切断
狼狽えた彼女は、座り込んで呟く。
「どうして………生きてるのよ…あんたは落ちたハズなのに
……」そう、彼女……黒間良夢は落ちたハズだった。
くすりと、笑うと良夢は口を開く。
「紛い物の魔女には分からないのでしょうね?」紛い物の、魔女。サラはますます困惑した。
「あなたは、とあるモノに魔力を貰った。それを使ってたのよ、アナタ。アナタが願えば叶ったのはその力のせい」紛い物。それは、彼女のもつ魔力のことを示すらしい。
「ずっと、傍観してたわ。…でも……」
くすり、また一つ笑う。
「………私、飽きたのよ。アナタのバカな恋物語にはね。つき合って来た私の身にもなって頂戴?───紛い物の魔女の魔法なんて効きやしないわ。本物の魔女は簡単に死んであげないわ」
目を伏せて語る良夢に見入るサラと“ヒロイン”。時折聞こえてくるキーワード、そして、目線を“ヒロイン”に向けて「魔女をなめないで頂戴?」
「イヤよ、イヤよ、イヤ!魔女?なんのことよ……!私には神様がついてるんだから!」
「神様…ねぇ」それは、どうかしら?……小さく呟かれたそれは、サラにはハッキリと聞こえた。
「宮園様、アナタの望みは何かしら?」くるり、踵を返して突如、問いかける。それに、サラは戸惑い「え?」とかえす。「アナタには、望むことができる。選ばれたアナタには」選ばれた。それに、疑問をもつ。「…勇者と言えばいいかしら?誰も気づくはずのないこのセカイの歪み。違和感を覚えても、気付かないものよ。それに気づいたあなたは、選ばれた証拠。あなたがいたから、私も動く気になったのだけれど」
美しい笑みを浮かべた彼女に、魅了される。
「フフッ、フフフ…フフッ、フフフそれがどうしたって言うの?私には関係ないわ!だって……ここは私の“セカイ”だもの!!」
不気味な笑い声をあげて、“ヒロイン”は叫ぶ。それをなぜだか静かに見守ることができた。
「ねぇ、聞いてたのかしら?私は、言ったハズよ。」
パチンと指を鳴らすと、今まで着ていたハズの制服ではなく黒と白を基調とした質素だがどこか豪奢なワンピースに身を包んだ良夢。また一つ鳴らす、“ヒロイン”の間近にいつのまにか立ち彼女を見下ろす。
「………魔女をナメないで頂戴」ひとつ、クスリと笑う。「ねぇ?黯」にゃおん、黒猫が鳴く。どこからともなくパリンと破裂音が響く。
「ご苦労様」黒猫の喉元をなでる良夢にゴロゴロとのどを鳴らす黒猫。
「………なに、なんなの?」“ヒロイン”は、光に包まれる。
「────止まった時は、動き出す」
踵をかえして、良夢は言う。「アナタの物語は、ここで終わりよ」
サラは、時間がカチリカチリ、動き出す音が聞こえた気がした。そして、座り込む。「やっと、終わったんだ……本当に─…」
****
魔女に叶うはずもなく、少女の物語は幕を閉じる。
.




