本性
効かない、なんて……私以上の美貌と魅力。全てを虜にしていく彼女が恐ろしい。私が、“ヒロイン”なのよ!
ギリッと手を握りしめて、彼女を睨んだ。絶対に消えて貰うわ……
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「あら、鋭い視線ねぇ」「良夢ちゃん?」クスリ、優雅に紅茶を飲むと笑みを浮かべて立ち上がる。
「ちょっと、席を外しますわ。皆さんは楽しんでいらして?」美しい所作で歩いてゆく良夢に続き「私も」とサラも立ち上がりついて行く。小走りで近寄り、「もう動きだしたの?」昨日、サラのもとへと来た良夢はそろそろ動きだすと言っていた。そして、小さな黒曜石のついたネックレスを渡され肌身離さず持っていてと言われたそれをギュッと握り締めた。
迷いなく屋上へと続く扉に手を付けた良夢を見つめるサラ。「………あってるの?」「ええ」僅かに笑むとギイッと扉を思いっきり開く。そこには、“ヒロイン”の彼女が鋭い目で睨み禍々しいオーラを放ち立っていた。
「ごきげんよう」怯むことなく言ってのける良夢に彼女は、一段と鋭い目つきになる。
「私の“セカイ”よ!!ココは!私の邪魔をしないで!」「邪魔ねぇ、フフ……本当にバカな子ね。あきたのよ、アナタの恋物語にはねぇ。つきあってるこっちの身になって頂戴」淡々と言う良夢に一歩、一歩近づいてゆく“ヒロイン”。サラがハッとして手を伸ばしたとき「────消えなさいよ!」
凄まじい光が良夢へ向かう。「良夢ちゃん!!」思わず叫び、駆け寄ろうとする。寸での所で避けた良夢に息を付くも次々と「消えなさい、消えろ!」光を放つ。ふらり、足元がふらつき傾く良夢。あ、と手を伸ばすも良夢は下へと落ちてゆく。「…っ、良夢ちゃん!!」
“ヒロイン”に近づき、「どうして、良夢ちゃんを!」「うるさい、アナタも消えろ!」パッと目をつむる。「え…?」
「どうして、……………消えないの!?」
クスリ、笑う声。「どのセカイにも勇者はいるものよ。勇者は、消えないわ」ストンと綺麗に降り立った影と一匹の黒猫。その猫は、いつかの猫だ。
「─────良夢ちゃん…」
落ちたはずの良夢が、なぜか上から降り立った。どこから?
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