元特殊部隊員の俺が一般人を監視するのは、難しい
遅くなりましたが、次話できました~。
俺はみしらぬウサギフード女の膝で休憩を取っていた。
「あの・・・目が覚めたならそろそろ起き上がってもらえませんか?」
「この体制恥ずかしいです・・・」
なんだ、人の膝で休むことは、恥ずかしいことなのか。メモしておこう
俺は、ポケットからメモ帳を取り出し、書き始める。
「め、めもしないでください!」
次の瞬間彼女は、顔を赤くして立ち上がる。
俺は咄嗟に受身を取って体制を立て直す。
「なんだ、急に立つなんて危ないじゃないか!」
「だって・・・なかなかおりないから。」
「そんなに、恥ずかしいものなのか?俺は別に気にしないぞ?」
「もう、しらない!」
ぷいっっと彼女はそっぽをむく。
まったく。この子のいう事はよくわからん。
たしか、こんなとき社会ではこう言うんだよな。
「君は非常識だな。」
「あなたに言われたくありません!」
おれはことごとく反論されたのであった。
ーーーーーー新町1丁目路地、13:00------
「おい、なんで怒ってるんだ?」
「怒ってません。」
公園をでた俺はセーフハウス(陸橋したのテント)へ向かっていた。
ただ、隣には犬とウサギフードの女がいる。
「じゃあ、なんでついてくるんだ?」
「知りません、あなたがついてきてるんじゃないですか?!」
「俺の隠れ家はこっちだ。もしや、お前俺を尾行しているのか?!」
「ちがいます!私の家もこっちなんです。」
「え?・・・」
「おいウサギ、君の家はどこにあるんだ?」
「うさぎじゃありません!」
「いや、そのフードうさぎでしょ?」
「私の名前は、兎美です。」
「ほぉ、うさみというのか。」
「はい、白井兎美といいます」
「で、うさぎ。さっきは、助かったよ」
俺は犬に噛まれた所を摩りながら言う・
「うさぎじゃないです。それはどういたしまして。」
「うさぎ、君は本当に敵じゃないんだな?」
「うさぎじゃないです。私は敵でもなんでもないです。ただの高校生です。」
「高校生とは、どんな職業なんだ?」
高校生・・・名前から察するに高度強襲部隊かなにかか?
やはりこの女もどこかの部隊に所属しているのか。
「え?高校生もしらないんですか?」
くそ、軽くこの女にばかにされたきがする。
「ああ、俺は社会のことはよく分からん。」
「いったい、どこでいきてきたんですか??高校生って言うのは、学問を勉強するところです。」
「それは楽しいのか?」
「はい!勉強は苦手ですが・・・友達と会えますし。」
友達・・・また新しい単語が・・・
「そ、そうか。友達か。それは楽しいな。」
俺の知らない世界が高校にはありそうだ。今度調査しよう。
「ところで、あなたの名前は?}
今度は彼女が質問してくる。
「俺の名前は特殊 雪だ。」
「とくしゅ?さん?」
「ああ。」
「へ、へえ~珍しい名前ですね。」
「らしいな。よく言われる。」
「おい、走るぞ・・・」
「え、ええ?」
俺は彼女の手を強く握って走り始める。
「ちょちょっと、離してください~~!」
そんな彼女の声は俺には届いていなかった。
なにか視線を感じる。さっき公園をでたあたりから、感じていたが、これは殺意丸出しのほうだ。
嫌な感じがする。
「おい、遅いぞ!!」
「そんな!急に引っ張るんだもん!って何処へ行くんですか!?」
「うるさい、走れ。」
俺は、細い路地を抜けて、新町大橋を目指す。
ーーーー新町大橋陸橋下(隠れ家)----
「離してください!!」
彼女は、力強く引っ張ると、俺を睨んでくる。
よく見ると、彼女の手首は俺が握ったせいで、赤く腫れていた。
「悪かった。少し強く握りすぎた。」
咄嗟の事だったので、つい力が入ったらしい。
「いったい、何があったんですか?」
彼女は、荒い息使いをしながら俺に問う。
「俺たちを追ってきてたやつがいた。恐らく俺を狙っていたのだろう。」
世界でいろんなことをした俺を、よく思わない者も多いだろう。
まあ、仕方ないことだな。
それはいいとして、彼女も見られたはずだ。
厄介なことになったな。
「あなたはそんな、有名人なんですか?」
「ああ、そうだな。みんな俺を狙ってるよ。」
「ええ!!知らなかった!私初めて有名人と生で会いました!」
