきて、一番初めに聞いた言葉。
人が消える?
勿論、信じるはずはない。
だって、そんなのあり得ない。
「唯の家出とかじゃなくて?」
今のこのご時世、学生の家出なんて良くある話。
そんなのに一々大人も騒がない。
「時期に帰ってくるさ」
大人たちはみんなそんな感じで、暢気に子供を待ってる。
この町では違うのか?
消える?
騒ぎ過ぎなだけではないだろうか?
「唯の家出で済むなら、こんなに騒がれない。ホントなんだ。
この町は、人を食う」
人食いの町
そう呼ばれるこの町には、何か秘密がありそうだ。
転校初日。
俺はそう感じた。