冒険の序章
初めての冒険者人生!初の依頼はこなせるのか?クリムの実力はいかに!いつもよりほんの少し長いのでお楽しみに
「じゃあ早速依頼を受けてもらいましょうか!」
「え?早くない?」
「そんな事ないですよ?いつでも冒険者は人手不足ですのでね、ほれ」
ポイッと謎のカードを渡された。これは…手帳?表紙には冒険者手帳と書いてある。中身は…何で俺の情報載ってるんだ?あったばっかだろ。
「何で俺の…」
「はいはい細かいことは気にせず早くクエスト受けてきなッ!」
ドンッバタン!
強引に部屋の外に追い出されて扉を閉められてしまった。早速クエスト受けろって言われてもまだFランクだろ?細かい説明とか無いのかよ…冒険者手帳に書いてあんのか?
「ふむふむ…」
パタン
俺は冒険者手帳を閉じて頭を整理する。1時間ほど冒険者手帳に書いてある説明を読み解いた。ランクはF〜Sまでの階級があり下から素人、駆け出し、中堅、手慣れ、熟練、化け物、人外と言われる強さらしい。そして自分のランクの1つ上までのクエストは受けれる。最後にクエストには討伐、護衛、採取、特殊の4つらしい。
「まぁ何となくで受けてみるか」
ギルドカウンターの前に行ってクエストが書かれた紙を受付嬢に渡す。げ、この受付嬢リファかよ…俺が変装したことバレてないよな?ルドルフ言って無いよな?
「はい!スケルトンナイトの討伐ですね?」
「は、はい…」
「あ、後で個人的に"お話し"があるので討伐終わった後よろしくお願いしますね♪」
やっぱバレてるのね…あのクソジジイが!お喋り爺さんめ…はぁ、まぁクエストついでに武器でも買ってくか。低ランクだしEランク程度の剣でも買ってこよう。
王都セイクリッド墓地跡地
「カカカァ?」
カランッ
大量のスケルトンが跋扈している。俺の狙いはスケルトンナイトなんだけどな…まぁ風魔法の練習でもしとくか。
「忘れ去られた風軍」
シュゥゥン!
俺の呼びかけに応じた風の軍隊が顕現し、スケルトンを喰らい、穿とうと走り出す。人を模した軍隊は総勢30にも満たないがその実力は圧倒的で切られた箇所も魔力がある限り際限なく再生される。そして万が一にも負けた時は風の刃を残留させるおまけ効果付きだ。
「まぁ魔力消費が高いのが欠点か」
忘れ去られた風軍は俺の最大魔力の3分の1使う。吸血鬼の血を継いでる俺は莫大な魔力量を有しているからこのくらいで済んでいるが人間の血だけだと前魔力を消費してやった程度だろう。30体でこれだから恐ろしい。
「カカァ!」
「やっと本命のお出ましか!」
キィィィンッ!
俺は肉断ツ骨包丁を顕現してスケルトンナイトの錆びついた剣に抵抗する。
「カァ?」
「赫ノ花園」
鮮血で作られた紅蓮の赤薔薇がスケルトンナイトの体に纏わりつく。血を、体力を、力を吸い取る薔薇の力になす術もなくスケルトンナイト達は赤く染まり尽くす。
「ついでにまだちょっと狩ってくか?」
冒険者ギルド1階 ギルドカウンター
「終わりました〜」
「遅かったですね?まぁとりあいずスケルトンナイトの証をお持ちですか?」
証とは討伐の成功を表すための物だ。ゴブリンなら右耳を、スケルトンだと肋骨をって感じでモンスターごとに持ってくる素材は違う。そして俺はスケルトンナイトの肋骨を大量に置いた。
カランッコロンッ
「…多くないですか?」
「つい熱中してしまって」
「そ、そうですか…まぁ討伐数が多いのは良いことですしね?でも限度を弁えていただきたいのですが」
そんなに狩りすぎたか?確か40体くらいだったか。そんなに多い数なのか…今後は少し控えるか。
「はぁ…じゃあ報酬に上乗せしときますね」
ジャラジャラ
報酬は銀貨1枚だ。まぁFランクだしこのくらいか…ギルド長に大金貨10枚取られたからな、迷惑料だ〜とか言って。そのせいで今金欠だししょぼくれた金でも喜ぶとしよう。
「あと話し合いのこと忘れないでくださいよ?今日の夜に私の部屋集合ですからね!」
「はいはい分かりましたよ〜」
はぁ…何されるんだろ。ワンチャン片腕くらい覚悟してた方が良いのか?その時は狂ッタ神経、頼んだぞ。
「まだ夜まで時間あるし宿でも探すか」
宿…宿ねぇ〜宿選びミスると変な酔っ払いとかに絡まれたり飯が不味かったり色々大変だからな。多少高くても我慢するしかない。えっとこの辺で有名な宿は…
「ここか」
そこにあったのは「そよ風亭」と書かれた看板と廃業と書かれた看板の2つだった。
「嘘…だろ?!」
なんで廃業なんか…看板には流行り病に店主がかかったため?チッ、ここも流行り病あるのかよ。しゃぁーないか、確かもう少し行ったところにもう1つ宿があったはずだしそこで良いか。
スタスタ
俺は宿「ルッタの宿」につく。外装はお世辞にも綺麗とは言えないほど汚れていて蔓などが生えている。室内を除くとテーブルなどは散乱していないがよくわからない虫が隅で蠢いている。
「…流石にやめておこうか」
そこを後にしようとした瞬間に少女に後ろから話しかけられる。正直ビクッとした。
「お客さんですか?お待ちしておりました!ようこそルッタの宿に!」
「え、その…」
「まずは店内にどうぞどうぞ!」
少女に背中を押されてされるがままに店内に押し込まれる。なんというか既視感あるな…
「まずはこの宿の説明をさせていただきますね!」
「あ…はいお願いします」
少女の満面の笑みと勢いに押されて結局このぼろ宿に泊まることになってしまった…
少女の外観と名前とかの細かい設定は次の話で明らかになります。ボロボロ宿でどう暮らしていくのかお楽しみに