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悪役令嬢の異世界グルメ革命~ハンバーガー? なにそれ美味しいの? とか言ってた人たちが、今では行列を作って土下座してきます~  作者: 緋村ルナ


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第6章:女王陛下のレストラン

 美食コンテストでの勝利は、一夜にして私の運命を変えた。

 翌日の新聞の一面は、「没落令嬢、チーズバーガーで奇跡の勝利!」「食の新たな時代の幕開け!」といった見出しで埋め尽くされた。あれほど私を馬鹿にしていた貴族たちは手のひらを返し、こぞって私のハンバーガーを褒めそやし始めた。現金なものだとは思うけれど、これでビジネスがやりやすくなるなら、文句はない。

 そして何より大きかったのは、国王陛下という最強の後ろ盾を得たことだった。

「エリザベートよ。そなたのハンバーガーをもっと多くの民が味わえるよう、城の近くに立派な店舗を用意させよう。店の名は『バーガーパレス』というのはどうかな?」

 王様はそう言って、王都の一等地に立つ壮麗な建物を私に与えてくれたのだ。露店から、一気に超大型店舗のオーナーへ。まさにシンデレラストーリーだった。

「ありがとうございます、陛下!」

 深々と頭を下げる私に、王様はにこやかに笑った。

「うむ。だが一つ、条件がある」

「条件、でございますか?」

「毎日、朕の昼餉に、日替わりでハンバーガーを届けること。よいな?」

 もちろん、断る理由などどこにもなかった。


 新店舗「バーガーパレス」の開店準備は、レオンが全面的に協力してくれた。彼はなんと、美食コンテストの翌日に国王陛下に直談判し、美食騎士団長の職を辞して、私のビジネスパートナーに専念することを選んだのだ。

「レオン様、本当に良かったのですか? 騎士団長は、あなたの長年の夢だったのでは……」

「騎士団長の夢は叶った。次は、君の夢を叶える手伝いがしたいんだ。エリザベート女王陛下に仕える、最初の騎士になる」

 彼はそう言って、少し照れたように笑った。これからは「レオン」と呼んでくれ、と言う彼に、私の心臓はまたしても大きく跳ねた。彼は新会社の「専属セキュリティ兼営業部長」という肩書で、店の運営から警備、取引先の開拓まで、驚くべき手腕を発揮してくれた。


 一方、美食コンテストで私に敗れたデミトリは、悲惨な末路を辿っていた。「銀の皿」は客足が遠のき、プライドをズタズタにされた彼は、酒に溺れる日々を送っているという。正直、自業自得だとは思った。でも、彼の料理への情熱が本物だったことも、私は知っている。

 バーガーパレスの開店準備で忙しいある日、私の元に、みすぼらしい格好をしたデミトリが訪ねてきた。

「……クロフォード嬢」

 以前の傲慢な態度は見る影もなく、彼は深々と頭を下げた。

「私は、間違っていた。食に、身分も格式も関係なかった。ただ、美味いものが正義だったのだ。君のハンバーガーを食べて、ようやくそれに気付かされた」

 そして彼は、信じられない言葉を口にした。

「頼む! この私を、君の店で働かせてはくれないだろうか。一から、料理というものを学び直したいんだ!」

 元・王都一のシェフからの、まさかの弟子入り志願。周りのスタッフは唖然としていたが、私は彼の目を見て、その覚悟が本物であることを見抜いた。

「……わかりました。ただし、私の店ではプライドは不要です。皿洗いから始めていただきますが、よろしいですか?」

「もちろんだ!」

 こうして、かつての宿敵デミトリが、私たちの仲間に加わった。彼は宣言通り、文句一つ言わずに皿洗いや掃除をこなし、営業後には熱心にハンバーガーの作り方を学んだ。その真摯な姿は、他の従業員たちの心も動かしていった。


 そしてついに、「バーガーパレス」開店の日。

 店の前には、夜明け前から王都中の人々が詰めかけ、長蛇の列を作っていた。王様も開店祝いに駆けつけ、テープカットならぬ「バーガーカット」で盛大にオープンを祝ってくれた。

 活気に満ちた店内。お客さんたちの笑顔。忙しく立ち働くスタッフたち。その中には、レオンの姿も、そして、慣れない手つきでポテトを揚げるデミトリの姿もあった。

「いらっしゃいませ!」

 その光景を見ながら、私は胸がいっぱいになった。

 これが、私の城。私の王国。

 ハンバーガー女王の伝説は、まだ始まったばかりだ。

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