行動
「あら」黒間良夢と宮園サラは最近、共に通学するようになった。というのも、最近になって家が近いことに気づいたサラが提案したのだ。今日も、宮園家の車に乗っての登校だ。そして、上履きを取り出し履いたサラに聞こえたのは良夢の声。
「良夢、ちゃん?」
そっとのぞき込むと、真っ黒な上履きが良夢の下駄箱に入っていた。サラは一気に血の気が引いたが、当の本人である良夢は変わらずに微笑を浮かべた。
「ふふ、動きだしましょうか。宮園様」
え?と返したが良夢は居らず、真っ黒な上履き片手に用務員に話しかけていた。「こちら、昨日言っていた件なんですが」「ああ!本当にやられて!大丈夫かい?昨日預かっていた君の上履きだよ」と、綺麗な上履きを渡された。ええ?と、サラは驚いたが良夢は笑んで「私が対策しないわけがないでしょう?」
*****
どうして、アイツは余裕なの。私がぐちゃぐちゃの墨付けにしてやったのにまっさらな上履きを履いている。確かに、黒間と書いてあったわ。なのに!
自称“ヒロイン”は、苦虫を噛み締めたような顔で黒間良夢を見た。アイツは、どうして怯えないの?どうして、どうして。
にゃおん、黒猫がそろりと来た。あの、愛想のない猫だ。まるで、黒間良夢みたいでムカつく。
「あっちに行って!」
それでも猫はそこに佇む。「おや、黯か。君の主人はどこだい?」突如現れたその人はこの前私に声をかけてきた白の騎士様。まるで、騎士のようだし真っ白な服装に容姿から彼女はそう呼んでいる。あ、もしかしてあの猫は彼とのイベントには不可欠なのかしら。
だったら、可愛がらなくちゃよね!そう、思いつき猫に寄ろうとするも猫は白の騎士様にも愛想がなく、「教えないのかい?それは、困ったな…。」猫は一瞬、睨むと去ってゆく。どういうことかしら?
「ああ、また君か。」残念そうに言うと、彼はどこからともなく消えた。「消えた?」
*****
「良夢さん、今日の紅茶はイギリスより取り寄せたんですの」「サラ様もいかがですか?アフタヌーンティーにはスコーンも付けますわ」
「あら、いい香り」
キャッキャと騒ぐは、良夢とサラの取り巻きだ。
「羨ましいわぁ、サラ様と良夢さんとのティータイム」遠巻きに見てくる女子は数知れず、着々と良夢は取り巻きを増やす。もちろん、サラの力が大きいがなによりも良夢は悩み事相談をしてどんどん増やしてゆく、良夢信者。良夢の指摘は的確で、悩み事を晴らしてくれる。
「そちらの方も、一緒にいかが?ねえ、皆さん」
取り巻きがええ、と微笑み答えると良夢は遠巻きに見ていた女子を引き入れる。
「……………そろそろ、かしら?」
ティータイムが終わると、良夢はとある場所へ向かった。そこには、学園一の王子がいた。
「ごきげんよう」ただ、挨拶と微笑みを浮かべるだけだ。呆気にとられる王子を置き去りに、良夢はその場を離れる。
「……きちんと、見ていたみたいだわ」
“ヒロイン”が見ていたことは知ってる。なにせ、わざとだからだ。これで、勝手にあちらから動いてくれるハズと笑んだ。
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