仮装はいい。
後間ルナは夫の博の帰りを待っていた。今日は10月31日でハロウィンで、ドリアやカボチャスープなどを用意して、帰りを待った。猫耳を付けての三ニスカのドレス姿で待っているが、帰ってくる様子がない。7歳になる娘の佐奈も「パパまだ」と帰ってこない博を心配している。
20時を過ぎて、スマホを見ても、何の返事もない。既読すらついていない。さすがに、会社の人と飲み会で連絡がこないことはよくあるが、今日は朝にハロウィンパーティーするから早く帰って来てとは言っていた。それを忘れることはないと信じてた。それに、22時までには佐奈を寝かせたい。
テレビではスクラブ交差点が仮装している人で賑わっていて、どこか羨ましくも思えた。ルナも今年で35歳だ。20代の頃は、こんなイベントがあれば、色んな仮装をしてはしゃいでいた。でも、去年もナースの仮装をした。けど、もう若くないのだから、そこまで無理すなくても去年のハロウィンの時に博に言われてショックだった。
若くない。母親になれば、もうはしゃぐことも許せられないのか。それに比べて、男性はいつまでも子どもみたいにはしゃいでいる。好きなことをして生きているようにみえる。
扉が開く音がして、博が帰ってきたようだった。リビングのドアが開いて、バンパイアのカッコをしている博がいた。笑えてきた。
「おかえり、パパ、かわいい」
「ただいま、佐奈、うさぎさん可愛いね」
佐奈はウサギの仮装をしてた。少し、帰りを心配していたことにほっとした。
「かぼちゃ、貰ってさ」
やっぱり、佐奈の仮装には触れるのに、私の仮装のことなど、触れてくれないのだ。
「おかえり、バンパイア可愛いよ」
「君もいいね。その恰好」
何を照れてるのだろう。変な気分だ。
「ありがとう。ごはん、どうするの?」
「うん…」
「もしかして、食べて来たの?」
「うん、少しなら食べる。」
博はテーブルについて、食べ始めた。
「今日さ。カボチャの仮装している集団に出くさして、なんか仮装って楽しいだな。改めて思ったわ」
「カボチャの仮装って、楽しいの?」
佐奈に聞かれて、博は困っている。
「そうだね。みんな楽しいそうだよ。顔もオレンジに塗っていたし」
そこまでしなくてもいいのでは思うが、仮装はやっぱりたのしいのだろう。




