↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
49/49

49 ずっと名乗るつもりはなかったのに

 近所にあるお寺にお稲荷様がいて。


 そこのお稲荷様の狛狐に、10年くらい前から赤い前掛けを奉納している。


 それまでは全裸だった狛狐が、コロンの作った前掛けを誇らしげに「ふんす」と鼻を鳴らして付けている姿が可愛くて。


 外にいる狛狐に掛けられた前掛けはすぐに汚れ、色落ちして、ばっちくなる。

 そんなばっちいのを「ふんす」と付けている狛狐が可哀想なので「わー…しばらく来ないうちに汚れちゃったね、ごめんね、また作ってくるからね」と、つい狛狐に言ってしまう。


 コロンが作る赤い前掛けは、ただの赤いのだけじゃなく、赤ベースに花柄や金色が使われた何種類のパーツを合わせた歌舞伎の衣装みたいなゴージャスな前掛け。

 作る工程が多くて、はっきり言って面倒である。


 しかし約束した手前もあるし、一度始めたらやめるわけにもいかず「どうせならド派手な物を!」と、お稲荷様のために年に数枚、頑張って作っている。



 で、奉納はお賽銭箱の上にそっと置いてくるだけ。

 いつもひっそりとしていて人の気配はないが、きちんと管理されている大きなお寺なので、数時間後には誰かが見つけてくれる。


 そうやって10年続けてきたのですが。





 先日、お稲荷様の前にしゃがみ、手を合わせて「柿を食べてもお腹が痛くなりませんように。ギックリ腰になりませんように」と、しつこくお願いして「さてと」と立ち上がり振り向いたら。

 恰幅の良い男性が腕を組み、仁王立ちしていた。


 コロンの次に待ってる人初めて見た…


 と思い、その場を離れようとしたら、男性が「どうしました?」と、威圧的に言ってきた。


 は?お稲荷様に手を合わせてる人に「どうしました?」って?

「え?参拝ですけど…?」


「ああ、そうですか」


 と、なんかムカつく。

 でも、お坊さんなら奉納したやつ渡そうかなと思って


「あ、こちらのお坊さんですか?」と聞いた。


「いいえ?ここに出入りしている業者です」


 業者かよ!と思いつつ

「奉納した物をそこに…」と言うと

「じゃあお寺の人に言ったらいいですよ」

「あ、別にいいです」



 と言ったらその人はその場から離れたけれど、なんかすごく不審者扱いされている。

 凄く嫌だと思って、お寺の方に声がけをすることにした。


 インターフォン越しに「あの…お稲荷さんに奉納したんですげど…ちょっと不審者っぽかったみたいで…あの、置いておきますので…」と言った。

 なんて言っていいかわからなかったし。


 すると「え?お稲荷さんに?あの、もしかしていつも前掛けを下さる方ですか?!ちょっとお待ちください!」

 と、慌てて出てきてくれた。


 前掛けって一言も言ってないのに。


「いつもありがとうございます!みんなで誰だろうねと話していたんですよ!」


「すみません、大した事でもないので、置いていくだけでいいかと思いまして…」


「いえいえ、ごんぎつねみたいだね。と、みんなで話していたんです。ありがとうございます!」


 そう言われた。


 ちょっと嬉しかったけど…




 ん?

 ごんぎつねって最後…







 おわり







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
狐をどうしても結びつけたかったんだろうが……それだと前掛けの奉納が『詫び奉納』になるやつやー!!!(´⊙ω⊙`) 昨今の不穏な情勢考えると、名乗れて神社の管理をされる方に存在をお伝えできたのは、良か…
ごん、おまえだったのか……(´;ω;`) コロンさんは本当に丁寧な暮らしをされていますよね。 10年間、名乗らずお供えを続けられるなんて尊敬です……! おしゃれ前掛けをしてふんすとなってるお稲荷さん、…
 前掛けフンスお狐さま可愛らしい。  そして……、ごん〜〜(泣)。  ほんとに徳を積み過ぎて狐(神仏側)がお礼を言いたかったのやもですね。災いを転ばせに行った感じ。  前掛け狐『やっと伝わった!』…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。