「テレビとかにもでてるんですか?スポーツとかの有名人ですか?」
「テレビ?ああ、そうだな。よくレクチャー動画とか撮られる。スポーツなら、なんでも得意だ。」
「へええ!!すごいです!」
彼女は先ほどまでと違い、目を輝かせて話す。
有名人なんて、いいことないのに・・・
毎日のように来る、殺害予告。
食べ物には毒を盛られ、気が抜けない。
監視される毎日の行動。
一般人とやらは、そんな人生を望むのか。
考えられんな。
「で、なんの有名人なんですか?俳優ですか?」
「俺は特殊部隊だ。元な」
「え?・・・・」
「え?・・・」
お互い戸惑う。
「特殊部隊って何ですか?・・・」
「それは言えない。」
「へ、へぇ~特殊部隊ですか・・・凄いですね・」
明らかな棒読みだな。
まあ、当然か。
「じゃあ・・・私帰りますね。」
「まて。」
ビクッと肩を揺らす。
「まだ何か・・・?」
「これから、お前を監視させてもらえないか?」
「嫌です。」
即答か。
「監視っって何するんですか?!そんなの絶対嫌です!。」
「俺たちが一緒にいるところを見られた。お前の命を保障することはできない。」
「何言ってるんですか?警察呼びますよ?!」
「とにかく、忠告はしたからな。」
「はいはい、気をつけます。」
彼女は俺の話を流して、去っていく。
「お前の家、ここだったのか・・・」
彼女の家は、新町大橋の出口にあった。
俺の隠れ家の上が、彼女の住む家だったのだ。
ーーーー新町大橋下(隠れ家)PM08:00ーーーー
俺は夕食作りにいそしんでいた。
「おお、うまそうだ。」
今夜の夕食は、新町川で釣った、お腹が赤い魚と川原でとった黄色いきのこだ。
「社会にはいろんな食べ物があるな。」
何故みんな取らないのだろうか?
俺は不思議に思う。
夕食を食べながら、明日の予定を考える。
「明日はなにをしようか・・・」
ふと、朝の出来事を考える。
俺を追っていた、謎の人物。
あんなに殺意丸出しなら、恐らく素人だろうが、油断はできない。
俺はいいとして、彼女は例外だ。
巻き込んでしまったからにはなんとかしなければならない。
他人に迷惑を掛けるのは嫌いだからな。
しかし困ったことに彼女は俺を無視していってしまった。
「まったく・・・非常識な女だ。」
恐らく追ってきたやつらはまず、俺の周りから消していくだろう。
精神的ダメージを与えるにはいい戦略だ。
俺だったらそうする。
どうしたものか・・・
まったく、変な女を巻き込んでしまった。
俺はその夜、彼女の事が気になって、なかなか寝付けなかった。
ーーーー新町大橋AM07:00----
「あの~、何やってるんですか~?!」
「ああ、今トラップを仕掛けている。」
「へ~でも、ここ私の家なんですけど・・・」
「知ってるよ。」
俺は結局昨日考えた結果、彼女の家に防衛線を張ることにした。
これならば、俺が直接監視しなくても、少しは安全だろう。
「おい!そこから前に出るなよ。対人センサーが反応して俺たち二人とも、ミンチだぞ。」
「ええ!!は、はい!」
彼女はあわてて、後ろに下がる。
「この家の周囲には、地雷、熱感知センサー、監視カメラ、有刺鉄線を仕掛けた。これで俺が監視しなくても、少しは大丈夫だろう。」
昨日の夜こっそり、俺がいた基地に忍び込んで、資材をパクってきた。まあ、ちゃんと返すから大丈夫だろう。
「なんで、私の家が要塞みたいになってるんですか!?」
「なぜ?昨日お前自身が、監視をするなといっただろう?だからこうして、わざわざ別の方法を考えたまでだ。気に障ったか?」
「どうやって、家から出るんですか?!」
「それはだな、玄関を出たら、右に5歩、前に5歩、左に7歩、前に4歩、最後はジャンプで、道に出るわけだ。」
こんな簡単なトラップだが、まあ時間稼ぎにわ、なるだろう。
「そんなの無理です!!!元に戻してください!」
彼女は怒って俺に怒鳴った。
ーーーー兎美家AM08:00ーーーーー
俺はようやく、全てのトラップを片付け終わった。
「まったく、大変な女だ。」
ぼそっと、つぶやく。
「もともと、あなたが悪いんですよ?!」
まあ、その通りなのが痛いところだ。
「それは、悪いと思ってる。だが相手が何者かもつかめない状態で、お前を放置しているのは危険すぎる。やつらは、一応プロだからな。いつ襲われるか分からんぞ。」
