災厄な彼女達その2
『ゲホッ』『ギャハハハハハ』『こいつまじで吐いてやがるぜやばくねえ?』
やられた。ノリフミは完璧に騙されていた。
入学初日に自分に告白してきた『彼女』は後ろのほうでスマホを弄って見てみぬ振りをしてやがる。
あんなにかわいく見えた『彼女』の顔もよく見るとエラが角ばったブスだ。
ちくしょう・・・・
情けなさと痛みで泣きそうになった。
隣町のゲームセンターの裏のいかにも不良がたまれそうな場所にノリフミは数人がかりで囲まれていた。
普通なら大声をあげたり走って逃げればよさそうだが、この不良達は能力者だった。
オマケに長年の引きこもり生活のせいで走ることもままならなかった。
彼らは能力者といっても大したことはないのだ。
リーダー格の男は手から炎がだせるが拳よりも少し大きいぐらい。
後の数人も手が刀に変化したり、トゲが生えたりといったものだった。
しかし無能力+引きこもりの体力不足のノリフミにとっては驚異だった。
こいつらの目的は金らしいが、いたぶることも好むようだ。
『なあよっちゃん、いつものやってやろーぜ』
『ああ、そうだな。』
『おーいお前。俺の彼女に手を出した代償としてよぉ。死ぬまで消えないキズ負わせてやっから覚悟せーよ』
そういうと『よっちゃん』と呼ばれる男は手から炎をだし、味方のトゲを炙りはじめた。
『今日の文字はどうすっべー』
『とりあえずよー。デコにオメコマークは基本だべ』
ノリフミは全てを理解し青ざめた。こいつら熱したトゲでおれの顔に火傷を負わせてラクガキするつもりだ・・・
一生消えないラクガキ。
こんな時、俺に能力さえあれば・・・
『無能力者は幸せにはなれない』
母親の言葉を思い出した。
突然、辺りが真っ暗になった。
よっちゃん『あんだぁ?』
手下A『雨?』
彼女『何?』
空を見上げた一同が見たのは自分たち目掛けて突っ込んでくる大量の蝗のカタマリだった。