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元特殊部隊員の俺が一般人になるのは難しい  作者: いかさん
セーフハウスを探すたび
2/6

元特殊部隊員の俺が普通に町を歩くのは難しい

2話目の投稿です。昨日眠くてだめだったので、今日の投稿です。

今回はちょっとシリアスかも?

 ーーーーー東京市内ーーーー


「はい、じゃあ身分を証明できるもの出して」

「な、なぜだ・・・どうしてこうなった・・・」


 俺は日本の工作員の手に捕まっていた。



 ーーー1時間前ーーー


 俺は基地を出て初めてのシャバ(社会)に出た。

 持ち物は腰にぶら下げた15cmナイフ1本のみ。


 これだけあれば十分だ、ナイフと言うのは護身用、狩、攻撃どれにおいても優秀な武器だ。

 近接武器を扱えないものに、ライフルなどの遠距離武器をうまくつかえるものはいない。そしてジャングルの中で生きるには必須武器だ。

「さて、今日をどう生きていこうか・・・」

 俺は、一日のスケジュールを立てるため近くにあった茂みへともぐる。


「ちょっと、お兄さん?時間あるかな?」

 ん!!だ、だれだ?!敵か

 俺はとっさにナイフを構える。


「おいおい、危ないでしょ。」

「なんだ、敵じゃないのかびっくりするじゃないか。」

「敵?私は近くの交番に勤めてる警察だ。ちょっと署まできなさい。

 そういうと彼は俺の手を引っ張る。

「なぜだ、俺は何も悪いことはしてないだろ。」


「悪いこと?あんたね、そんなでかいナイフもって公園の茂みに隠れてたら完全にやばい人だよ?!」

 なんだと?!外の人間はこんな当たり前のこともしないのか・・・隠れることは生きることに直結するのだぞ!!?

「おい、放せ!どこへ連れて行くきだ!!」

「新町交番所までだよ~」


 くそ、俺としたことが。

 俺の知識は(シャバ)外では通用しないということか?!

「何故俺が連れていかれるんだーーーーーーー!!!!!」






 ーーー現在ーーーー


「なるほどね、あなたの経歴はわかりました。けどねここはジャングルじゃないんだよ?!」

「はい・・・」

「日本ではねサバイバルナイフなんてもってたら、捕まるの。わかる?」

「はい・・・」

「いくら護身用でもだめ!」

「はい・・・」


 この警察官とやらは俺の持ち物を全て確認して、取り上げやがった。

 こんな権力をもった職がこの国にあったとは・・・驚きだ。

「まあ、外国にいて日本の常識が通用しなかった、ってことで今回は何もしないけど、気をつけてくださいね!?」

「はい・・・」

 俺は、反論することが許されない立場になり、絶望に浸る。

「君本当に反省してる?」

「はい・・・」


「じゃあ、その無表情な顔はなに?反省してるようにみえないけど。」

「生まれつきです。はい。」

 俺の顔に文句をつけても何も変わらないぞ。反省はしているつもりだ。


 ナイフがないとなると、今後の生活は厳しくなるな・・・

「すみません、質問があります。」

「なんだい?」


「ナイフはだめとして、拳銃なら許されるのでしょうか?」

「だめです。」


 なに?!即答だと!?

 それでは自分を守るものは、己のコブシだけだというのか?

 なんというハードな社会だ!!


 世の中の社会人は、拳銃もナイフももたずして、格闘だけで身を守っているのか!!

 恐ろしい・・・社会は甘くないな。




 ーーーー東京都新町ニュータウンーーーー



 俺は警察とか言う機関から解放され、町の居住区を散歩する。

 ナイフを取られた俺は、いま無防備だ・・・いつ敵に襲われてもいいように、細心の注意をはらわなければ。


 空は赤くなり、日が傾いている。

 まずい、このままだと夜になる。まずは今日安全に暮らせるセーフゾーンを作らなければ。


 そんなことを考えながら路地をあるいていると・・・怪しいダンボールが隅に置いてある。

「あれは!!!まずい敵の罠かもしれない・・・」

 中東ではよくある、簡易爆弾に似ている。


 俺は慎重に近づく。

「ニャーニャー」

 ビク!!っと俺の背筋が凍る。

「中から音がするだと!!」

 これは、猫の鳴き声だ。もしや猫と油断させてあけたら爆発するトラップ方式か!?」


 額から汗が流れてくる。

 俺は震える手を押さえ、箱に仕掛けがないか慎重に確認する。


 こんなに緊張する作業はアフリカでの地雷地帯への潜入以来体験したことがない・・・

「よし、トラップの類はなさそうだな。」

 30分ほどかけて回りを確認し、安全を確かめた。


 ゆっくり中を開けると、本物の子猫が鳴いていた。

「なんだ爆弾じゃあなかったのか。」


 俺は震えていた手をゆっくりと猫へ持っていく。

(ニャー、ぺろぺろ)


