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佐々木は帰りの新幹線でぼんやりと窓の外の景色を眺めながら日記の事に思いを馳せていた。
人が書いた日記を読んではいけないと思っている。
だがこの日記を読む事が今佐々木が出来る最大の弔いになると思っていた。品川駅に着いて山手線に乗り下宿先の最寄駅の高田馬場駅へと向かった。高田馬場駅から歩いて15分くらいで下宿先に着いた。
部屋へ戻り鞄の中から日記を取り出した。かなり年季の入った日記だった。中には佐々木の事が好きだった事、東京に行くか地元に残るかで葛藤があった事、大学進学と共にアルバイトを始めた事、アルバイト先の先輩からデートに誘われた事、デートの日に処女を喪失して汚れた自分を悔やんだ事、そしてデートの翌日からアルバイト先で壮絶な虐めを受けた事…全部を読み切った時佐々木はボロボロと泣いていた。
あの時一緒に東京へ行こうと誘っていたらこんな事にはならなかったのにそう思うと悔しくて悔しくて涙が止まらなかった。
どれだけ泣いただろうか気がつくと夜が明けていた。
窓から差し込む朝日に目を細めながら佐々木は河合という女性に復讐しようそう思った。
河合に復讐したところで藤井は帰ってこないそんな事は分かりきってるがこの思いは止められなかった。
だけど自分1人の力では到底無理だと思えた。
その時パソコンが目に入ってきた。
もし,掲示板に書き込みをして有志を募ったら…
1人の力ではなくみんなの力を借りれば…
気がつくと佐々木はパソコンの電源をオンにしていた。