第7話~学園案内~
翌日。
俺はアウラに連れられて、魔王城の中を案内してもらっていた。
「最初は絶対迷うからね」
アウラは軽い調子で歩いていく。
城の中は想像以上に広かった。
長い廊下、吹き抜けの空間、見たこともない魔道具。
まるで迷宮みたいだ。
「ここが食堂」
大きな扉を開けると、賑やかな空間が広がっていた。
人――いや、魔人たちが普通に食事をしている。
笑っている人もいる。
(……普通だ)
もっと殺伐とした場所を想像していた。
でも違った。
少しだけ安心する。
「次は訓練場行こっか」
城の外へ出ると、広い空間が見えてきた。
地面には焦げ跡や破壊された跡。
空気が少し熱い。
そして――
魔法。
炎を操る人。
風を起こす人。
水を刃のように飛ばす人。
目の前で、本物の魔法が使われていた。
「すご……」
思わず声が漏れる。
「みんな訓練中」
アウラは平然と言う。
「アギト君もそのうちやることになるよ」
その言葉に、胸が少しざわつく。
(俺に……できるのか?)
まだ何も試していない。
でも不安だけはあった。
その時、爆発音が響いた。
ドンッ!!
一瞬で地面がえぐれる。
煙が上がる。
「おお……」
思わず後ずさる。
「慣れるよ」
アウラは笑った。
「最初はみんなあんな感じ」
「……俺、ちゃんとできるかな」
気づけば口に出ていた。
アウラは少しだけこっちを見る。
「できなくてもいいじゃん」
「え?」
「すぐできる人もいれば、時間かかる人もいる」
当たり前のことを言ってるだけなのに、
なぜか少し楽になった。
「ボクも最初全然だったし」
「そうなんですか?」
「うん。才能ないからね」
軽く言う。
でも――
その言葉は嘘じゃない気がした。
「だから大丈夫」
アウラは笑う。
「ゆっくりやればいいよ」
胸の奥の緊張が少しだけほどけた。
訓練場では、誰かがまた魔法を放っている。
強い光。
大きな音。
(……俺も、いつか)
あんな風にできるようになるんだろうか。
不安は消えない。
でも。
昨日よりは少しだけ前を向けている気がした。