 猫は先ほどまで、全神経を集中させていた手を、慰めるように舐める。


「ん、箱に何か書いてあるぞ?」

 俺はダンボールの横に何か書いてあるのを確認する。そこには・・・


「飼いきれません。拾ってあげてください」っと書いてある。


「なるほど。お前も家がなくなったのか」

「だがな、俺も今大変なんだすまんが構ってられん。」

「ニャーニャー?」


 猫は寂しそうに首をかしげる。


「なぜ捨てられただけでそんな悲しそうな顔をするんだ」


 俺は猫に呟きながら思い出す。



 あれは、今から3年前だったかな。

 とある村への調査任務についていたときだった。



ーーーーー三年前inとある村ーーーー


 その村には味方の衛生兵が国際任務で救助を行っていたのだが、一週間前から定期連絡が途絶えていた。

 村で何があったのか調査するため俺は任務を遂行した。


 しかし村はすでに襲撃を受け、壊滅していた。俺がついた頃には村は荒らされ、家は焼かれていた。



 村の広場には親を亡くした子供たちがたたずんでいる。

 泣く子もいれば、なにが起きたのかわからず困惑している子もいた。


 その時俺の袖を掴んでくる一人の女の子が現れた。

 その子は、俺の袖を掴み泣くこともせず、ただ俺を見つめていた。


 未来も、希望もみえないような、そんな瞳だった。



 俺は生まれて孤児院だったし、5歳から特殊部隊養成施設に入ったので親と言うものを知らない。

 親が死ぬと、そんなに悲しいのか?希望を、未来を、失うほどかなしいものなのだろうか?


 俺がその瞳に疑問をもっていると、国際救援隊の味方が近づいてくる。


「あなたがこの村の衛生兵ですか?」

「ええ、そうよ。」


 彼女は20代前半ぐらいだろうか?。


 強くて綺麗な瞳をしていた。


 その歳にして、数々の経験を積んだやつの目だ。


「あなたを、迎えに来ました。100km先に友軍のヘリコプターは到着します。急いでください。」

「何を言っているの?この村にはまだ怪我人がたくさんいるわ?逃げることなどできない!!」


 彼女は何を感情的になっているのだろうか?


「あなたの任務は終わりました。村の壊滅のため任務続行不可能と本部は判断したのです。」

「私はいきません。本部には私が死亡したとお伝えください。」


 そう言うと彼女は別の患者の元へ歩く。


「俺の任務はあなたを助けることで、死亡を確認するためにここへ来たのではありません。」


 すると彼女は俺に向かってはっきりと言う。


「私は人を助けることが任務です。村が壊滅しようと怪我をしてる人を放っておけません。」

 強い瞳で、そこには何かの決心があったのだろう・・・


「すいません、これは命令です。」


 俺は一言彼女に告げると、彼女に睡眠作用が強い薬を塗った布を無理やり押し付ける。

「な!なにをす・る・・・のぉ・・・」


 彼女から力が抜けていくのがわかる。

 これは任務だ。失敗は許されない。



 俺は彼女を抱えて決められたポイントまで帰ろうとする。


「ん?」


 俺の袖を掴んでいた子は変わらぬ瞳で俺を見つめる。

「悪いな・・・」


「ぁあ・・・・」

 女の子を引き離すと俺は歩みを進めた。



 ヘリコプターの中で若い女性の衛生兵は目を覚ました。

 彼女は全てを悟り、涙を流していた。

 そのときの瞳にはあの強くて綺麗な眼差しはなく、ただ俺を憎むだけだった。


 あの時ヘリコプターの中で彼女が呟いたこと・・・

 ヘッドセットをしていない彼女の声はヘリコプターの騒音と一緒にかき消されたが、俺には彼女が何を言いたかったのかわかっていた。


 彼女は俺に向かって聞こえるはずもないのに呟いた。



「感情のない、(悪魔)よ・・・」っと



 感情のない悪魔とは、うまく言われたものだ・・・



ーーーーー現在ーーーーー



「ニャー、にゃー?」

 おっと、思い出に浸っている時ではなかった。

 今日の夜飯を何にしようか、考えなくてわ。


「すまんな猫、一人で強く生きろ。」

 猫は俺の袖を掴んで離さない。


 まるで、あの時の女の子のように、希望をもたない、暗くて冷たい瞳をこちらにむけて。


 俺はゆっくりと、袖から猫を放すと、一人行くあてもなく歩くのだった。


 外は薄暗くなり、星が瞬いている。



「夕食どうしようか?」




 感情のない悪魔は、星空のしたで呟くのだった。


 一般人への道のりはまだ遠そうだ。





少し主人公の性格と言うか、そんなものが現れた話になりました。

次話も作っていますので、お待ちください~

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