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元特殊部隊員の俺が一般人になるのは難しい  作者: いかさん
セーフハウスを探すたび
4/6

元特殊部隊員の俺が一般人の温もりを感じるのは難しい

「ポた、ポた」


 腕から流れ落ちる液体。


 力が抜けていく。



「あ、あの!大丈夫ですか?!」


 ん?あ、そうか俺、犬に噛まれたのか


 状況を素早く理解する。


 たしか・・・そうだ!!

「お前、俺の持ち物を朝探っていただろ。どうするきだ?!」

「へぇ!?朝ですか?」

「そうだ川原で俺が寝ているところに近づき何をしていた?」

 怪しいウサギフードを着た女と 犬はお互い考えるように見合わせる。


「あ!あのときの!?。えっとハチがおしっこしちゃって・・・その・・・言いにくいのですが・・・あなたの顔に・・・」


「な、。なにいいいい!!!?」

「すいません!うちのハチがご迷惑をかけました!」


 怪しい少女の話によると

 俺が寝ているところに犬がおしっこをしたため、持っていたハンカチで俺の顔を拭いて立ち去ったそうな・・・


 ぜんぜんきがつかなかった・・・むしろそれが問題だ!

 おれとしたことが・・・こいつステルス能力でももっているのか?


 まったくこの少女の感情は読めない。


「あの・・・ハチは悪い子じゃないのでゆるしてあげてください・・・」

「くぅーーん」


 少女と犬は互いにぺこりと頭を下げる。

「ま、まあそんなことはいい。」


 俺とした事が・・・朝からまったくの勘違いをしてここまできたと言うことか・・・

 いささか、社会の仕組みはよくわからんな。


 フラッ・・・


 ん?なんだ・・・

 視界が揺れる・・・


「あの~本当に大丈夫ですか?!」


 彼女が何かしゃべっているが頭に、はいってこない。


 ああ、そうだった。俺は犬に致命傷を負わされていたんだ。

 腕からは、どくどくと流れ出る物がある。


「すまんが・・・少しやすませてくれ・・・」

 ドサっ・・・・


 俺は力なく地面にたおれたのであった。





 ーーーーー7年前inアフリカ、サバンナ州ーーーーー


 ん?!、俺はどうしてここに・・・

 たしか解雇されたはじじゃ・・


「隊長!!」

「なんだ?」

 咄嗟に反応してしまう。


「2名重症です!これでは任務続行不可能です!」

 なんだと?!


 今回の任務は・・・たしかテロ集団の金庫から核弾頭の奪取だったな。

 あたえられた人員は俺と、海兵隊員4名。

 今回は楽な仕事になると思ってたんだがな・・・


 一人は地雷で負傷。

 もう一人はスナイパーに狙撃され負傷。


 まったく情けないやつらばかりだ。

 おまけにこのぐらいの出来事で任務不可能とまできめつけやがる。


 ありえない!


 俺は表情を一切変えずに命令する。

「2名はここおへ置いていく。任務続行だ!」


「隊長!!彼らはこのままでは危険です!」


 こいつらいったい何を言っているんだ?


 俺がいままで教わってきたことは、

 1に任務

 2に任務

 3に任務


 だ。


 なにがあろうと、任務を成功させる。それが例え俺一人になろうとも。


 仲間が負傷した時は治療はするが、そこで動けないようならそいつは見捨てるまでだ。

 例えそれが、俺の相棒だったとしてもだ。


 知人、友人だろうと任務に支障が出るなら切り捨てるまでだ。

 特殊部隊の俺たちからすれば、当たり前のことだ。


 海兵隊ではこういう事は聞かされてないようだな。

 潜入部隊は基本、単独プレイなのだ。


 俺は命令を無視する海兵隊員に、もう一度言う。


「くるか、こないかどっちだ?」

 負傷していない2名は黙り込む。


「た、たのむ!おいてかないでくれ!!」

 地雷で足をふきとばされた一人が叫ぶ。


「うるさい!ここがどこだと思っているんだ!」

 敵地で大声出すばか者がまだいたとわ・・・


「生きていたいなら、置いてかれた後どうすればいいか、考えろ。

 仲間がいなかったらお前はいったいどうするんだ?」


 俺は情けない兵士を見て失望をかくせなかった。

 だが、顔にはそんな表情をださない。


「隊長もう。無理です。」


 そうか・・なら・・・


「俺一人で行く。お前らはここでけがをしたやつの面倒をみていろ。」

 俺は一言つぶやき、先を急いだ。




 10時間後。

 俺は敵の基地についていた。


 そこであいつらを置いてきたことに後悔していた。


「情報とちがうじゃないか・・・」


 事前に聞いた情報では、核弾頭は外に置いてあるとのことだったが・・・


 俺が見たものは、鋼鉄の倉庫の中に厳重に保管され、二枚のカードキーを同時に認証させなければあかない仕組みのドアだった・・・

「こんなことなら、一人でもつれてくるんだった。」

 一言つぶやき、妥協策を考える。



 開かないなら、壊せばいいんじゃないか?

