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悲惨。




しかし、道具屋に居た男は言った。



「でも、俺は両親を生き返らせる方法知ってるぜ。

知りたいか?」



リニアは、目を大きく開いて男の方に駆け寄った。



「知ってるのか!?

お、教えてくれ!」



「生き物を生き返らせる薬だ。

人間だって生き物だからな。」



「そおか・・・。」



「でも、テメェもわかっただろ。

今まで普通に生きててそばにいた奴が、消えていく悲しみが。」


「ああ、わかった。」



「俺は、お前以上に悲惨な経験をしているんだ。

だから、絶対に生き物を生き返らせる薬、【ロストバ】を手にいれるんだ。」



ランフリーは、恐る恐る聞いた。



「ひ、悲惨な・・・経験?」



「・・・。

俺には、婚約者が居たんだよ。

大好きだった。

愛しくて、愛しくて。でも、結婚前夜、俺の婚約者は、誰かに連れ去られて、殺されてた。」



「なんて・・・酷い事を・・・。」



「その犯人は、殺すだけじゃ物足りなかったのか、指輪を奪って行ったんだ。

俺は許せなかった。

憎くて、憎くて。

でもその犯人はもう、見つけられない。」



リニアは、下を向きながら呟いた。



「その犯人を探す前から見つからないって諦めてたら、運命は変わらない・・・。」



男に少し笑顔が戻った。



「そうかもな。

俺が今、出来るのは、薬とその犯人を探す事だな。

・・・運命・・・か。」



「俺も、君と一緒に行くよ。

犯人と薬を探そう。」



「おう!

俺の名前は、カイロだ。よろしくな、リニア、ランフリー。」


ランフリーはどこか焦ったように言った。

「カ、カイ・・・ロ?」



不思議そうにカイロは聞いた。



「おい、ランフリー?どうしたんだ?」



その時、ランフリーは泣きながら答えた。



「カ、カイロ・・・、ご、ごめん。

あなたの婚約者、殺したの・・・、わ、私かもしれない。」



カイロは驚いた。



「なっ、なんでだよ!?

どうゆう事だよ!?」



「わ、私、どこかの記憶がないの・・・。

それで私の一部の記憶で、私の前に女の人が倒れてて、カイロってずっと血だらけで呟いていたの。」



カイロは絶望した。



「・・・うそだ。

違う。違う。違う。」



「私かもしれないの。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」



「俺は信じねぇ。

信じたくねぇ。」



「私が・・・殺した・・・の。」



カイロは、まっすぐランフリーを見て言った。



「俺はまだ、信じない。

薬を手に入れて、生き返らせて、それから犯人が誰だか聞く。

それまでは、ランフリーを犯人とは思わないからな。」



「カイロ・・・。

ありがとう。」



リニアは、出来るだけ明るく言った。



「じゃあ、探しに行こうよ。」



ランフリーは言った。



「でも私、旅をしてる間に二人を殺してしまうかもしれない。

実際、私は両親もカイロの婚約者も殺している。

それでも、ついていっていいの?」



リニアは優しく言った。



「いいんだよ。

まぁ、ランフリーがついて来たくないって言うなら別だけど・・・な?」



ランフリーは喜びながら微笑んだ。



「行くよ。

ずっとずっと、二人についていく。」



カイロはまた真面目な顔に戻って言った。



「よし、じゃあ次はどこに行くんだ?

コールディアにはもうねぇし・・・。」



リニアは言った。



「うーん。

とりあえず、この街を出て歩こう。」



そして三人で街を出て歩き出した。




そしてふと、ランフリーは言った。



「はやく薬を手に入れて、大切な人を生き返らせたいね。」



すると突然、どこからか女性の声が聞こえて来た。



「大切な人を生き返らせるぅー?

何言ってんの?

あんたら。」



「なっ、何!?

誰よ!?」



「ふん。

死んでる奴を生き返らせるなんてさ。

死んだ奴は死んでればいいのよ。

そしていつか、生きてる奴は死ねばいい。」



リニアは、その女を睨みつけた。



「なんてこと言うんだ!?

おばさん!!」



「私はまだ18だバカ野郎!!

まぁ、そんな事はどうでもいい。

・・・薬を渡せ。」

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