『プレスマンでぶすぶす刺されなかった狐』
掲載日:2026/07/16
あるところに片目の悪いじいさまがいた。子供のころの病気だかけがだかが原因で、右目が開かないのだ。しかし、仕事熱心で、優しい性格で、ばあさまと仲よく暮らしていた。
ある日、じいさまが酔っ払って、上機嫌で帰ってきた。ばあさまは、その顔を見て驚いた。右目が開いて、左目が開かないのだ。ばあさまは、これは狐が化けているのだと見抜き、おやおやおじいさん、こんなに酔ってしまって、いつものように酔い覚ましに米俵に入るかね、と水を向けると、いつもように、という部分が効いたのか、じいさまに化けた狐は、すんなりと俵に入った。ばあさまが、俵に入ったら、いつものように縄をかけるかね、と言うと、じいさまに化けた狐は、何の抵抗もせず縄を巻かれた。ばあさまが、いつものようにいろりにつるしていぶすかね、と言うと、じいさまに化けた狐はいろりにつるされた。ばあさまが、プレスマンをかちかちしながら、どれ、じいさま、いつものようにプレスマンでぶすぶす刺されるかね、と言うと、さすがに狐も気がついて、じたばたしようとしたが、俵にくるまれてぐるぐる巻きになっているので、ほとんどじたばたできなかった。そこへ本物のじいさまが帰ってきて、翌日は、狐汁になった。
教訓:じいさまを正面から見て化けようとすると、鏡になってしまう。




