コロンは思い出した
オタ芸。
YouTubeで見たオタ芸の人。
上半身の大きな動きに耐えられるように足を大きく開いて立ち、サイリウムを持つ手をクルクルッッッッと回し残像を残す。
大きく左右に動く腕。ブレない体幹があるからこそのキレッキレのダンス。
ブラボー!ブラボー!
「かっこいいなぁ…」
。。。
朝と午後に行く犬の散歩。
最近は寒いのでちょっとゆっくり。
近所の公園で一人のオタクを見つけた。
何故この人がオタクだってわかったのかって?
だってオタ芸の練習をしていたから。
オタクでしょ?
でもだよ?
くる、くる、くる。
ぱちん。ぱちん。ふにゃん。ふにゃん。
お前のソレはなんだ?
敢えて言うなら蒟蒻音頭である。
「お前は体幹がなってねぇんだ!」「そこ!もっと真っ直ぐ!」「腰を入れろ!」
すました顔して犬の散歩をするコロンは、心の中でオタクを指導する。
好きを頑張れ!
好きを貫いて欲しい。
こんな下手っぴなオタ芸でも!一人ででも!公園で練習する君をコロンは応援したい。
。。。
深夜に家の前でタクシーとお巡りさんがバタバタするあの騒動から一週間。
ご近所さんに会えば「この前の金曜の夜にうちの前にお巡りさんが来て…」「うちは関係ないんです。家の前に酔っ払いが…」と、言い回ったりして気を使った。
くっそっ!あのモジャモジャ頭!見つけたらタダじゃおかねぇ。
そんな事を思いながら朝の散歩に出る。
公園のところまで来たコロン。
今日も今日とてオタ芸を練習するオタク。
!!!!!!ッッッッ
みぃつーけーたあああーーーーーっ!怒
お前だったのかぁあああ!
あの日の酔っ払いはこのオタ芸のオタクであった。
このモジャモジャ頭。どこかで見た気がしたの気のせいではなかった。
あの日からオタ芸を練習するオタクが憎い。
ぺちん。
ぺちん。
ふにゃふにゃと手を叩くオタクに「ばーかばーか」と心で叫ぶ。
ばーかばーか!
呪いを掛けた。
最近見かけない。
呪いが効いたんだと思う。