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やまない雨はない

作者: 加市 優

 気晴らしに旅に出かけた。男は転職先で上手くいかず、苦悩する日々が続く。旅に出る前日も、理不尽な理由で上から厳しいアドバイスを頂き、靄がかかった気分になっていた。そんなこともあり、現実逃避の意味も兼ね、遠くへ出かけた。彼女も友達も誘わない一人だけの旅。車で3時間走り、目的地に来た。

 高速道路を降り、何も目的はなく車を走らせた。広大な小豆畑や甜菜畑、その奥に高く並び立つポプラの木々、そんな風景の中で車を走らせるだけで、日頃溜まっていたものがゆるやかに流れていくのではと、期待を込めながらやってきた。

 だが、着いて間もない時、空が曇り始め、雲行きが怪しいと感じたころには雨が降り始めていた。雨は徐々に強くなり、次第に土砂降りになった。「ついてないな」と思うのと同時に、現在自分が置かれている状況と似ていたこともあり、自虐的な笑いを浮かべる。雨が降ったからといって、どこかで止むのを待っていても仕方ないので、とりあえず車を走らせていた。

 しばらくして土砂降りだった雨がピタリと止んだ。瑞々しい空気の中に太陽の光が差し込み、水を帯びた草木は陽の光を受け柔らかい程度に光り輝く。この風景を目の当たりにし、見たことのないほど鮮明で、感動を覚えるほど済んだ綺麗な晴天だと感じた。そして、現在の苦悩する日々もこんな雨上がりの空のように、何よりも鮮やかで晴れやかな日が来るかもしれないと感じた。

 「やまない雨はない」と誰が言い出したかは知らないが、様々な場所で格言のように使われている言葉だ。だがその言葉に、ひとつ言葉を加えたい。「やんだ後の空が一番綺麗だ」と。

 そんなことを感じながら、男は昼飯を食べるために通りがけの料理屋に車を停めた。

実体験を元にした話。まだあの時の空のような日は遠いですが。

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