表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編

スノウ・ディバイド

作者: RK

 雪が降る。


 白い結晶は視界を白く染め上げる。


 彼の背中が見えなくなる。


 私は待ってと手を差し出す。


 冷たい空気がそれを阻む。


 彼の背中は白にまぎれて消えて行く。


 私は息を吐きだす。


 濃厚な白が私の前に現れては消えて行った。


 差し出した手を返す。


 白い小さな結晶が掌に乗ると、溶けて消えた。


 彼の熱も、溶けて、消えた。


 ツゥ、と頬に滴が伝う。


 それはぽたりと地面に落ちた。


 でも、雪はそれを隠してしまう。


 彼を隠したように、私の涙も隠してしまう。


 泣こう。


 雪が隠してくれるから。


 雪が積もるように、悲しみは積もる。


 雪が溶けるように、悲しみも消える。


 ふわりと、肩に雪が積もった。


 冷たくて、でも柔らかいそれを何故か優しいと思った。


 春よ、早く来て。


 でも、少しだけ待っていて。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