代償
通算40回目、一年間を40回も繰り返してきた少女は座り込む。「どうしてなの?」顔を伏せたまま呟く少女、否その姿は見る影もない。静かに見ていた良夢は口を開く。
「当たり前ね、本来アナタは魔力を持たない…なのに、魔法を使えばどうなるか、代償が必要になってくるわね」悪魔との契約なんて、代償の対価は大きい。彼女はハッと自身の目の前にある手を見つめた。誰のものなのか、今の今まで気づかなかった。それは、「アナタの代償は時だった」シワだらけのこの手は、「私の、手?…………イヤ、イヤァァア!」「時をほとんど費やしたみたいね」「助けてよ、神サマァァア!!」少し微笑んだ良夢は、黒猫…黯を撫でた。「アナタの言う神様って、ソレのこと?」真っ黒な風貌のソレを指差して、目を細めた。“ヒロイン”は、ソレを恐る恐る見て青ざめた。「知らない、知らない!」「……クハハハ、お前はいい行いをしてくれたぞ?その欲望は、我らにとって素晴らしい糧とな…「クス、馬鹿ね。私の存在に気づかないなんて」「な、魔女だと?」「この世界の理を破ったのは私とこの子、黯よ?それに、気づかないなんて……哀れね、悪魔」
理を破られ現れた神様、いいや悪魔。「………悪魔の末路は、知ってるかしら?魔女に屠られるのよ」指をぱちりとならす、「な、なにをしたぁぁぁあ!」「なにを、って?……悪魔払いの焔をね」もう一度、ぱちりとならすとそれは消えた。
全てに絶望した彼女は、美しかったその姿は今や老婆になり果てて泣き叫ぶ。実に、哀れ。サラはその姿をみて、状況の整理が全くもってできていない。でも一つ分かるのは、彼女はあの悪魔につけ込まれたということ。「彼女は、悪魔にとりつかれてたのね」「ええ、そうですよ。宮園様、人とは悪魔につけこまれやすいのですよ」「私も、つけ込まれてたかもしれないのね。……ねぇ、良夢ちゃん…あの子を救えないかしら?」
サラはなにより、あの子の哀れな姿を見ていられなかった。同情かもしれない、でももしも私がああなっていたかと思うとゾッとする。「それが、あなたの望みですか?」「───ええ」迷いなく答えるサラに、良夢は美しく笑む。
「アナタは優しすぎますよ、でもそこが気に入りました」
「───時の魔女に不可能はないわ」
光が少女を包み、本来の姿が現れる。「え?」泣きじゃくる少女は、かつての美しさからは程遠い……「そういうこと…」平凡な姿。
「………ごめんなさい、美しさを欲した……私、私!」美しさを欲したばかりに、悪魔につけ込まれたのだ。
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