忘却
新しい一年、私はここを卒業後エスカレーター式に大学へと進学する。少しの勉強さえ、こなせばあとは楽だ。なにせここは、実力か財力かの学園だ。
かと言って、勉強は怠らないのが私のモットーであるし親に顔が立たないので片手の数には毎回入ってる。
そして、ここ最近思うのは“私は何かを忘れている”気がするがするがそれが何なのかわからない。この頭に巣くう、モヤモヤは私の悩みとなっている。そして、昨日新一年生の入学式を終えまた普通の生活へと戻るが一向にモヤモヤは晴れない。入学式の準備でのことでは無いらしいことは明らかではあるものの未だにわからない。
「サラ様?お加減が優れませんの?」
一つ下の後輩は顔をのぞき問うが、「なんでもないわ」とかえした。
「あら、新一年生ですわね」
友人の一人がぽつり、零した言葉に反応して顔を向けた。たしかに、制服が馴染まず恐る恐ると校内を歩いている。きっと場所とかあまり覚えておらず、迷わないようにしているのだろう。「懐かしいわね」本当に、昔の事のように思える一学年の時の思い出を思い浮かべる。
「忘れてしまったようですね、宮園様」
え??囁かれ、反射的に顔を上げるも「どうしました?サラ様」「いえ…」
そこには見知った顔しかあらず、振り向いた。数名の一学年の女子生徒たちが歩き去ってゆく姿をジッと見つめた。
ハーフアップされた髪の子を中心に、私達が歩いてきた場所へと向かう姿。
「黒間さん、覚えてらっしゃるの?」
「ええ、まぁ」
微笑む彼女の姿をどこかで、見たような気がした。
*****
「クスッ、私のハーレム生活の始まりね」
一人の美少女は笑う。その姿を陰で見ている者が居るとも知らずに。
「バカな女、あの時気づいてさえいれば…ねぇ、黯」
一匹の黒猫の喉元を撫でつつ、影は微笑む。それに答えるかのように美しい黒猫はにゃおんと鳴いた。
「さぁ、黯。私の為に動いて頂戴」
「にゃおん」
黯と呼ばれた猫は、ひらりと影の腕から飛び降りまるで会釈してその場を離れてゆく。「さぁ、て。最後に笑むのは相場で決まってるわ」
────長い黒髪を翻し、影は立ち去る。
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