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SISTER  作者: 公魚多ゲシ
11/15

girl, overdrive (ex. SISTER)

 自販機でコーラを買い半分飲んだところで嫌になった。別に喉が渇いていた訳では無い。ただやる事がなく、出来ることがなく途方に暮れていたから買って飲んでみただけだ。今は手の中の缶さえ苛だたしさが募り感情が昂ぶる。


「どいつも! こいつも! ムカつくっ‼︎ フッざけんなっっ‼︎」


 大声で叫びながら持っていた缶を自販機に叩きつける。

夕暮れの公園は人影も疎らだが八重の大声と自販機に缶がぶつかるガコンという音に驚き2,3人が八重の方を見る。が、すぐに興味を無くし歩き続ける。

 悔しくて情けなくて涙が出てきた。

 滲んだ涙を手で拭おうとした時、制服の袖が濡れている事に気が付いた。右手も濡れていてなんだかベタベタする。半分残ったコーラが缶を投げつけた時に溢れて自分にかかったのだ。

 尚更惨めな気分になる。

 激情に任せて衝動に駆られても良い事なんてない。そもそも感情を爆発させるなんて自分のガラじゃない。こんな気分の時はこんな風、なんてやって見てもバカみたいだ。

 自販機まで歩いて行き投げつけた缶を拾う。自販機の、缶が当たった辺りを見つめるがどれが自分が付けたキズか分からない。少し離れた水飲み場まで行き残った缶の中身を捨てる。蛇口を捻り手を洗う。制服の袖がびしゃびしゃに濡れるのも構わずコーラがかかった所を水に通す。何事にも無感動で御構い無し、これが自分らしいのか?

 自販機の横のゴミ箱に空き缶を捨て空を見上げる。空の色や雲の形は毎日違い八重は何となく、とても好きなのだが友達は別に同意してくれない。

 分かっている。

 夕暮れの雲の縁が光の線を描き見つめていると眩しくてまた涙が滲んできた。


「チクショウ。」


 今日の西の空は特に綺麗では無かった。

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