「そうですけど・・・」
彼女は考え込む。
「とりあえず!トラップはだめ!わかりました?」
「ああ、他の方法を考えるよ。」
しょうがないな。
「じゃあ、私学校に行く時間なので、失礼しますね。」
「おい!まて、一人で出かけるだと?お前は狙われてるのかもしれんのだぞ!?」
「そんなの、知りません!行きます。」
「分かった。俺も行こう」
「はい?」
「だから、俺もその高校?とやらについていく、どうだ?これな迷惑にならないだろ!」
「ぜええええったいにやめて下さい!」
俺はことごとく、断られた。
ーーーーPM01:00----
「よいしょっと。おお、眺めがいいな。ここならよさそうだ。」
俺は新橋大橋の鉄骨を上り、てっぺんまできた。
恐らく昨日のやつらはまだ俺を探しているだろう。
人工衛星からの情報をリンクして、上から探す。
「よし感度良好!よくみえるな。お?さっそく見えたぞ。」
怪しげな黒ずくめの二人組みが、1、2,3。
三グループ体制か。これはなかなか嫌なやつらに目をつけられたな。
合計6人が探しているという事は、それなりに大きな組織だ。
双眼鏡に持ち替えて、詳しく相手を観察する。
ここから、約3KMか。腰には拳銃と思われる膨らみ。
おお!あいつ肉屋で、コロッケを買ったぞ。なるほど、あそこに商店街があるのか。
向こうのグループは、ホームセンターで買い物。
あっちは、自販機で立ち飲み。
あまり統率がなされていないな。やはり素人か。
引き続き、観察するとしよう。
「ポツ、ポツ」
「ん?、なんだ今日は雨か。まあ姿が隠せて好都合だ。」
冷たい雨が、町を覆い始めた。
ーーーーPM06:00----
さて、そろそろくるかな。
俺は町から歩いてくる、かさをみながら彼女を探す。
「いた。あれだ」
雨が滴る、鉄骨を慎重に歩きながら、目標の傘の方に歩いていく。
「え?・・・」
向こうが先に気づいたようだ。
「学校と言うのは、一日拘束されるのか。いったいどんな訓練をしているんだ?」
「学校は訓練なんてしてないですよ?火災訓練とかは、ありますけど・・・ってびしょぬれじゃないですか?!」
彼女は心配そうに傘から、覗き込む。
「ああ、それよりもやはり、昨日のやつらがまだ俺たちを探しているようだ。町で何人か見かけた。」
「え?町に行ってたんですか?」
「いや、昼から橋の上から、観察していた。」
「は、橋の上ですか?!」
「ああ、そうだが。何か?」
俺は、なにか変なことを言っているだろうか?
「危ないですよ!?」
なんだ、そんなことか。
「大丈夫だ。ビルの4階ぐらいなら、着地でしっかり体制をとれば、なんとかなる。」
「そんな、事聞いてるんじゃないです!」
彼女は、何故怒っているんだ?俺は今回は、何もしてないぞ。
「まあ、なんでもいいが橋の上なら文句ないだろ。引き続き監視をつづけるよ。一応巻き込んでしまったからな、情報の共有はしっかりとやっていこうと思う。」
俺は、再び橋へと歩みを進める。
「まってください!!」
「ん?なんだ?」
「あの・・・この傘、使ってください。」
そういって、彼女は俺に自分の使っていた傘を差し出してくる。
「別にいいよ、俺には必要ない。」
「だめです!風引きますよ!?つかってください」
そういって彼女は強引に俺に傘を渡してくる。
「お、おい。」
「くれぐれも落ちたりしないでくださいね?!」
「あ、ああ分かってるよ。」
そういって彼女は家まで走っていく。雨が夏服を濡らしていく。
「まったく、なんなんだ?」
傘か・・・偵察中にこんな赤い傘は目立つな。
俺は橋まで向かうついでに、傘を彼女の家の玄関に戻す。
ここにおいて置けば気づくだろうか?
「わん!わん!」
「おいおい、噛み付くなよ!?」
俺は噛まれた腕を隠して犬に近づく。
「もしかしたら、盗まれるかもしれないからな。お前が持っていてくれ。」
「わん!!」
俺は犬に傘を渡して、立ち去る。
さてっと、任務にかかるかな。
俺は髪から滴る、水滴を払い、鉄骨を上っていく。
「今日は・・・いい天気だな。偵察には、もってこいだ。」
新町大橋の上で、一人偵察を楽しむのであった。
なんとも微妙なとこで、終わりました。
うん、微妙ですね。
次こそは1章完結させるぞ~