 これならば一人でもできそうだ。


 俺は早速仕事にかかる。


 まず、敵の武器庫からありったけの爆薬を盗んできた。

 重さ150kgもある爆薬は重かったが、容易い作業だ。


 次に爆薬を倉庫の扉にせっとする。



 やっと作業を終えて、一息つく。

 これは給料以上の働きだな・・・


「では、でかい花火を打ち上げるか。」

 ボタンに手をかけ、一気に押し込む。


 その瞬間、大きな衝撃とともに、空が一気に明るくなる。


 その花火は、鉄の扉を簡単に吹き飛ばすほどの威力だった。

「量を間違えたか?」


 爆発の衝撃が想像以上に大きく、なかば自分でも驚いた。



 倉庫の中には、スーツケースが一つおいてある。

 中身を確認すると、お目当ての物体が格納されていた。


 これ一つで一つの都市が壊滅するのだから、恐ろしい。


「さて、帰るか。」

 ここで一服いれたいとこだが、先ほどの爆発で敵がわんさか押し寄せている。

 俺は足早に基地を後にした。



 帰路につく途中で、仲間の海兵隊に会う。

 地雷でやられたやつは、既に息をしていなかった・・・


「任務終了だ。帰るぞ」

 俺も基地での銃撃戦でぼろぼろになりだいぶ疲弊していた。

 肩に1発。腕に2発、足に1発

 計4発も敵の弾をもらってしまった。


 5人で行うはずの任務を一人で行ったのはちょっと厳しかったみたいだ。

 幸い致命傷はなく簡単な応急処置で血は止まった。


「あんたのせいで・・・あんたのせいで一人死んだんだぞ!!」

 一人が俺に襲い掛かる。


 俺はそいつを華麗に避ける。

「死んだやつが弱かった。それだけだ。」

「ふざけるな!」

 またも、俺に向かって殴りにかかる。


「遅い!」俺は向かってくるやつに足をかけ、彼はそのまま転がっていく。


「お前たちが放棄した任務は最重要任務だ。もしここで任務をやめれば、この核で何万と言う人が死んだんだぞ!

 それを、お前らは二人の負傷者のために諦めてよかったのか?」


「・・・」

 彼は沈黙し、ただただ、涙を流していた。


 その後俺たち4人と死者1名は無事に帰りのヘリコプターまで向かった。



 あの時の判断が、間違っていると私は思わない。

 例え知り合い、だろうと、多くの命が救えるのなら、俺は後者を優先する。


「感情のない悪魔は、本当だったんだな・・・」


 ポツリと仲間の一人がつぶやいた言葉が、俺にはきこえていた・・・





 ーーーーーーー現在ーーーーーーー


 なんだ、この柔らかい感触は。

 頭に感じる柔らかさ。


 最高のクッションだ。

 俺は、ゆっくりと目を開ける。


「まぶしい」

 目を焼くようなまぶしさに、目を細める。

「あ!目が覚めたんですね。」


 日を遮るように、彼女は俺を見下ろしていた。

「ここは・・・どこだ?」

「えっと・・・新町公園のベンチです。」


「俺は何をしている?」

「犬に噛まれて、出欠多量で貧血でした。」


 なるほど。思い出した。

 そして、今俺が膝枕されていることも理解した。


「人の温もりとは、こんなに暖かいのか。」

 俺は初めてのひざ枕と言うものに、感動する。


「えっと・・・お母さんがよくしてくれて・・・私これぐらいしか、思いつかなくて!」

「急に倒れるんだもん。びっくりしちゃって。」


 よく見ると、犬に噛まれた所には、ハンカチが巻かれていた。


「お母さんか・・・」

「え?なにかいいました?」

「いやなにも・・・」


 お母さんとはどんな存在なのだろう。



 ポた、ポた・・・

 熱いものが零れ落ちる。


「え?な、なんで泣いてるんですか?!」


 え?なんで。ないているんだ・・・


 俺は今まで一人だった。

 孤独に戦ってきた。

 冷たい戦場、聞こえるのは人の叫び声と、硝煙の臭い。


 だが、やっと何かから開放された気がした。


 人の温もりなど感じたことがなかった。


「こんなにも暖かく、居心地がいいのか・・」

 思わず、声に出してしまう。


「悪いが、もう少しこうしてていいか・・・」

 彼女はニコッと笑って、ゆっくりうなずいた。


 人はこんな優しい顔をするのか。


 俺が今まで見てきたものは、誰もが相手を憎み、そして光のない瞳達だった


 今まで感じたことのない感触は、新鮮で暖かいものだった。


 こんな事が社会には溢れているのか。


 これが一般人の感じることができる日常、そして感情なのだろうか。


 彼女は、暖かくそして綺麗な瞳をしていた。







 その日、感情のない悪魔は、生まれて初めて人と肌を重ね、泣いたのであった。





膝枕とかしてもらいたい・・・書いてて悲しくなる私ですが、なんとか書き終わりました。

次回は第一章の終わりの話になります。


うまくまとめていきたいです。



今回も読んでいただきありがとうございました。

誤字、脱字、わからない文法等あったらごめんなさい

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